よい会社をつくるのはやっぱり人・・・、いや猫と犬だ!
愛しいペットが働く気も呼び覚ましてくれます
無機質なオフィスで、黙々とPCに入力。はるか向こうの窓を眺め、なんとなくため息。隣の同僚がイライラしていて、私もイライラ。ただでさえ狭いデスクは資料の山でマウスがぶつかる。 “あぁ、もういやだ”。会社勤めをしていると、ふとダウナーな気分になることもあります。そんなとき、ひとときの癒しに浸りたいものですが・・・、何を癒しとすればよいのやら。
仕事なんて放っておいて、早く帰ってペットと遊びたい−−、きっとそんな風に感じている人もいることでしょう。
さて、そんな働く人の気持ちを知ってか知らずか。最近、「ペットがいる会社」が世界で増えているのだとか。オフィスでふと合う目と目。気まぐれか、察しているのか、そっと体を擦り寄せてくれるネコやイヌたち。そんな環境で働けたら、きっと生産性3割アップ間違いなし! ですよね。
ペットとの同伴をOKにした会社には、実はちゃんとした理由があるそう。「アニマルセラピー」の一環で、仕事のストレスを和らげてくれる効果があると科学的に証明されているんだそうです。愛しいペットと出勤として一緒に帰る、そんなスタイルが当たり前の時代もやってくるのかもしれません。
あのグーグルもアマゾンもペット同伴OKです
ペット同伴でとくに有名なのが、GoogleやAmazon。イヌとの同伴を許可しているGoogleは、イヌに対する考えを企業理念に掲げるなど、かなり積極的にフォローアップしている模様。Amazonでは、同伴リストに2,000匹のイヌたちが登録されているとともに、ペットの種類も多くインコやブタ、なんとニシキヘビと出勤している社員もいるとか。
そのほかにも、アメリカ発のニュースサイト・ハフィントンポストやソーシャルメディアのTumblr、アイスクリームブランド・ベン&ジョリーズなども制度を設けているそうで、ペット同伴は先端&有名企業の間で着実に広まりつつあるようです。
そして、ブームは日本にもすでに到来。キットカットやコーヒーで知られる「ネスレ日本」やスニッカーズで知られる「マースジャパンリミテッド」、ペットショップなどの運営を手がける「UGペット」なども以前から制度を設けていて、マースジャパンリミテッドはキャットルームや獣医師の常駐、UGペットは託児ならぬ託イヌスペースも完備しているといいます。
さらに、有名なのがITベンチャーの「ファーレイ」。ネコとの同伴が可能なだけでなく、保護ネコを飼っている従業員には月5,000円の「ネコ手当」なるものも用意されているとか。これらの制度は、「恵まれないネコたちの保護を通して社会貢献に寄与したい」との思いからはじめたそうです。すばらしい!
かけがえのないペットと働き、溢れるしあわせ感
最後に、ペットと働く効果について、詳しく見ていきましょう。
純真無垢な仕草や表情を見るとき、ふいになぜたり抱きしめたくなったりする人は多いハズ。また、そうして幸せを感じる人も。私たちのこういった感情には「オキシトシン」というホルモンが密接に関係しています。
オキシトシンとは、脳に流入する神経伝達物質であり、主に「楽しさや愛情」を感じたときに分泌されることから「幸せホルモン」や「愛情ホルモン」ともよばれます。そして、例えば恋愛やハグ、映画を観て感動するなど日常のさまざまなイベントほか、ペットとのスキンシップでも多く分泌されることがわかっています。ここで、とても興味深いのが、それは“人だけではない”こと。飼い主とのスキンシップで、ペットもオキシトシンを分泌しているのです。
とくに、顕著なのが犬だといいます。
2015年にScienceに掲載された麻布大学、自治医科大学、東京医療学院大学の共同グループによる研究成果によれば、「人とイヌの“絆”は愛情表現とオキシトシンにより深まる」とのことで、さらに、他の動物では敵意を表す「見つめ合い」が、イヌのオキシトシン分泌濃度を上昇させることが明らかになったそうです。
また、アメリカのクレアモント大学院大学の神経経済学者ポール・ザック博士も興味深い研究結果を発表しています。飼い主に遊んでもらったイヌのオキシトシンを計測するもので、10匹を調べた結果、平均57%以上のオキシトシンを分泌したといいます。この割合を人に当てはめると「子どもやパートナーとのふれ合い以上」なのだそう。イヌが飼い主とのコミュニケーションをいかに大切に感じているかがわかります。
加えて、ザック博士は、「オキシトシンは、人間が心地よさや楽しさを感じたときに分泌される」「その分泌量の違いは、どれだけストレスを抱えていたかに比例する」とも。まさに、ここがペットとともに働く効果だといえそうです。つまり、クリエイティブな業務にしても、ルーチンな業務にしても、職場は継続的にストレスが発生しやすい場所。そこにペットがいてくれることで、気持ちをリセットでき、フレッシュな意欲を持って働くことができるのです。
サイクルが早く競争も熾烈きわまるIT業界で、大きな存在感を誇示し続けるGoogleやAmazon。このハイパージャイアントたちの同伴制度は、IT人材のパフォーマンスを最大化させる環境を追求した結果なのかもしれません。働き方改革が叫ばれる昨今ですが、労働の仕組みだけではなく、こういったところにも注目する必要がありそうです。