国際大会出場を賭けたロボコン「WRO Japan 2016」 夢の島で国内決勝大会
- 2016/9/27
- レポート
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決勝大会の会場は、BumB東京スポーツ文化館(江東区)。地区予選を勝ち抜いた29都道府県の小中高校生、総勢126チームが一堂に集結した。会場には応援する出場者の家族をはじめ多くの観客が訪れ、会場内は競技開始前から熱気に包まれていた。
WROの決勝大会はエキスパート競技、ミドル競技、オープンカテゴリーの3つで行われた。その中でも注目を集めたのが上級競技の「エキスパート競技」。小・中・高校部門に分かれ、それぞれにテーマが与えられて各チームが競い合った。
シビアな調整が明暗を分けたエキスパート競技
小学生部門の課題は「通学路を掃除せよ!」。用意されたフィールド上の通学路の掃除場所にあるごみ(赤いレゴブロック)を拾って、掃除済みの目印(青いレゴブロック)を置き、ごみをごみ捨て場まで運びゴールを目指す。ここでの評価ポイントは「ロボットが上手くごみを収集できるか」「ごみ捨て場にごみを置けるか」「ゴールできるか」。小学生15チームが参加し、それぞれが真剣な面持ちでロボットの行き先を見守っていた。
競技フィールドの背後には、出番を待ちと同時にロボットの調整を行うウェイティングコーナーが設けられている。参加者はロボットの調整を行う一方、他チームが気になる子供たちは、競技コーナーやモニターに真剣に目を向けていた。
中学生部門の課題は「ごみを種類ごとに分別せよ!」。この部門の競技フィールドが屋内エリアと屋外エリアの2つに分けられている。課題は8個の分別されたリサイクルごみを、屋内エリアから屋外エリアにある4か所の空きリサイクルゴミ入れに運ぶことだ。
高い評価を得るには、ロボットがごみを選定し、どのごみ箱に入れるのかという判別が必要で小学生部門よりもシビアな調整が要求される。この競技は難易度が高かったようで成功したチームには会場から大きな拍手が送られていた。
そして、「Recycling Planet」と題された高校生部門。4か所に置かれたカラー別のリサイクルごみを、それぞれ同じカラーのリサイクルタンクに運び置くという課題だ。フィールドはシンプルな構成だが、見かけよりも難易度は高い。競技では、リサクルごみを持ち上げたものの、落としてしまうロボットやリサイクルタンクまで運びきれないロボットもあった。
リサイクルロボットの展示やプレゼン審査も
エキスパート競技と並行して行われていたミドル競技は、モノをつかむ機構やライントレースなどロボット製作における基本的な技術を競うカテゴリーだ。エキスパート競技につなぐ部門で、こちらも多くの観客が詰めかけていた。また「オープンカテゴリー」も盛況だった。
nornチーム(横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校)によるロボット「温-Haru-」と「巧-Takumi-」
オープンカテゴリーでは、参加チームが製作したロボットを評価する「Rap the Scrap」というテーマで、ペットボトルをリサイクルして結束バンドなどに使える「ペットスレッド」を自動で作り出すロボット「巧-Takumi-」や、一般家庭の廃食油をアロマキャンドルにリサイクルするロボット「キャンドルメーカーロボット」など、ユニークで社会貢献性を持もつロボットの展示が行われた。
福岡県立香椎工業高等学校の「キャンドルメーカーロボット」
また、会場に設けられた自分たちのロボットをアピールするプレゼンコーナーでは、エキスパート部門に参加したチームが競技ロボットや企画ロボットのプレゼンを行った。ここでは企業に所属する36名の審査員が内容を審査。子供たちのロボット熱にあふれた話を審査員は真剣に聞き入っていた。
印ニューデリーの国際大会出場者決まる
大会は朝から一日がかりで行われた。夕方には全競技が無事終了し、各チームの緊張みなぎる中で受賞式が開催された。
エキスパート競技は、プレゼンでも最優秀に輝いたT-trinityチームが高校部でも優勝。小・中学高部では、「3nrチーム(大阪市立平野西小学校、大阪市立喜連東小学校)」と「帝塚山Drei Lichtチーム(帝塚山中学校)」が優勝した。
オープンカテゴリーは、今回の最優秀賞について該当はなしだった。一方で、「キャンドルメーカーロボット」の福岡県立香椎工業高等学校、「巧-Takumi-」のnornチーム(横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校)ほか、Mountain SKY(多摩川学園高等部)、追手門 Forest Challenger(追手門学院大手前中学校)の4チームが優秀賞に輝いた。
プレゼンのカテゴリーでは、高校生部が「T-trinityチーム(帝塚山高等学校)」、中学生部は「MRT Japanチーム(滝中学校、江南市立西部中学校、名古屋市立千鳥丘中学校)」、小学生部で「ロボッターMHKチーム(群馬県桐生市立広沢小学校、群馬県市立藪塚本町小学校)」が、それぞれ最優秀賞を受賞した。
オープンカテゴリー部門(上)とプレゼン部門(下)の授賞式
そして、優勝3チームほか、各準優勝、第3位から選出された5チーム、オープンカテゴリー優秀賞受賞4チームの計12チームが、2016年11月にインドのニューデリーで開催される「WRO国際大会」への切符を手にした。一連の発表が終わると盛大な拍手を持って大会は幕を閉じた。
WROの取り組みについて、小林靖英・NPO法人 WRO Jpan理事は、「国内外での注目度とともに、年を増すごとに科学技術分野の人材育成を求める機運が高まっていると感じている。創造性と問題解決力の育成をテーマに、ロボット競技を通じて今後も青少年の育成に寄与貢献してきたい」と話している。
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