異色の経歴でもノーベル賞は取れる！

情シスとノーベル賞の関連性は、現実味を感じないかもしれませんが、まんざら無縁とも言えないのです。歴代の日本人受賞者は大学や企業で最初から研究職に就いてきた人ばかりではありません。今年の10月に医学・生理学賞を受賞した大村智氏は、定時制高校の教師を務めていた経歴の持ち主です。

せっかくの機会なのでノーベル賞について知ろう

ところでこのノーベル賞、そもそもどんな賞なのでしょうか。

ノーベル賞は、ダイナマイトなど爆薬の開発・生産で巨額の富を得たスウェーデンの発明家であり起業家でもあったアルフレッド・ノーベルの遺言により設立され、人類の英知や発展に大きく貢献した人に贈られます。授与は1901年から始まり、今では世界で最も権威のある賞として知られています。

ノーベル賞は、医学・生理学賞、物理学賞、化学賞、文学賞、平和賞、経済学賞の6部門があります。そのうち、医学・生理学賞、物理学賞、化学賞は自然科学3賞と呼ばれていて、科学者や技術者にとって関心の高い賞です。受賞者には賞金として、各賞ごとに日本円でおよそ1億円が贈られます。なお、各賞に複数の受賞者がいる場合は折半します。

情シスが狙えそうなノーベル賞はどの部門だ？

情シスの仕事に携わっている人はどの部門のノーベル賞が取れるでしょうか。どんな可能性があるのか以下に見てみましょう。

経済変動を大胆予測!?　——経済学賞——

金融取引に関連したシステムを扱う情シスの人にとっては、経済学賞が身近な存在となりそうです。例えば、リーマンショックのようなバブルがはじける前に、大きな経済変動を予測する理論や精度の高いシミュレーション手法を編み出せば、経済学賞の候補となるかもしれません。金融市場のグローバル化が急速に進んだこともあり、前触れもなしにバブル崩壊が起きれば世界恐慌のような大混乱を引き起こす可能性も高まっています。バブル崩壊を未然に食い止められる功績を挙げれば、世界経済の救世主と称されるかもしれません。ちなみに、ノーベル賞の中で経済学賞だけは未だに日本人は受賞者がいません。今なら、情シス初と日本人初の両方の栄誉を勝ち取れます。

サイバーテロから地球を守れ！　——平和賞——

今やサイバー攻撃は戦争に代わるものと言われるほど、その脅威は増大しています。サイバー攻撃を阻止する世界的な組織を自ら設立して、サイバーテロを未然に防ぐ活動をしていけば、平和賞を受賞できるかもしれません。最近は、世界各地で突発的なテロが発生し、報復でサイバー攻撃を仕掛ける動きも見られています。生活に欠かせない施設にサイバー攻撃をしかけられれば、一般市民が戦争の巻き添えと同じ苦しみを強いられるでしょう。罪のない市民の命と生活を守るため、世界中のホワイトハッカーを統括していくリーダーとしてサイバーテロ阻止に立ち向かっていけば、その努力が報われることになるかもしれません。

強い探究心で仕事に挑めば情シス出身のノーベル賞受賞も夢ではない

「ノーベル賞なんて自分にとって無縁の話。情シスの仕事と結びつけたところでおとぎ話にしか感じられない」と頭ごなしに結論づけてしまうことは簡単です。

ここで「婚活」を例に挙げてみましょう。婚活では自分にふさわしい相手を探して見つける行動と努力が大事です。最初から自分は結婚できないと思って何もしなかったら絶対に見つかりません。でも、運命の人は必ずいるという確信をもって日々の出会いを大切にしていけば、意外なところで「この人かも？」というひらめきにも似たサインに気づくでしょう。そんな巡り合いを感じたらとことんアタック！　「結婚は勢い」とは既婚者が語る実体験の一つです。

これを仕事に置き換えてみましょう。毎日のルーティンワークに追われ、自分には世界を変えるような仕事なんてムリムリと思っていたら、たとえその種が目の前にあっても気づきません。でも、1つ1つの仕事を大切にして、そこに将来性のある「何か」を見出せるかもしれないとアンテナを張っていると、大なり小なりの発見があるはずです。もし将来大きな成果になりそうなものが見つかれば、とことん探究心をもって取り組んでみる。時には、教師を辞めた大村智氏のように、その世界に勢いで飛び込むことになるかもしれません。もちろん、人一倍の努力と失敗の数は欠かせませんが、その先にノーベル賞級の大きな成果が待っているはずです。

情シスよ、大志を抱け。

今日も目の前にある膨大な仕事の中に、「人生を変える出来事があるかも？」という希望を見出し、1つ1つの仕事に探求心をもって取り組みましょう。

ちなみに、ノーベル賞には情シスの仕事に深い関わりのあるコンピューターや情報科学に特化した賞はありません。これらの分野でノーベル賞と同等の賞を狙いたいのであればチューリング賞があります。チューリング賞の賞金は日本円でおよそ1億円。この賞は1966年から続く計算機科学分野で功績を残した人に贈られる世界最高の権威を持つ賞の一つとも言われています。ちなみに日本人受賞者はまだいませんので、こちらを狙うのが現実的かもしれませんね。