リーダーのための「時間管理」解決クリニック7「いつも時間ギリギリになってしまいます」

2017/05/22

ここは時間に追われ、忙しいリーダーのために開設されたクリニック。

このクリニックには時間管理にお悩みのリーダーが処方箋を求めて来院します。

おやおや、今日もお悩み抱えたリーダーがやってきたようですよ……。

【今回のお悩み】

土屋さん(係長職)37歳

仕事が忙しいせいか、いつも動き始めるのがギリギリになってしまいます。

出張で駅に向かう時など、電車の時刻ギリギリになってしまい、走らないと間に合わなくて、電車に飛び乗ったりすることが多いです。その時はなんとか間に合うんですが、汗だくになったりします。「次は余裕を持って出るようしよう!」と思うのですが、また同じことを繰り返してしまいます。

そうですね。同じことは社内の会議でもよくあります。違うフロアの会議室に向かう時などには、エレベーターを待ちながらイライラしてしまったり、待ちきれなくて階段を駆け上ったりすることもあります。それでも少し遅れてしまうんです。これって、時間の読みが下手だってことでしょうか?

※このお悩みは実際のご相談の内容を元にしたフィクションです。


土屋さんと同様に「いつもギリギリになってしまう」「余裕を持って行動できない」という声はときどき聞きます。でも、これは時間の読みが下手とは限りません。

ギリギリとはいえ電車には乗れているのですから、時間の読みができていないわけではないのです。ただ、ギリギリになって慌てる状況は、できれば避けたいですよね。もしかしたら、それが大きな失敗や事故につながったりするかもしれません。

このように、行動を起こすのがギリギリになってしまう人は、心の根底に「忙しい」とか「自分の仕事をやる時間が少ない」という焦りがあると思います。だから、ギリギリまで自分の仕事をやろうとしてしまい、なかなかデスクを立つことができないわけです。

これは時間管理、タスク管理を行うことで軽減することができます。そして、もう1つ、区切りのつけ方にも問題がありそうです。

「あと少し」と思っているとなかなか区切りをつけられず、気がついた時にはギリギリになってしまう。その気持ちは私もわかりますが、そこで数分間の仕事を進めるために、約束の時間に遅れるリスクを抱えてしまうのは割に合いません。うまく区切りをつけるように工夫をしてみることが大切です。

では、対策を解説していきましょう。

【いつも時間ギリギリになる人の対策】

なぜギリギリになってしてしまうのか?

土屋さんのように「行動するのがギリギリになってしまう」という人へのアドバイスとして「時間を逆算して行動すればいい」とか「5分前行動をしなさい」と言う人もいます。

確かに理屈の上ではそうなのですが、それがなかなか上手くいかないから本人も困っているのです。だから、もう一歩踏み込んで考える必要があります。

例えば、14時から会議があり、会議室までは5分かかるという状況があったとします。最初は「余裕を持って行動しよう」と思っているのですが「まだ大丈夫」「まだ急げば間に合う」と思っているうちに、時間が少しずつ過ぎて、結局ギリギリになってしまうわけです。

この時、本人は「14時までに行かなければ」と認識してはいるのです。しかし、それが「(ギリギリでもいいから)14時に間に合えばいい」という認識にすり替わっていきます。また、「もう少しだけ」を繰り返している状況では、なかなか区切りをつけにくく、行動し始めるのがどうしても遅くなってしまいます。

これを改善するためには、基準の決め方や区切りのつけ方を変える必要があります。

ゴールではなく、スタートする時刻を決める

自分の行動に上手く区切りをつけるためには、そのつど、時間を逆算して考えるのではなく、最初からスタートする時刻を決めておくのが有効です。

具体的には、アポイントメントの開始時刻を基準にするのではなく、自分がデスクを立つ時刻、つまり「行動開始時刻」を基準にします。例えば、「14時から会議」という予定は「13時55分から会議」という予定として書きとめて(入力して)おきます。あらかじめ、そうやって書きとめておくだけでも、行動は変わってきます。

仮に、次のアポイントメントを「14時から会議」と認識していると、13時50分には「10分前」と判断してしまいがちです。でも、移動時間を考えれば、本当は「5分前」なのです。もちろん、そのつど逆算して考えれば「5分前」だと正しく認識できるはずです。しかし、「もう少しだけ」と慌ててデスクワークをやりながら、同時に時間を逆算して正しく認識するのは意外に難しいことです。

一方、最初から「13時55分に席を立つ」と決めていれば、13時50分には正しく「5分前」だと判断できます。このように「行動開始」を基準にすることで、その行動に向けての準備が自然と早くなってきます。

また、「14時に会議室に着けばいい」と認識している場合、「行動開始すべき時刻」には幅があります。「余裕を持って動くなら13時55分」「でも走って行けば13時57分でも間に合うかな」のように基準がぶれると、気持ち的に区切りをつけにくく、ついつい行動が遅くなります。あらかじめ、行動開始時刻を「13時55分」と一点で決めておくと、その時刻を区切りとして、行動しやすくなります。

余談になりますが、「やらなければいけないことを、つい先延ばしにしてしまう」というお悩みを持つ人はて多くいます。いわゆる「先延ばし癖」です。このように何かを先延ばししてしまう時も「期限までにやればいい(まだ時間がある)」とゴール(期限)ばかりを意識していることが多いのです。こうした先延ばしをなくすためにも、ゴールではなく、スタート時点を具体的にすることは効果があります。

「行動開始時刻」を“見える化”する

ここで「行動開始時刻」の話に戻りましょう。「行動開始時刻」は、ただ決めるだけでなく、「見える化」した方が実は効果的なのです。

アポイントメントを手帳に書いている場合は、行動開始時刻をそのまま書いておきます。会議そのものの開始時刻は別に書かなくても構いません。スケジュール管理ソフトやグループウエアを使う場合は、ソフトウエアによって時刻の表示が異なります。

上の画像で示した例で、左の画面の場合は、開始時刻と終了時刻が用件名の上に表示されているので、そのままで構いません。右の画面は開始時刻が表示されないので、用件名の前に行動開始時刻を合わせて入力しています。このように少しだけ手間をかけてでも、行動開始時刻を具体的にしておくことをおすすめします。

このように「行動開始時刻」を具体的にしておくと、「○○分の電車に乗るためには何時に出ればいいだろうか?」と、そのつど考えなくてもよくなります。すると、その時刻までは安心して仕事に集中できるという効果もあります。いつもギリギリになりがちな人は、ぜひ試してみてください。

最後にいつもギリギリになってしまうので困っている人への処方箋を出して今回の診察は終了です。

 

【いつも時間ギリギリになる人への処方箋】

■「数分間仕事を進めることで約束に遅れるリスクを抱える」のは割に合わないことだと認識しよう
■「自分は時間の読みが下手」なのではなく「区切りをつけるのが下手」だと自覚しよう
■アポイントメントの開始時刻よりも、自分が行動し始める時刻を基準にしよう
■行動開始時刻を「見える化」する習慣をつけよう

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