【第4回 国際ドローン展】もっと、空に革命を!! 輸送、測量、保守・点検あらゆる分野に広がるドローン・テクノロジー

  • 2018/4/25
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2018年4月18日〜20日の三日間、「第4回 国際ドローン展」が開催された。

幕張メッセに今年も、産業用ドローンの“今”が集結。各ブースには、さまざまなニーズに応じ進化を見せる機体がずらりと並んだ。そして通路には、そのバラエティに富んだドローンを一目見ようと駆けつけたたくさんの人。会場は、終始賑わいを見せ、ホットさを感じた。

熱の入った担当者の説明とそれに聞き入る来場者。その様子を見ると、空の産業革命がついに本格始動するような、ワクワク感を覚えた。情シスNAVIでは、展示会に集まったドローンやサービスをさまざまに紹介する。

 

時速100km/hや電波遮断でも自動着陸!! 「物資輸送ドローンの今」

・東京航空計器「GNAS SKY」

航空宇宙関連事業を展開する東京航空計器は、産業用ドローンの開発でも知られる。「GNAS(ジーナス)」は同社のドローンブランドであり、「GNAS SKYシリーズ」は、自社開発の国産ドローンとなる。

「GNAS SKY シングルローター」は、災害時や緊急時を想定した物資運搬や医療用血液輸送向けドローン。優れた耐風性能と最大100㎞/hのハイスピードを持ち、30分のフライトが可能。最大5kgまで物資を積み飛行できる。対する「GNAS SKY マルチコプタ」は、物資輸送に加え撮影など、多用途に活用できる汎用タイプ。フライト時間、最大積載量はシングルローターと同様。機動性と安定性を備え、最大50㎞/hで飛行する。

展示では、「無線操縦システム」という管理システムもあった。従来タブレットなどで管理されることの多いドローンだが、同システムにより安定した管理が可能となる。GNAS SKYシリーズは現在実証実験を控えた段階だが、あたらしい国産ドローンの今後の躍進が楽しみだ。

 

・スカイシーカー「DJI社製 QSシリーズ」

ドローンを活用した野生動物調査や防災ソリューションなどの提供を行うスカイシーサーは、DJI製ドローンの新シリーズを展示QS8は、8枚羽の独特な機構を持つ。プロペラ数が多いことで、プロペラ破損による墜落を回避しやすい。風圧抵抗は最大12m/sと高い耐風性も備える。また、特筆すべき性能が、「オンボード制御基板」だ。これにより、「電波遮断時の強制帰還なく、目的地への自動着陸が可能」だという。ドローンの舞台は、天候や建造物など、常に電波遮断のリスクが伴う環境下であり、この性能のニーズはきわめて高いといえるだろう。QSシリーズは、東京都あきる野市に自治体防災対策として導入されている。

 

 

圧倒的な効率化を実現!!「測量・調査・点検ドローン」の今

・昭和技術設計「ドローン搭載型レーザースキャナシステム」

山梨県に本社を構える昭和技術設計は、ドローンを活用した測量システムを展示。

従来、地形図の測量は、山間部まで測量員が実際に赴かなければならない。その労力をドローンに代替させるのが同システムで、搭載レーザースキャナが地形の三次元データを取得する。取得可能な範囲は1日最大およそ30ha。人手の場合、約1ヶ月を要するというから、圧倒的な効率化を実現している。

 

SKYLINK JAPAN「赤外線サーモグラフィーカメラ空撮システム」

DJIの正規代理店で知られるSKYLINK JAPANは、赤外線サーモグラフィに実績を持つFLIRのサーマルカメラを搭載したドローンシステムを展示。

高性能なサーマルカメラをドローンに搭載することで、ソーラーパネル点検など、目視困難な点検を効率的に行うことができる。導入時に選択できるサーマルカメラ「Zenmuse XT2」は、FLIR特許技術「MSX」の利用が可能。従来の赤外線熱画像では困難な、対象物の模様や文字などの認識も行える。

 

NEC「インフラ点検システム/ドローン・AIによる画像点検システム」

NECは、インフラをテーマにしたドローンシステムを展示。

インフラ点検システムでは、橋梁やトンネルの点検をドローンが担う。ドローンには目視の代替となるカメラだけでなく、打音点検用のハンマーやマイクも搭載。同システムは研究開発中だが、実現すれば作業員はドローンが取得した画像・音響データを確認するだけで点検が行えるようになる。必要人員を確保し、足場を組み、危険も伴う従来の点検作業を考えると、インフラ保守・点検への貢献度はきわめて大きい。

ドローン・AIによる画像点検は、「ドローンが電線のクラックを自動で検知する」点検システム。AIの画像認識技術が使われており、クラックを検知するとともに、ドローン搭載のカメラが自動で電線を追尾するのも大きな特徴だ。これにより、効率化はもちろん、ドローン操縦者の負担軽減も実現する。

 

・芝浦工業大学/西武建設「構造物への補修剤吹き付けドローン」

芝浦工業大学(伊代田研究室/長谷川研究室)と西武建設は、共同で開発した「補修剤吹き付けドローン」を展示。

トンネルや橋梁など、作業が困難な場所の補修剤吹き付けをドローンが担う。機体には、吹き付けの均一化を図るため、対象との位置関係や傾きを自動で検知するLEDセンサーが付属している。散布精度の向上や飛行の安定性にまだ課題があるというが、展示品は2号機であり、研究開発は着々と進んでいる。

 

 

未来の農業をつくる!!「農薬散布ドローン」の今

・エンルート「AC1500と液剤タンクによる液剤散布ソリューション」

国産ドローンメーカー大手・エンルートは、農業の液剤散布に実績を持つ「AC940-D」の後続機「AC1500」を展示。

搭載する液剤タンク容量は5ℓから9ℓへ増量。飛行最大時間も約10分から約15分に伸びた。オプション追加できる粒剤散布装置は、3㎜、5㎜の豆粒剤にも対応。目詰まりすることなく均一散布を行える新設計が採用されている。

 

 

飛行ニーズへの挑戦!!「長時間飛行を実現するドローン」

・石川エナジーリサーチ「IER長時間飛行ハイブリッドドローン」

石川エナジーリサーチは、現在開発中の長時間飛行を実現するドローンを展示。

試作ドローンは、同社が開発した低振動エンジンを動力源としており、バッテリーではなくガソリンで動く。現在、ドローン燃料の主流はバッテリーだが、平均飛行時間は15〜20分程度。一方の試作ドローンは、約4ℓのガソリンで1時間の飛行が可能だという。同社は、大規模農業向けの農薬散布機や測量など、さまざまなニーズを検討しながら、2018年末にリリースをめざす。

 

 

注目集まる「ドローンスクール」と「レンタル」

JUAVAC「ドローン操縦知識・技術習得カリキュラム」

JUAVACは、高度フライト技術を習得したい人向けのトレーニングスクール「ジェアバック ドローン・エキスパート・アカデミー」を紹介。

国道交通省に飛行許可申請を行える知識・技術を習得できる「基本コース」に加え、「測量基本技術コース」や「非破壊検査基本技術コース」といった測量・点検専門のコースを用意している。現在、ドローンの操縦は民間資格のみだが、近い将来に免許制度が導入される可能性は大きいとの噂も聞く。このような専門職におけるドローンスクールのニーズも、今後一層高まっていくだろう。

・オリックス・レンテック「ドローン・レンタルサービス」

オリックス・レンテックは、ドローン機体のレンタルと、空撮・点検・現地メンテナンスなどのサービスを紹介。

レンタルは最短5日から利用可能。機種も産業用「MATRICE 600 /200シリーズ」やプロ向け「INSPIRE 2シリーズ」、一般向け「PHANTOM 4シリーズ」と豊富。機体保険や自賠責保険も付与されており、安心してレンタルすることができる。

その他のサービスも、レンタル同様手軽に検討できる内容で、ピンポイントの利用や本格導入に向けたトライアルとして活用できるのが魅力的だ。

 

 

産業用ドローンが当たり前になる日は近い

 

運搬、調査、点検・保守、農業など多様なドローン、そしてトレーニングスクールやレンタルサービス。さらに今回は、ドローンの空撮やフライトの場所提供を通して町おこしを行う「那賀町ドローンマップ」というユニークな取り組みの展示も。ニーズの広がりだけではなく、産業用ドローン活用の環境づくりが進んでいることも肌で感じられた第4回国際ドローン展だった。

 また、石川エナジーリサーチのような長時間飛行にチャレンジする会社の存在もたいへん興味深い。飛行時間が伸びていけば、用途はさらに拡大していくことだろう。

ふと見上げれば、ドローンが行き交っている。そんな風景が日常のものになるのに、そう時間はかからないかもしれない。

 

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