【.NEXT Japan 2019】Disruption=創造的破壊がDXを加速する

2019年9月13日、Nutanixによるカンファレンス「.NEXT Japan 2019」が開催。Nutanixユーザー始め、クラウドやデータ運用に課題を抱える企業向けに、Nutanixの製品紹介、最新技術の動向や将来に向けたビジョンなどが発表された。また橋本元大阪府知事も登場し、イノベーションへのヒントが語られた。

運用が複雑になるマルチクラウド時代、イノベーションは起きるのか

2019年9月13日(金)、ザ・プリンスパークタワー東京にてNutanixによるカンファレンス「.NEXT Japan 2019」が開催された。「Invisible Clouds, Visible IT」というコンセプトでNutanixの描く未来のビジョンや、企業の成長戦略を助ける最新製品について発表となった。マルチクラウド化の進む中、最適なデータ運用や業務のイノベーションへのヒントを求めてか、多くの来場者で講演会場が埋め尽くされていた。

.NEXTカンファレンスは、日本のみならず、世界中で2015年から毎年開催されている。今年もNutanixの協力企業を含めた有識者が登壇。中でも橋本徹元大阪府知事の登壇は異色な存在ということもあり、会場には多くの人が詰めかけ、満席であった。

基調講演「Nutanix が考える企業のビジネスを成功に導く3つのD」

冒頭、ニュータニックス・ジャパンの町田 栄作氏の挨拶があり、今回のテーマは「Disruption=創造的破壊」であり、デジタルトランスフォーメーションを進めるべき現在は、新しい時代の改革につながる既存の概念の“破壊”の時期であると語ったところから始まった。


(ニュータニックス・ジャパン 町田 栄作氏)

これに続き、Nutanixの創立者で代表取締役会長 兼 CEO、ディラージ・パンディ氏による基調講演が行われた。
講演タイトルにもなっている「3つのD」とは、「Data(データ)」「Design(デザイン)」「Delivery(デリバリー)」を指す。
まず、過去から比較して扱うデバイスやデータ量が変化してきており、もはやデータはオンプレミスではなくクラウド上で使うことが当たり前になっていると語った。そうした環境下で以下に安全な運用ができるか、が重要であるという。


(Nutanix, Inc. CEO ディラージ・パンディ氏)

パンディ氏は3つの「D」に関して、過去からの変遷を振り返った。
「Data」は、かつては手元のハードウェアに保存されていたが、安全性を求められ冗長化されるようになり、現在はクラウド上で分散させる時代となった。そして、Nutanixのストレージとしても、ユーザーに合わせて構造化データと非構造化データを扱えるように対応してきたと語った。
次に「Design」では、インフラの要素に関してベンダーごとに管理が必要であったデータ運用の従来までの煩雑さに触れ、これからはシンプル化された、構造的なデザインであるべきと述べた。
最後のD、「Delivery」は、物理的に配達していた機器類がソフトウェア化されて手軽に構成をそろえられるようになってきたことを示し、Nutanixではそうしたインフラをスムーズにアプリ開発者へ提供するための製品をそろえてきたと語った。

ここで、Nutanixのマノジ・アガワル氏が壇上に上がり「Xi(ザイ)」というハイブリッドクラウドサービスについてデモンストレーションを交えて紹介した。
ハイブリッドクラウドサービスとは、プライベートクラウド、AWSなどのパブリッククラウドを透過的に運用管理できるインフラストラクチャサービスである。Nutanixでは「Xi」というブランドで展開している。これは運用管理サービスのPrismから、オンプレミスと同じようにパブリッククラウド上のリソース操作も可能となる。個別のコンソールをまとめられ「クラウドがインビジブルになる」とした。
また、ディザスタリカバリ・アズ・ア・サービスとして1クリックでフェイルオーバ―ができる「Xi leap」というサービスも紹介した。煩雑な設計を極力シンプル化したという。

Xi leapは現在Xiクラウド上のみ対応しているが、将来は統合を進め、プライベート・パブリック・クラウドベンダーをまたがる運用を目指すとしている。
そして最後にパンディ氏は、エッジコンピューティング提供のミッションとして、「Xi IoT」というIoT・AI開発のためのプラットフォームを提供する、デジタルトランスフォーメーションを実現していくとビジョンを語った。

「従来の常識をディスラプトせよ。企業の成長戦略を再定義する。」

本日のテーマの“改革”・“創造的破壊”といえばこの人、という最適な人選ではないかと思う、橋本徹元大阪府知事が登壇。大阪知事時代に行った数々の改革について当時の状況や改革に至るまでの困難であった道のりを紹介した。
橋本氏は最初に、3点「うまく行かないときは逆張りをすること、最初の一歩はドカンと大きく踏み出すこと、自分の持ち味を活かすこと」が要点であると切り出した。
橋本氏は大阪の観光事業の活性化について話し、人口減少が進む中でまったく集客につながらなかった過去のやり方を批判し「これまでやってきたことで成果があがらないのであれば、これまでと全く逆のことをやればよい」とした。そして「最初の一歩」の事例として、大阪城公園利用の例を挙げた。大阪城公園ではその手入れの行き届いた美しい芝生を保護するためにイベント開催が禁止されていたという。しかし大阪城を臨む絶好のロケーションであり、特に海外観光客に受けることを見込んだ橋本氏はどうにかイベントを呼び込みたいと、芝生を傷つけるのではなく芝生そのものを剥がしてしまった上で、モトXの大会会場を作ってしまった。そのインパクトはすさまじく、それまで改革に消極的であった大阪市職員の意識改革につながったという。また、観光客に訴えかける景観として、大阪のイメージである「ごちゃごちゃした感じ」を前面に押し出し、京都などとは正反対に“いい意味での下品”を演出する方法として原色でギラギラしたネオン看板を推奨したという。それにより、オシャレでキレイな街並みではなくひたすらごちゃごちゃした、しかし大阪にしかない街並みが完成した。
こうした事例を改革のヒントとしてこれからの日本を変えていってほしいと結んだ橋本氏。とにかくパワフルな橋本流のディスラプトに対する熱意がびしびし伝わってくる講演であった。

企業のクラウドジャーニーの勘所 – Nutanixのビジョンと最新テクノロジー


(Nutanix, Inc. ラジブ・ミラニ氏)

Nutanixのラジブ・ミラニ氏が登壇し、マルチクラウド時代のデジタルトランスフォーメーションに向かう企業がとるべき道のりについて語った。

インフラ・データ・クラウドの運用をインビジブルにするとして、同社の取り組むイノベーションを紹介した。
新世代のアプリと技術は高速化・大容量化に対応することが重要とし、それに対応していくNutanix社のストレージサービスを紹介。同社のストレージサービスはファイルストレージ、オブジェクトストレージとさまざまな形式のストレージを網羅している。ファイルストレージサービス「Files」では、ストレージ機能の提供だけでなくデータ分析や監査のための機能が使え、セキュアで効率的な運用を後押しするとした。オブジェクトストレージサービス「Objects」においてはS3サービスとの互換性がありビッグデータに適したサービスであるという。
そうしたクラウドストレージ運用を行う同社の製品も年々機能拡充されている。ここでデータ拡張やバックアップを行えるサービス「Mine」のオペレーションデモが行われた。現在の製品でオペレーションのシンプル化を図っているというが、将来目指すのはAIを使用した“運用の自律化”であると語った。

それと同時にマルチクラウド時代はアプリのモビリティを担保することが重要であるとし、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)から、そうしたモビリティまで担保された「ハイパーコンバージドクラウド」への進化を進めるという。
最後にAWSとの透過的な操作を可能とするXi Clusterによるプロビジョニングデモを行った。Nutanixクラウド上ではなくAWS環境へのデプロイや、Eraサービスによるデータベース操作が簡単にできることをアピールした。

まとめ

マルチクラウド環境は、様々なクラウドのいいとこどりでコスト削減・業務効率化ができる反面、構築と運用の手間が大きかった。そうした課題を解決する運用の自動化が進み、従来よりも少ない操作でクラウドを運用することが可能となりつつある。運用自動化から自律化への動きに乗り、どこまで統合管理ができるのか今後に期待したい。
HCIのイメージの強かったNutanixだが、クラウドプラットフォームそのものや運用プラットフォームの技術を発展させてきたという同社の歴史を見て、橋本氏の言にもあったように持ち味を芯として活かしていくということがイノベーションを引き起こすということのよい事例であると感じた。

 

【執筆:編集Gp 星野 美緒】

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