【ET & IoT Technology 2018】序章・ETもIoTも情シスは知っておくべき!?
- 2018/11/15
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- Embeded Technology, IoT, 組み込み技術
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「ET & IoT Technology」は、「組込み総合技術展(ET)」として始まり、情報・デジタル家電、カーエレクトロニクス、携帯・タブレット端末、ロボット、医療など、組み込みシステム技術に関連した専門技術展としてスタート。展示会会場としては、近年は毎年パシフィコ横浜で開催され、ソフトウェアやハードウェアを中心とする組み込みシステムの展示や、カンファレンスでの基調講演やテクニカルセッションなどが行われている。
当初より、IoTに関しても組込み総合技術展の中に取り込んでいたものの、2015年から現在同様、ETとIoTに分け、共催をしている。一見すると組み込み技術とIoTは関係がないようにも思えるが、スイッチやセンサーなどのIoTデバイスの多くは組み込み技術により実現していることが多く、実は表裏一体である。
また、組み込み技術というと”情シス”には少し縁遠い世界に感じることも確かである。しかしながら、社内で使うIT機器の中身であることを考えれば、これらのトレンドを知っておくことで、先の展開を想像することができるのではないだろうか。
今回は、”情シス”としてのフィルターをあまり意識せず、気になった技術や製品、サービスについて紹介する。
MCUにもセキュアソリューションを搭載
まず、会場で目についたのは、arm、intel、MICROCHIP、STマイクロ、東芝といった半導体チップメーカーの出展。さすが組込み総合技術展(Embeded Technology)といった感じである。そんな各社で見かけたのが、セキュアソリューション。昨今、急激な伸びを見している”IoTデバイスを踏み台にしたサイバー攻撃”を意識したものになっており、これらを防止するために様々なアプローチが見られた。
STマイクロは、Coretex®-M33を搭載し、”TrustZone®”に対応した製品を出展。
東芝は、安全なファームウェアの更新を実現する”セキュアファームウェアローテーション”を展示していた。
横浜国立大学 吉岡准教授によれば、2016年1~6月に実施したマルウェアに感染したIoT機器の観測では、500種類以上・60万台にも達したという。感染した機器は、ルーターやモデム、ゲートウェイ、セキュリティアプライアンスなどのネットワーク機器はもちろん、VoIPゲートウェイやIP電話など電話関連機器、駐車場の空きをセンサーで監視してウェブから確認できる駐車場管理システム(主に欧州)、デジタルサイネージなどで利用されるLED大型ディスプレイ、空調や照明をコントロールするビル制御システムなど、非常に多様だったという。
<参考:IoT機器がマルウェアに感染する元凶は「Telnet」~横浜国大・吉岡克成准教授>
感染原因は様々あるが、IoTを踏み台にしたマルウェアの拡散が発生しないようにする取り組みは、更に求められていくところであろう。
これについては、情シス担当者としても留意しておくべきである。
キーワードはエッジ、画像認識&AI
組み込み技術の展示で目立っていたキーワードは”エッジ”、”画像認識”それと”AI”であった。
EVを切り口に、車のIoT化がすすむ自動車業界であるが、運転支援を目的とした画像認識技術は直近の課題と言える。このようなニーズに考慮した展示も数多く見受けられた。(詳細はレポート本編にて)
LPWAは戦国時代
IoTとはセットで語られると言っても良いであろう無線通信。ET & IoT Technology 2018においても、チップ、モジュール、サービスなど様々な展示があった。中でもLPWAは、SenseWayがLoRaWANでの全国サービスを提供し、ソニーも独自方式のLPWAでIoT向けネットワークサービスを開始する予定など、これまでネックであったインフラが整っていくことで、”使える”フェーズに入ったといえる。
先行するSigFoxやLoRaWANが、この2年間、思ったより立ち上がらなかった国内市場において、LPWAに新たな旋風を巻き起こし、LTE Cat.M1/NB-IoTも含めて、戦国時代に突入する。
LPWAは、その方式によりそれぞれにメリット/デメリットが存在する。提供するサービスによって使い分ければよいが、一度立ち上げたサービスを簡単には中断/変更できないこともあり、サービス自体に影響を与えるのであれば、淘汰されない無線方式を選ぶ必要がある。
今回ネットワークサービス提供を表明したソニーのELTRES™は「見通し100km伝送」、「高速移動100km/h通信」で、他のLPWAと差異化している。
ユニバーシティパビリオン/ベンチャーパビリオン
大学の研究発表の場、ベンチャー企業の技術/商品/サービス紹介の場が設けられていた。
数多くの大学、ベンチャーが出展していたが、その中でもユニークだったのが、LSIやMEMSデバイスを自作できる環境を提供する「九州工業大学 マイクロ化総合技術センター」。保有する製造装置を開放し、アイデアを活かしたLSI・MEMSデバイス開発をワンストップで提供する。
利用企業が分からないような配慮も行うなど、自社開発センターさながらに使うことができるのは、興味深いところである。ある意味究極の”Makers”と言える。
情シスとは縁のない世界かもしれないEmbeded Technology。しかしながら、IoTを通じてその技術を利用することもある。”百聞は一見にしかず”、最新の技術に触れる時間をひねり出してみるのもどうだろうか。
ET & IoT Technology 2018は11/16(金)まで開催している。
URL:http://www.jasa.or.jp/expo/
【執筆:編集Gp 原田 健司】