ご存じですか?「テレワーク・デイズ2019」

今、テレワークの普及が勢いづいています。官民一体で、2017年7月から「テレワーク・デイ」がスタート。2018年は期間を5日間に拡大して実施されました。東京オリンピック/パラリンピックの交通混雑対策や働き方改革に大きなメリットを持つというテレワーク。2019年は、2020年東京大会前の本番テストとして、期間も約1ヶ月間の7月22日(月)~9月6日(金)を「テレワーク・デイズ2019」実施期間と定め、テレワークの一斉実施を呼びかけています。今回はその概要とメリット事例、課題などを紹介していきます!

<画像出展:https://teleworkdays.jp/>

”働くを変える日”テレワーク・デイズとは

さて、唐突ですが7月24日はなんの日でしょう? 芥川龍之介の命日と答えた人は文学好き。北の湖が横綱になった日と答えた人は相撲好き。おそらく多いのは、2020東京オリンピック開催日でしょう。でも、今回の正解はそうではなくて、「テレワーク・デイ」です。
このテレワーク・デイは総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府では、東京都および関係団体と連携し、展開する働き方改革の国民運動です。2017年より、2020年東京オリンピックの開会式にあたる7月24日を「テレワーク・デイ」と位置づけています。
2017年(7月24日のみで実施)には約950団体、6.3万人、2018年(7月23日~27日の5日間実施)には1,682団体、延べ30万人以上が参加して、検証が行われました。


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なぜ、官民でこのようにテレワークの普及を進めているのかといえば、その理由はふたつ。「世界最先端IT国家創造宣言」と「イギリスの成功事例」です。

世界最先端IT国家創造宣言(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20130614/siryou1.pdf)は、2013年の6月に策定されたもので、ITを経済成長のエンジンと位置付けて、超高齢者社会に伴う労働人口の減少や社会保障の増大、またはインフラの老朽化、大規模自然災害への対策に活用していくIT戦略案。このなかで、政府はテレワーク普及・促進の目標も掲げていて、2020年までに「テレワーク導入企業を3倍(2012年度比)」、「週1日以上終日在宅で就業する雇用型テレワーカー数を全労働者数の10%以上」をめざすとしています。目的は若者や女性、高齢者、介護者、障がい者をと問わず、また、外出先や自宅、遠隔地など場所も問わず働ける環境の創出。そして、女性の社会進出や労働力の確保、男性の育児参加、仕事と介護の両立の促進です。

一方のイギリスの成功事例とは、「オリンピック時の交通混雑回避」。2012年のロンドンオリンピック/パラリンピックの開催で大きな交通混雑が予想されたことから、ロンドン市交通局が企業にテレワークの呼びかけを実施。これに商工会議所などの企業や市民が賛同し数多くの企業がテレワークを導入しました。結果、交通混雑を回避でき、かつ「事業継続体制の確立」「生産性や従業員満足の工場」「ワーク・ライフ・バランスの改善」などの成果をあげられたといいます。これに習い、日本も2020年に東京オリンピック・パラリンピックを迎えることから、テレワークの普及を進めています。

 

【成果】テレワーク・デイのメリットはいかほど?

前述のように一昨年のテレワーク・デイでは約950社、昨年のテレワーク・デイズでは1,682団体がテレワークを実施しました。その成果が気になるところですが、テレワーク・デイで紹介されている実施企業の実践事例集(http://teleworkgekkan.org/day0724/pdf/all-day.pdf)から一部を抜粋してみると・・・、

・株式会社NTTデータ
従業員2,950名がテレワークを実施。会社の最寄り駅を利用する従業員数を約2,500人削減。また、実施従業員の半数以上が購買行動の消費が減ったと回答しています。

・伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
従業員・派遣従業員計2,700名がテレワークを実施。うち、86%が通勤ラッシュ時間帯を回避でき、80%が通勤時間の短縮を実感。テレワーク普及への展望では、88%が今後も活用したいと回答しています。

・味の素株式会社
従業員500名がテレワークを実施。会社の最寄り駅を利用する従業員数を426人削減。実施従業員のコメントでは、「通勤時間の削減から、その分の時間を有効活用できた」「自分のPCからテレビ会議を行い、社外環境下でも円滑に会議を実施できた」とあります。

・カルビー株式会社
従業員270名がテレワークを実施。うち、71.8%が業務効率の向上、87.3%がライフ・ワーク・バランスの向上を実感と回答。購買行動では、42%が消費は減少したと回答しています。

 

このように、さまざまな企業でテレワーク導入し成果をあげていたようです。交通混雑回避から見れば、特にNTTデータは大きな成果をあげています。また、味の素のように「通勤ラッシュ回避、通勤時間の削減による有効時間の活用」といった回答は他の事例にも複数見られ、従業員のライフ・ワーク・バランスの向上にも明確につながっていることがうかがえます。

 

さらに、テレワーク導入は企業の消費電力のコストカットにも寄与しています。

SCSK株式会社
従業員1,722名がテレワークを実施。消費電力は通常20,054kWh→実施日16,450kWhへ。

・日本ユニシス株式会社
従業員1,241名がテレワークを実施。消費電力は通常79,500kWh→実施日78,696 kWhへ。
・ノボ ノルディスク ファーマ株式会社
従業員226名がテレワークを実施。消費電力は通常912 kWh→実施日758 kWhへ。

 

【課題】メリットと期待もあるが、課題も・・・

上記のように、社会にも企業にも、そして従業員にもメリットがあるとすれば、テレワークの普及は今後も進んでいくことは明らかです。

しかし、事例集にはテレワークの課題を示唆する事例も取り上げられています。MSD株式会社は当初予定していた規模でテレワーク・デイの取り組みを実施できませんでした。その理由は、2017年6月末に発生したグローバル全社に向けた世界的なサイバー攻撃の影響。ITシステムの障害により、オフィスでしか対応できない業務が増加し、従来在宅勤務をしている社員も出勤するなど対応が求められたそうです。

ここから、同社は「あらためてテレワークを実施するにはITインフラの整備がきわめて重要であると実感した」とコメントを寄せています。

 

【ミッション】テレワーク環境を整備していくのは情シス

テレワーク・デイ/デイズを機に、テレワーク実施企業も数多く登場していくことでしょう。そして、その実施に向けて考えなければいけないのは、やはりセキュリティ対策です。

総務省は2018年4月に「テレワークセキュリティガイドライン(第4版)を公表しました。

 

・総務省:『セキュリティガイドライン(第4版)』

http://www.soumu.go.jp/main_content/000545372.pdf

 

第3版からは、「BYODやクラウドサービス利用時の留意点」「VPNやhttps接続の利用など、無線LAN脆弱性対策」などを追加し、在宅型テレワークだけではなく、ニーズが増加するモバイルワークにおける脅威対策が拡充されています。また、参考リンク集として、従業員の情報セキュリティの理解度を確認できる「情報セキュリティ理解度チェック(日本ネットワークセキュリティ協会)」や経営者がCIOなどに指示すべき内容をまとめた「サイバーセキュリティ経営ガイドライン(経済産業省)」なども紹介されています。

また、経営者/システム管理者/テレワーク勤務者ごとに実施すべきセキュリティ対策のポイントをまとめた「テレワークセキュリティガイドライン(第4版)におけるセキュリティ対策のポイント」も公表されているので、参考にされるとよいでしょう。

 

・総務省:『セキュリティガイドライン(第4版)におけるセキュリティ対策のポイント』

http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000200.html

さて、上記のセキュリティ対策からもわかるように、テレワーク導入・実施・運用に欠かせないのが情シスやCISOの存在。「端末/アプリ管理」「ランサムウェアや無線LAN脆弱性対策」「クラウドサービス/SNS利用のルール策定」といったセキュリティ対策や「費用対効果を考えたシステムの選定・提案」はもとより、テレワーカーの作業申請や労働時間の算出に使うアプリ選定・提案など、テレワークには情シスのチカラが求められるポイントが多々あります。

つまり、情シスがテレワークの成果を支えるのです。

 

ぜひ、万全の準備のもと、よりよい働き方改革を進めていきましょう。

【執筆:編集Gp 坂本 嶺】

 

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