2020年1月の同調査では、クラウド型セキュリティ・ゲートウェイを採用した企業は10%程度であったことを鑑みると、COVID-19の影響によってその採用は確実に加速し、2024年までには新たなネットワーキングへの移行が進み、クラウド型セキュリティ・ゲートウェイを採用する企業は60%を超えるとガートナーは予測している。
クラウド型のゲートウェイは新たなネットワーキングにおいて重要な役割を担う
こうしたクラウド型ゲートウェイなどで構成される新たな市場を、ガートナーはセキュア・アクセス・サービス・エッジ (SASE) として定義し、多くの企業が今後注目し、導入すべきソリューションとして提唱している。
しかしながら、多様なテクノロジが織りなすこのソリューション全体が成熟するまでには、5~7年はかかるとみられている。
前出の池田氏は次のようにも述べている。「今後も在宅勤務を前提とした環境の整備を進める企業や、クラウド型のオフィス系アプリケーションを利用する企業は増加するとみられます。また、今後は社内外の幅広いビジネスをデジタル化することも求められます。その際に最も重要なのは、パフォーマンスとセキュリティのバランスを取りながら、さまざまな接続を俊敏に変化させていくことです。クラウド型セキュリティ・ゲートウェイは、こうした新たなネットワーキングに移行する上で重要な役割を担うテクノロジです」
新たなネットワーキングへの移行はさまざまなチャレンジを伴う
IT部門が従来のオンプレミス中心の企業ネットワーキングからクラウド中心の新たなネットワーキングに移行するには、さまざまなチャレンジが伴う。当然、インパクトをしっかり把握した上で取り掛からなければ、適切に移行できない事態を招きかねない。
このような移行を進めるに当たって事前に知っておくべき5つのポイントは、以下のとおりである。
- オンプレミスとクラウドのハイブリッドを前提とした移行を進める
- スモール・スタートによって安定した移行を実現する
- 運用しながら変化させていく時代に合わせたスキルセットを獲得する
- ポリシー中心のネットワーキングへのチャレンジを理解する
- さまざまなテクノロジの組み合わせで解決するチャレンジを理解する (SASE、VPN、ゼロトラスト・ネットワーク・アクセス [ZTNA]、ソフトウェア・デファインドWAN [SD-WAN] の関係など)
更に池田氏は次のようにも述べています。「市場では、ゼロトラストや『脱VPN』といったキーワードでもこうした変化が盛んに訴求されています。その一方で、いつまでに何をすべきかといった観点をおろそかにしたまま検討を進めるケースも見られます。現時点ではテクノロジの成熟度が不十分で発展途上であり、今後はさらにベンダーの統廃合も起こると予測されます。IT部門は、大きな変化を理解しつつも、今すぐに解決すべき課題への対処を優先することが重要です。在宅勤務環境を支えるクラウド型のリモート・アクセスVPN (ZTNA) への移行や、トラフィックが集中しがちなプロキシを提供するクラウド型ゲートウェイ (セキュアWebゲートウェイ [SWG]) などから導入し、新たなネットワーキングへの移行を始めるとよいでしょう」
このような状況を踏まえ、ガートナーでは来る3月9日 (火)、「クラウド中心のネットワーキング:新しい基準に移行する」と題したウェビナーを実施する。ホストは前出の池田氏が努める。
リモートワークが進む中、クラウドとオンプレミスのハイブリッド環境においてどのようにネットワークを構築し運用すべきかに加え、セキュアかつコスト最適なネットワーキングを実現する方法や移行の留意点などについて解説するという。
今後のノットワークセキュリティを考える上で、最新動向を知っておくのは非常に有効であろう。