松田軽太の「ボッチ情シスノススメ」#23:業務改善の実施は計画的に!

松田軽太の「ボッチ情シスノススメ」、タイトルだけ見ると情シス不要と言っているように思われるかも知れませんが、思いはまったくの”逆”。
様々な事情によりやむなく一人で情シスを切り盛りしている方や専任情シスは不在という状況でも頑張っていらっしゃる皆様のお役に立つような記事をお届けしたいと思っております。

世間的には「DX」がバズワードとなっていますが、これまでやってきたことがなければ、DXどころか業務改善だってなかなか進まないと思います。
・・・そんなことを考えながら、以下のようなツイートをしてみたところ、思っていたよりもたくさんの人からリアクションをいただいたことには驚きました。

「お金を一銭もかけずに業務改善したいんです!」って人、多いなぁ。
一銭もかける気がないなら、そのまま同じやり方をやってるしかないんじゃないかな?

このツイートについて、もう少し考えてみたいと思います。

前述のTwitterにはこんな声が寄せられました。

 

ムダな作業に気がつけない人たち

「知恵やアイディアはタダ!」とか言ってQC活動とかやっているけど、もはや発表件数のノルマ達成が目的になっていて業務改善を止めるのが1番の業務改善という訳の分からない状態に…w

「@takeshi741」さん

こういう改善活動は、最初は志高く取り組んでいるのだと思います。実際、「三人寄れば文殊の知恵」ではありませんが、みんなで真剣に考えていれば、業務を改善して効率よく部分が多いでしょう。
しかし、改善活動の落とし穴は「引き算」だということです。

コストダウン提案でも似たようなことになりがちですが、課題は一度、適切に改善してしまうと課題そのものがなくなります。
2つとか3つとか改善するネタとなる課題があるうちは、きっと改善活動も楽しいだろうし、充実感もあったりするでしょう。

しかし「毎月、職場の改善を5つ以上見つけて行うこと」みたいなノルマを課せられると、次第に困り果ててノルマをこなすために、たいして困っていないことまで改善する課題に祭り上げられたりします。
きっと数ヶ月後にはかなり辛くなってくるのではないでしょうか? 結果的に改善件数をでっち上げる活動に成り下がったりします。
そして辿り着くのは「手段の目的化」です。

他にはこんな例もあると思います。

そういう人って、毎時間ポストを確認しに行かなければならないとかっていう謎ルールを削減できないでいるケースも多くて、今すぐにタダでできる業務改善の無駄に気づかないのか、心理的に直せないでいるようです。もったいない。

「@yosatonet」さん

歴史の長い会社であれば、なぞの儀式的な変な風習が一つや二つはあったりしませんか?

例えばこんな実話もあります。

経営会議で使う資料はパワーポイントで作られているんだけど、カラー印刷は高いので、印刷コストを下げるために白黒で行う。
しかし資料にはグラフがあって、グラフは白黒だと分かりにくいので、資料作成チームがみんなで蛍光ペンを持ち、役員の人数分のグラフに色を塗るのです。

これ、冗談みたいな話ですが、ホントにあるんです!
で、この蛍光ペン祭りの始まったキッカケは「カラー印刷が高いから節約したい」なのです。
冷静に考えれば、「たくさんの人が蛍光ペンで塗ってる方がムダじゃん!」と気が付くのではないかと思うのですが、長年の歴史が社員に正しい判断をできなくさせる会社があるのです。

これは極端な例ですが、いずれにせよその会社独特の変な儀式に対して「もう、こういうムダな作業はやめませんか?」と言ってみるのはどうでしょう?
これなら一銭もかけずに改善できますね。必要なのは勇気一つです!

 

「お金を掛けずに業務改善する」ということの真実

では、実際にお金をかけずに業務改善する方法はあるのでしょうか?
それについては、以下のツイートが参考になると思います。

自前で業務改善するとしても工数はかかるので、殆どの場合、コストは0にならないのですよね。
可能性としては、フリーで公開されているソリューションに、業務改善の目的に合致した物が存在した場合、ですが、これも、それを探し出すための工数は0ではないので、いずれにしてもノーコストは無理。

「@WD4096」さん

「一銭もかけずに」というと多くの人は「費用=キャッシュアウト(社外への支払い)」と考えるのではないでしょうか。
確かに、社内の人間であれば、作業をしても/しなくても給与を毎月払うわけですから、”見かけ上のゼロ”ではあります。
こう考えれば、社内の人間だけで改善すれば、費用が掛からないと考えてしまうのも致し方ありません。

しかしながら、これは「工数」に空きがある場合の話です。当然、情シスは他にも業務を抱えています。
特に「業務を改善する」ということは、現状整理に始まり、目標やその実現アイディアの検討、変更により発生するリスク想定をするなど、時間が必要です。
そうなれば他の業務にも影響を与えるでしょうし、実際問題、「コストゼロ」で実現するのは難しいといえます。

仮に、効果的なツールを使うことで業務改善が可能な場合などであれば、無償枠で使える時があります。
数名でスモールスタートし、ツールのテストしたいような際にはこれが当てはまります。
例えば、「ユーザー数が3名以内であれば無料」のような条件のツールです。

とはいえ、自社の業務改善に最適なツールで、且つ、都合よく無料といのも、そうそう見つかりません。
つまりは「無料で使えるツールを探す」という作業が発生し、そこには「工数」が掛かっているのです。

そして、よしんば無料で使える都合の良いツールがあったとしても、そのツールの使い方を習得するにも時間が掛かります。そう、学習コストが掛かるのです。
結果的には「社外には一銭も支払いしてない」かもしれないけど、社内の人たちの「工数」が掛かっていることは認識すべきなのです。

 

予算が確保できれば、つつがなく改善できるのか?

会社の理解が得られれば、お金をかけてでも改善するという場合もあります。
では、逆にお金をかければ改善できるのか・・・というと、下記のツイート見るとそうでもないようです。

逆に「そんなに掛けるの???改善しないのに???」は結構見ましたね。経営層が「金を出す」=「本気である」と思考停止すると起きます。
「本気で取り組んだけど難しかった」と言い訳するために無駄金を使う。
足りないのは経営層のおつむと当事者意識が過ぎて非効率絶対殺すマンと化した狂人です。

「@IT_craftmanship」さん

その通り!なのです。
会社側が現場以上に本気になり、費用を投入してくれる場合もあるのですが、その場合は当然投資したなりの成果も求められます。
現場としては「ちょっと改善したい」と思ったとしても、会社側が乗り気になりすぎて「えっ!そこまでは思ってないのに・・・こんなにお金をかけてどうしよう・・・」ってなると、それはそれで逆に悲惨ですね。

結局、お金を掛けてしまったので「やり抜くしかない!」と気合いと根性だけで、できる自信もないまま無理を承知でやってみると…、まぁ、たいていの場合は失敗します。

 

根本的な解決は人材育成して、ちゃんと計画を立てるしかない

このような感じで「ムダをなくせ!」と言いながらもムダなことを止められない人たちや「社内の人材でやればタダ」と思ってる人たちや、できもしないチャンレジをして自爆する人たち。
なぜこのような残念な結果になってしまうのかというと・・・、とどのつまり「業務改善ができるような人材が居なかった」ということです。

漠然とこうしたい、というアイディアがあったとしても、それを解決するための適切な手段や方法を判断できないからオカシナ方向に行ってしまうのです。
そして何故オカシナ方向にいってしまうのかというと知識と経験が不足しているといえます。

これまでの説明でご理解いただけたかと思いますが、業務改善をやるなら、それ相応の準備が必要な筈です。

 

業務改善を行うなら

  • 業務を棚卸しする(今、何をやってるのか調べてみる)
  • 業務の優先順位と取捨選択(不要な作業はさっさと捨てる)
  • 業務改善後には「どうなっていたいのか?」というビジョンを描く(目的地を設定する)
  • 改善のために役立つツールの選定
  • 役立つツールの使い方の習得(この時点では練習レベル)
  • 役立つツールを本番展開するための計画(いきなり本番運用すると高確率で失敗する)
  • 役立つツールを部分的に本番で利用する(スモールスタート)
  • 役立つツールを全社的に展開する(本格的な利用)

と、こんな順序になると思いますので、まずは「計画」を立てるところから始めてみましょう。

厳しいことを言えば、何の手段も分からずに取り組むから失敗するのです。
地図もなく車で走り出しても、最後は道に迷うだけに決まってますから。

 

※本記事は松田軽太様許諾の元、「松田軽太のブロぐる」の記事をベースに再編集しております。


松田軽太(まつだ・けいた)

とある企業に勤務する現役情シス。会社の中では「何をしているのかナゾな職場」でもある情シス業務についてのTipsや基礎知識などを紹介する。

ブログ『松田軽太のブロぐる』を運営。

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