Windows10時代のPC調達術~「ライフサイクル」を意識して賢くPCを使う~5

2017/07/26

PCの「ライフサイクル」を意識したPCの導入について解説する「Windows10時代のPC調達術」。今回は業務用でPCを使っていれば避けては通れない故障に対して備える「保証」について考えます。(構成・文:三好裕紀<Yu-Factory>)

PCは思いのほか壊れやすい

最新の技術が搭載されているPCは、一方で意外と故障しやすいデジタル機器です。たくさんの電子部品を組み合わせて作られているため、1つでも故障すると不具合が起こります。そのため、おのずと故障率が高くなるのです。

CPUやメモリなど、半導体の部品は、どちらかというと故障しにくいのですが、電源で使われているコンデンサーやデータを記憶するHDD(ハードディスク)など、使用しているうちに劣化が進む部品は、一般的に故障率が高い傾向があります。また、ノートやモバイルPCなどといった持ち歩くPCでは、落としたり、ぶつけたりして、物理的に破損することも珍しくはありません。

今やPCは業務に使う大切な道具です。故障をすれば仕事ができなくなり、業務に支障が出ます。だからこそ、もし故障をしたら修理を行い、速やかに使えるようにしなければいけません。そのために重要となるのが故障に対応するための「保証」です。

メーカーが力を入れる延長保証サービス

みなさんもよくご存知だと思いますが、PCには1年間の無料保証期間が付いています。これは、工場からユーザーの手に渡る流通の過程で取り扱いが原因で起こる故障や、生産時に不具合が起きている「初期不良」のPCに対する保証です。PCは、生産から出荷時で特に故障が起こりやすい傾向があるため、メーカーも無料で保証をしているわけです。

以前は、これ以上の保証は無償も有償もほとんどありませんでした。個別に保守契約を結べばサポートは受けられるケースもありましたが、一般的ではなかったのです。PCは一定の期間をすぎると故障率が上がってきます。これは、部品の経年劣化や消耗による故障が増えるためです。以前の保証サービスであれば、もし1年を超えて不具合が発生した時に、ユーザーは極端なことをいえば、PCを買い替えるしか方法はありませんでした。

こうした状況を受けて、最近はPCメーカーでも、3~5年の延長保証を比較的安価な金額で付ける有償サービスを行うようになりました。メーカー以外でも、独自に複数年の保証サービスを提供する事務機器ディーラーもいます。こうしたサービスの費用は機器代金に含めることができます。そのため、購入費用と一緒に経費として処理することも可能です。

また、保証だけてはなく保守も含めたサービス内容も充実させています。例えば、当日や翌日に出張修理に来てもらえる「オンサイト保守」というサービス、不注意による破損などの修理費用を保険で賄うモバイルPC用の保証サービスなどがあります。そのほか、海外拠点での保証に対応したサービスを提供しているメーカーもあります。海外に出張が多い会社や、海外拠点を持つ企業では、こうしたサービスを提供するメーカーのPCを選ぶのも手です。

コストを考えるなら「レンタル」というも選択肢も

一方、レンタルでPCを導入している場合には、PC故障時にはレンタル会社が、すぐに代替機に交換してくれます。これはレンタル料に保守費用が一般的には含まれているためです。修理の費用もかかりません。こうしたメリットがあるレンタルは、導入する条件によってはトータルの費用が少なくて済むケースもあります。そのため、導入だけではなく、導入後の故障や修理までのコストを考えている企業であれば、利用を検討してもよいかもしれません。

保証は「保険」 必要経費として考える

個人用のPCはとは異なり、仕事で使うPCは収益を上げるための「道具」です。故障すれば修理が終わるまで業務が遂行できません。このことはビジネスでの損失につながります。そうならないための「保険」が保証サービスといえます。だからこそ、万が一の時に備えるために利用する価値は十分にあるといえるでしょう。


参考文献:一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) PC修理関連Q&A

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