「働き方の未来(Future of Work)」の進行状況に関する日本とAPeJの比較結果-IDC

15日、IDC Japanは、「働き方の未来(Future of Work)」に関して、従業員規模が100人以上、売上高が10億円以上の企業に在籍するCxOや最新テクノロジーの導入に関わる役職者を対象に、日本とAPeJ(日本を除くアジア太平洋地域)で実施した調査の分析結果を発表。
同調査によると、最新ITを利用した職場の変革を「展開済み/展開中」と回答した企業は、日本が3割超なのに対しAPeJは6割と、日本の改革の遅れが目立つ結果となった。さらに、日本では「最新テクノロジーを利用した職場変革に関する具体的な計画はない」と回答した企業が4割に達しており、近い将来も変革が進まない可能性があることが判明した。

・最新ITを利用した職場の変革を展開済み/展開中と回答した企業は、日本が3割超なのに対しAPeJは6割と、日本の変革の遅れが目立つ
・日本では労働力不足の改善や働き方改革のためにITを活用することの重要性が認識されつつあるとはいうものの、ワーカーのデジタルスキル不足やIT部門の人材不足が、変革の遅れの背景にあると考えられる
・APeJのようにデジタルに慣れ親しんだミレニアル世代のような変革のけん引役が不在である日本の職場では、IT部門の強化だけではく、ワーカーのデジタル教育への投資が重要となっている

APeJでは、デジタルの申し子であるミレニアル世代(30代中盤以下の世代)の人口比が高いこともあり、この世代の望む働き方や価値観に沿って最新ITを活用したワークスペースやワークカルチャーの変革が進められている。一方で、日本では労働人口の高齢化やレガシーシステムの存在など、最新ITの導入とITツールの利活用における障害が多く存在。現在日本では、職場における労働者不足や働き方改革の必要性に対する認識が高まり、積極的なIT導入に向けた機運が高まっていると考えられているが、同調査の結果を見ると、現時点で変革が遅れているだけでなく、職場への最新IT導入が今後もなかなか進まないことが危惧される状況となっている。

図1. 最新ITを利用したワークスペースの変革状況

Source: IDC Japan, 11/2018

経営層が最新ITの導入を決断しても、ITツールの使い手である職場のワーカーのデジタルスキルや知識が不足している、もしくはIT部門による適切なツールの選定と導入/保守/管理が行わなければ、最新ツールの導入効果が十分に期待できない。同調査によると、「デジタルスキルと知見を持った人材が不足している」と認識している企業は、日本では5割近いのに対し、APeJでは3割足らずと、日本のデジタル人材不足が浮き彫りになっている。

図2. デジタル人材の不足と対応策

Source: IDC Japan, 11/2018

さらに悪いことには、日本はワーカーのデジタル教育や、IT部門を補強するためのトレーニングや外部のリソースの活用も遅れている。別の調査でもグループウェア、ワークフロー、コミュニケーションツールなどの事務系ITツールの導入が日本ではあまり進んでいないことが分かっていたが、今回のAPeJとの比較によって、日本のワークスペースの整備が大きく遅れていることが判明。職場のIT化はもちろんのことだが、ITツールを導入したが使われないということがないように、IT化とデジタル教育、さらにカルチャーの改革を同時に進める三位一体の改革が重要であるとIDCでは捉えている。


本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:https://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20181115Apr.html

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