IPAは改正民法に対応した「情報システム・モデル取引・契約書」を公開。ユーザ企業・ITベンダ間の共通理解と対話を促し、よりよいITシステム開発が行われることを期待しているという。
背景
デジタル技術を活用して企業のビジネスを変革し、自社の競争力を高めていく「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が注目を集めていることは周知の事実。経済産業省が2018年9月に公開した「DXレポート」では、DXを円滑に進めるには、ユーザ企業、ITベンダが双方の間で新たな関係を構築していく必要があると提言している。そのために、DXの進展によるユーザ企業とITベンダのそれぞれの役割の変化等を踏まえたモデル契約の見直しの必要性が指摘されています。
こうした状況を踏まえ、IPAでは、経済産業省が2007年に公開した「情報システム・モデル取引・契約書」、およびIPAが2011年に公開した「非ウォーターフォール型開発用モデル契約書」についての見直しの検討を2019年5月から行ってきたという。
まず、この検討全体を取りまとめる「モデル取引・契約書見直し検討部会」を設置し、民法改正に対応した「情報システム・モデル取引・契約書」の見直しについては、同部会の下で、ユーザ企業、ITベンダおよび法律専門家から成る「民法改正対応モデル契約見直し検討WG」において検討を重ねてきた。
概要
IPAはこれまでの検討を取りまとめ、2020年4月に施行される改正民法に直接関係する論点を見直した、「情報システム・モデル取引・契約書」の民法改正を踏まえた見直し整理反映版(以下、「民法改正整理反映版」)を、2019年12月24日に公開した。
尚、「情報システム・モデル取引・契約書」には第一版と追補版があったが、今回、そのそれぞれについて見直しを実施し、更新版を公開している。
「民法改正整理反映版」は、ユーザ企業、ITベンダ、関連業界団体、および法律専門家の参画を得て議論を重ね、中立的な立場でユーザ企業・ITベンダいずれかにメリットが偏らない契約書作成を目指しているところが特長である。
後述のように、民法改正がITシステム開発の業務委託契約に及ぼす影響について論点を絞り、現行のモデル契約条項と解説の修正版、および見直しについての解説を整理している。
IPAはユーザ企業・ITベンダ双方が「民法改正整理反映版」を参照することで、契約のタイミングで双方がシステムの仕様や検収方法などについて共通理解のもと対話を深め、よりよい関係のもとITシステム開発が行われることを期待している。
DX時代に求められるアジャイル開発への対応や、民法改正に直接かかわらない論点については引き続き検討を重ね、2020年中に改訂版を公開する予定である。
見直しのポイント
以下は影響の大きな改正項目の抜粋になります。詳細については「全体の解説」をご覧ください。
「民法改正整理反映版」の構成とダウンロード
- 全体の解説
- 情報システム・モデル取引・契約書(受託開発(一部企画を含む)、保守運用)
- 情報システム・モデル取引・契約書(パッケージ、SaaS/ASP活用、保守・運用)
※(修正履歴)とあるものは、前版からの修正履歴を残しています。
※(ひな型)とあるものは、解説文は無く、条文のみとしています。
※ Word形式の文書は、自由にカスタマイズしてご利用いただけます。
本内容は、IPA様のプレスリリースを元に作成しております。
ソース:https://www.ipa.go.jp/ikc/reports/20191224.html