いつもの仕事場が “やりがいクエスト”になる!?社内仮想通貨「communitio」
スタンフォードなど、世界のトップ大学がブロックチェーン講義の開始を発表し、日本でもSFCや早稲田が参戦。にわかに活気付く投資でなない仮想通貨界隈。そんな折、颯爽と登場した仮想通貨/ブロックチェーン・サービスがオルトプラス社「communitio」。結構楽しくて、働き方改革にも寄与するというそのサービスとは一体?
この記事の目次
【新時代】投資一辺倒のウラ側で、ユニークな“新”仮想通貨サービス爆誕!!
実は、日本は「仮想通貨大国」であることはご存じでしょうか。2017年秋には、円建てのビットコイン取引量が世界の過半数を占めたと賑わい、今もなお投資熱は続いているようです。でも、少しさびしいのが、消費行動では仮想通貨があまり注目されていないこと。投資文脈以外ではほとんど話題を聞きません。
このように実際の活用があまりないと、基盤テクノロジーであるブロックチェーン、そしてこのブロックチェーンを使ったサービスにも注目が集まらないのが、なおさびしい。・・・が、しかし! というのが今回のお話。
つい先日、ソーシャルゲーム開発などで知られるオルトプラスがリリースした『communitio(コミュニティオ)』をご存じであろうか。これは、ブロックチェーン・サービスかつ、従来の仮想通貨とは別次元の“新”仮想通貨サービスで、「働き方改革にも貢献するサービス」でもある。
ひょっとしたら、日本の仮想通貨のイメージをガラリと変える存在になるのかも。
【コミュニティオ】“社内仮想通貨”って一体なに?
『communitio』は「社内仮想通貨*プラットフォーム」であり、これは“企業が独自通貨を発行できる”サービスのことです。
*社内仮想通貨=仮想通貨に利用される技術を用いて作られ、社内で利用されることに限定されたポイントなどの名称
たとえば、「〇〇社だったら〇〇コイン、△社なら△通貨」という具合に、会社名でもそうでなくても自由に名称をつけることができ、各企業が社内展開できます。この社内仮想通貨を受け取った社員は専用アプリを使い「社内食堂やオフィスコンビニなど」で利用できるほか、「上司・同僚・部下との送受」も可能。提携レストランやオフィスコンビニなどでの支払いは手軽なQRコード決済方式、送受は専用アプリのほか、Slackなどのサードパーティ経由でも送ることもできます。
さらに、ソフトバンク・ペイメント・サービスの決済サービスと連動していて、円からのチャージもクレジット決済対応と簡単です。
また、Office365やG Suite、LINE Worksなどのシステムと連携できるので、ユーザー管理が大変ということもそんなにないのでは?
【企業メリット】「タイムラグのない模範的行動の評価」と「無形価値の掘り下げ」
さて、概要はこのぐらいにしておいて、ここからが本番。企業と社員の双方が享受できる『communitio』の大きなメリットに迫っていきましょう!
『communitio』は運用前に、社内仮想通貨を展開させるための「評価指標」を作成します。たとえば、「事業ミッション達成に寄与したら1000コイン」「業務改善につながる提案をしたら500コイン」「時間通りに出社したら(遅刻をあらためたら)10コイン」など、内容も付与額も自由自在。
ここで、「それなら実際のお金でもよいのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、少額の場合、それを当月締め翌月払いの給与と合算でもらっても、ありがたみの実感は少なく、果たして社員のモチベーションに明確につながるかは甚だ疑問。
一方、『communitio』は評価をダイレクトに社内仮想通貨として受け取ることができ、かつ「すぐに使える」。「評価→インセンティブ発生→付与」の一連の流れにタイムラグが生じず、社員は「評価をありありと感じる」ことができるのです。
また、お金と社内仮想通貨という二軸を社内に置くことで、期待できることがあります。それが「無形資産の掘り下げ」です。
近年、企業経営における重点として注目を集めてきた「インタンジブルズ」。“無形資産”と訳されていて、企業ブランド、顧客資産、情報資産、組織資産、人的資産が該当します。そして、このなかの人的資産とは個々の能力、つまりコンピテンシーのこと。コンピテンシーというと日本では「知識・行動・技能」ばかりに目がいきがちな傾向にありますが、そればかりではなく「性格・価値観・動機」も含まれます。しかし、企業からこれらはとかく見えにくい。社員の性格までつぶさに把握している企業はまず存在しませんし、そもそもそこに明確な評価を与えるのもリスクです。このような一人一人の特性の見える化にも寄与してくれるのが『communitio』なのです。
たとえば、「挨拶」を評価指標にして「おはよう」「ありがとう」「おつかれさま」に、「1コイン」でもよいかもしれません。そうして、挨拶ができる人できない人の評価を行う。些細なことかもしれませんが、企業を支えるのは人である以上、従来「見てこなかった」社員の特性に目を向けるのは、あらたな企業価値を築く糧になるのではないでしょうか。
【社員メリット】会社はやりがいのクエストである!
毎日、意気揚々と出勤する。仕事はうれしくて楽しくてしょうがない。こんな社員が果たしてどのくらいいるのか? きわめて少ないと思いますが、それもそのはず。一人一人の評価、給与額は紋切り型の業績にしかリンクしていないからです。
一方『communitio』では、企業の評価指標クリアによるコイン付与はもとより、社員間がコメントを付けて「送り合う」こともできる。つまり、一人の何気ない行動を同僚が評価(感謝)する環境を自然に構築できます。
“寝坊社員がちゃんと出勤したら10コイン”でも、“誕生日のおめでとうで100コイン”でも、“(仕事の)サポートありがとうで50コイン”でもよい。企業の評価とは別の評価基準を社員自体が築いていけます。
このなにがすごいかといえば、「誰もがよいと感じる行動に貨幣的価値を付与」できること。価値が付与されるのであれば、当然出てくるのが「それを心がけよう」という社員たち。そして、それに刺激を受ける社員たち。やりがいの連鎖です。規範の企業評価の裏側で、社員各自がやりがいを探しながら職場環境を整えていく。そのエンジンを『communitio』が担ってくれます。ボトムアップの働き方改革。みんながよいと思うことをすれば評価され、それが企業にも影響を与える。『communitio』は「やりがいのクエスト化サービス」といったところかもしれません。
余談ですが、ここで『communitio』を提供するオルトプラスの事例を紹介。同社執行役員兼CTO嶋田健作氏によれば、「当社では、Slackと連携して活用していて、なにかよいことをしてもらった社員はそのお礼に“ありがとう”の意を表すため、『39コイン』を送ることが習慣になっている」とのこと。社会人になると、自分の気持ちを言葉で積極的に伝えるのは憚られる面もあります。しかし、『communitio』はこのように気持ちを素直に伝えられるツールとしても役立つのです。社内仮想通貨プラットフォームを介した、「気持ちの伝播」。それはよりよい社内環境の構築につながることだといえるのではないでしょうか。
『communitio』は、社内仮想通貨の効果を個別最適させるための導入コンサル、オフィスコンビニや社食への新規導入サポートなどフォローサービスも充実。今後は福利厚生との連携サービスも予定しているそうで、より進化を遂げていくといいます。
従業員エンゲージメントの向上に新風を吹き込むツールとして幅広く受け入れられていくことでしょう。
【未来】『communitio』からはじまるイノベーション考
さて、最後に触れたいのが、「『communitio』からはじまり得る未来」について。
ここから先は、筆者が至極勝手に書きつらねたもの。
たとえば『communitio』のA社のコインとB社のコイン、さらにC社、D社・・・、のコインを自由に交換できるようになったらどうなるか? そのコインの内訳(どんな理由で得たのか)を送受間で共有できたらどうか? さらに、パブリックな基準ができて、企業コイン間のレートができたらどうか? そうなると、またあらたな価値が生まれそう。
法定通貨とは別のレイヤーで、流通する価値の代替。それをもとにした交流と、形成されるコミュニティ。それは、人々が仮想通貨やブロックチェーンに求めている「トークンエコノミー」の未来。ひょっとしたら、そんな未来を『communitio』が見せてくれる可能性もあるのかも。
P2Pにはじまり、フィンテックの興隆、仮想通貨/ブロックチェーンの浸透から生まれる「価値の変革」の大きなうねりのなかに、今、ぼくたちはいます。
【執筆:編集Gp 坂本 嶺】
2018.10.22
~企業ごとのオリジナル通貨を発行~ 社内仮想通貨サービス「コミュニティオ」正式サービス開始!
企業オリジナルオフィスコンビニや飲料水、弁当など従業員向けサービスの拡充
→プレスリリース はこちら
【日経 XTECH EXPO 2018】~その3~ AI、DaaS…、「ネクストジェネレーション」を支えるソリューションの今!!
【日経 XTECH EXPO 2018】~その4~ 働き方改革、ブロックチェーン、IoT、建設テック・・・、あらゆる分野に巻き起こるDXのうねり