Windows10時代のPC調達術 ~「ライフサイクル」を意識して賢くPCを使う~1

2017/05/23

「Windows10時代のPC調達術」では、中小企業であまり注目されてこなかった、ライフサイクルを意識したPCの購入方法や使い方を紹介していきます。今回は、序章として、Windowsが7から10への世代交代をきっかけに、PCの「ライフサイクル」について考えます。(構成・文:三好裕紀<Yu-Factory>)

第1回 「そのWindows PC、使えるのはあと3年!?」

みなさんの会社では、どのようなタイミングでPCを買い替えていますか? 「故障するまで」「仕事に支障をきたすまで」という会社が、おそらく多いでしょう。中には償却期間である「4年間」(サーバーは5年)ときっちり決めている会社もあると思います。しかし、そうしたタイミングには関係なく、これから3年以内にPCの買い替え変えをせざるをえない状況が迫っています。理由は「Windows7のサポート終了」です。

2020年1月、Windows7のサポートがすべて終了

マイクロソフトは、Windows7の延長サポートを2020年1月14日に終了すると発表しました。これを受けて、業務用で一部販売されていたWindows7をインストールしたPCは、2017年の10月末で販売を終了するとPCメーカー各社は発表しています。このことが意味するのは、今後はWindows8.1以上のOS(基本ソフト)を搭載したPCしか手に入らなくなるということです。以下の表が、その詳細です。ちなみに、Windows8.1は2023年1月10日、Windows8はすでに終了しています。

延長サポート終了後のWindowsを使い続けるのは「危険!」

表にある「延長サポート期間」は、セキュリティ関係の更新を保証する期間になります。この延長サポートの終了日以降は、セキュリティに対するぜい弱性(弱点)が見つかっても、セキュリティのための修正は行われません。

一般的に、コンピューターウイルスなどは、PCのぜい弱性を突いてきます。セキュリティ対策が行われなくなったOSは、そうしたサイバー攻撃に対して日々弱くなっていきます。攻撃者はそこを狙って攻撃をしかけてくるのです。

仮にウイルス対策ソフトを入れていても、攻撃者は次々新しい方法を使ってきます。完璧に防ぎ切ることはできません。つまり、PCが危険な状態にどんどんさらされていくわけです。

セキュリティ面でのリスクを考えると、延長サポートの終了は「OSとしての寿命を終える時」といえます。サポート終了の発表はWindows7の寿命があとわずかしかないということなのです。これまでWindows7からのアップデートをためらっている企業は少なくありませんでしたが、いよいよWindows10への移行を真剣に検討しなければいけない時期が来たわけです。

「ライフサイクルマネジメント」で計画的なPC導入のススメ

これまで話してきたことから、2020年1月までに会社のPCのOSをWindows10にアップデートするか、Windows10のPCに置き換えたほうがよいということが分かると思います。企業の情報システム担当者(情シス)は「これから3年足らずの間に社内のPCすべてを更新しなければいけない」ということを頭に入れておくべきでしょう。

しかし、PCの入れ替えとなると、情報システム担当者にとっては一大イベントです。PCの選定・購入はもちろんですが、導入のためのセッティングには大変な労力を費やします。入れ替えのタイミングについては、減価償却期間に合わせて4年で変えているという企業であれば、計画や管理は比較的行いやすいでしょう。一方、「壊れるまで使う」という企業であればすべてを入れ替えるのは一大事になります。

会社がどのような方針でPCの入れ替え周期を決めていたとしても、Windows7の延長サポート終了日は刻一刻と迫っています。そのため、Windows10のPCに置き換えは必須ですが、この入れ替えを契機にもう1つ考えてもらいたいことがあります。

それが「PCの計画的導入」です。これには「ライフサイクルマネジメント」という考え方があります。ライフサイクルとは、人に例えると人生になります。PCの場合は、導入の企画・計画、調達、導入、運用・保守、撤去などが、これにあたります。

つまり、ライフサイクルマネジメントは、PCの場合、導入効果、コスト、手間などをマネジメント(管理)することで、PCに対して適切な設備投資をするということなのです。

PCの導入ではどうしても本体の購入価格に目が行きがちですが、導入後もサポートや意外と多い故障対応など、保守面での費用がかかります。また、撤去も情報漏えい対策を考えれば、手軽に捨てるわけにもいきません。こうした点も含めたPCの購入が重要になります。

一方で、PCの導入から使い終わって撤去するまででかかる費用を導入時に試算したことがある情報システム担当者はどれぐらいいるでしょうか? そこまで算出したことがないという人が、おそらく多いでしょう。これは、定期的にPCの更新時期を決めている企業の情シスでも少なくないと思います。

PC導入・更新について、特に中小企業では計画がない会社も多いといいます。しかし、PCの導入から撤去までを俯瞰し、どこにどれだけの手間や費用がかかるのかを算出できれば、情報システム担当者が経営層を説得するための導入効果を数値化することもできます。

だからこそ、これまで計画的にPCの更新・購入を行ってこなかった企業や情報システム担当者は、Windows10への切り替えタイミングを期に、ライフサイクルを見据えたPCの更新・購入をしてみてはどうでしょうか?

今、どの企業にも求められる「投資の効果測定」。2回目以降では、PCではおろそかになっていることが多い、この点について「ライフサイクルマネジメント」の考え方を元にして、調達から撤去まで費用対効果が高い「PCの設備投資」を考えていきます。

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