【情シスTips】もう怖くない!サービスとして活用するWindows10(第2回)
- 2019/4/22
- ナレッジ, 情シス仕事術
- JEITA, WaaS, Windows10のメリットを活用するためのポイント, Windows10移行, 情シス, 留意点
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JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)の情報・産業システム部会 PC・タブレット事業委員会傘下のPC・タブレットユーザサポート専門委員会では、継続的にアップデートされるWindows 10とうまく付き合う方法として、「Windows 10のメリットを活用するためのポイント」をまとめ、移行のためのユーザーの準備を促しています。
そもそもWindows10とはどのようなものなのか? 導入すると何が起きるのかなど、これまでのWindows OSとの違いなどを交えて、シリーズで解説します。
「サービスとしてのWindows:Windows as a Service」の仕組みを把握し、情報システム部門やその役割を担っている方々には、Windows10の正しい理解をしていただき、万全の体制でWindows10の導入をしましょう!
第2回は、「Windows 10のバージョンアップに伴う留意点」についてです。
第1回で、既にJEITAの文書は読んでいただいたと思いますので、第2回以降は、JEITAの文書の主旨を引用しながら、情シス視点、企業ユーザー視点での情報を補足していきます。
互換性の追従の限界
Windows 10は継続的に新しいバージョンが提供され、それを適用していくことによって継続して使用できるOSです。Windows 10をバージョンアップしても大半のハードウェアやデバイス、アプリケーションは、そのまま動作しますが、中には従来通りに動作しなくなったり、使用できなくなったりするものもあります。
「OSの機能アップデートにより社内システムに異常をきたした」というようなことは、情報システム部門の方であれば耳にしたこともあるのではないでしょうか。
PCメーカーやデバイスメーカー、アプリケーションメーカーなども、Windows 10のバージョンアップにできるだけ追従をしているのでしょうが、どうしても限界がありますので、致し方無く動作しなくなったり、使用できなくなるデバイスや機能が出てくる可能性があることを理解しておく必要があります。
実際には、Windows 10の累積更新プログラム(QU)が適用されて、OSビルドが上がっただけでも、従来通りに動作しなくなるケースもありますので、よりOS環境の変化の大きい機能更新(FU)については、十分に注意する必要があります。
バージョンアップによる機能変更
情報システム部門では、社内システムへの影響がないよう、バージョンアップ(機能更新)を適用する前に十分な確認が必要ですが、Windows 10はバージョンアップによる仕様変更があることにも注意が必要です。
下記URLには、バージョン1809で削除・非推奨となった機能がまとめられています。
【参考】Features removed or planned for replacement starting with Windows 10, version 1809
https://docs.microsoft.com/en-us/windows/deployment/planning/windows-10-1809-removed-features
「Snipping Tool」が非推奨になっていますので、将来的に削除されるかも知れませんが、これについては代替の機能がありますので、大きな問題は無いでしょう。情報システム部門は、このような情報にもアンテナを高くしておくことが大切です。
JEITAの文書では、「ホームグループ」の機能削除や、「デバイスの暗号化」の設定画面の移動などが例として挙げられていますが、「[スタート]ボタンを右クリックするかWindowsキー + Xキーを押したときに表示されるメニュー」の中の「コントロールパネル」が、バージョン1703で「設定」に変わったことに戸惑った方も多いのではないでしょうか。
このような操作上の変更は、バージョンアップにおいて発生する場合がありますが、必要に応じて周知徹底するしか無いようです。
Windows 10に対応していないデバイス等
Windows 7や8.1のPCをWindows 10にアップグレードすれば、デバイスやアプリケーションをそのまま使用できる、と勘違いしているユーザーもいらっしゃると思いますが、実際にはそんなことはありません。Windows 10用のドライバーが提供されていないデバイスは、全く動作しないものもあります。
企業向けのPCは、個人向けPCと比べると特殊なデバイスを搭載していなかったりアプリケーションが少なかったりしますので、少しは条件が良いかも知れませんが、それでも使えなくなるデバイスやアプリケーションがあるでしょう。
Windows 7や8.1をWindows 10にアップグレードすること自体が、情報システム部門にとって大きな負荷となるでしょうし、アップグレード後に十分な性能が出ず、生産性の面で大きな損失になる懸念もありますので、Windows 10の新しいPCを購入するのがお勧めです。
また、PCメーカーがWindows 10へのアップグレードの対象としていない機種の場合は、アップグレードすることができたとしても、PCメーカーのサポートは受けられないでしょうから、いっその事、Windows 10をクリーンインストールしてしまうという判断もあります。
バージョンアップによるトラブルからの回復
2017/10/17にWindows 10 バージョン1709がリリースされた当初、トレンドマイクロ社の「ウイルスバスタークラウド」がインストールされた環境にバージョン1709を適用すると、ブルースクリーンが発生する場合がある、というトラブルがありました。
このように、使用中のアプリケーションがWindows 10の新しいバージョンに対応する前にWindows 10がバージョンアップされてしまい、OSが正しく動作しなくなったりする場合もあります。
このようなことにならないように情報システム部門では、WSUSやWUfBなどを用いてバージョンアップの管理を行うのが一般的です。それでも、バージョンアップ後にアプリケーションの問題が発見されるケースもありますので、その場合は一旦前のバージョンに戻して、アプリケーションが新しいバージョンに対応するのを待たなければなりません。
「設定」→「更新とセキュリティ」→「回復」→「前のバージョンのWindows10に戻す」で前のバージョンに戻すのが一般的ですが、この機能はデフォルトでは、バージョンアップ後10日間程度しか使えません。
但し、バージョン1803以降は、「コマンドプロンプト」または「Windows PowerShell」を管理者として実行し、「DISM /Online /Set-OSUninstallWindow /Value:60」というコマンドを実行することで、60日まで延長できるようになりました。「DISM /Online /Get-OSUninstallWindow」で、設定された日数を確認することもできます。
企業ユーザーの場合は、WSUSやグループポリシーの設定が優先される場合もあるようですが、必要に応じて前のバージョンに戻せる期間を延長しておくとよいでしょう。
【DISMコマンドの実行例】
※本記事はJEITA様のご協力により、「Windows 10のメリットを活用するためのポイント (Ver.2.0)」を基に作成しております。
「PC・タブレット事業委員会」とは
NECパーソナルコンピュータ、エプソンダイレクト、Dynabook、パナソニック、富士通クライアントコンピューティングの5社で構成され、PCおよびタブレット市場等の持続的発展のため、業界共通の諸課題対応を図るとともに、業界意見を取りまとめて関係省庁・団体等に具申し、政府および関連業界の施策への反映に努めている。
https://home.jeita.or.jp/cgi-bin/about/detail.cgi?ca=1&ca2=528
【執筆:編集Gp ハラダケンジ】