【情シスTips】もう怖くない!サービスとして活用するWindows10(第1回)
- 2019/3/28
- ナレッジ, 情シス仕事術
- JEITA, WaaS, Windows 10のメリットを活用するためのポイント, Windows10移行, 情シス
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JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)の情報・産業システム部会 PC・タブレット事業委員会傘下のPC・タブレットユーザサポート専門委員会では、継続的にアップデートされるWindows 10とうまく付き合う方法として、「Windows 10のメリットを活用するためのポイント」をまとめ、Windows 7からWindows 10へ移行するための準備をユーザーに促しています。これをベースに、情シス目線からWindows 10を企業に導入する際の疑問や押さえておくべきポイントなど、これまでのWindows OSとの違いなどを交え、シリーズで解説します。
2020年1月14日のWindows 7の延長サポート終了を目前に控え、すでに企業ユーザーにおいてはWindows 7からWindows 10への移行を終了した、または計画的に進めているところでしょう。特に大企業においてはOSの入れ替えや端末の移行を完了させるまでには長期間を要する作業になりますが、それは単にPCの台数が多いためや、アプリケーションの検証などが必要になるためだけではなく、Windows 10へ移行した後の運用をどうするかなど、「Windows as a Service(サービスとしてのWindows)」にどのように対応していくかを検討し、検証する期間が必要になるためです。
Microsoftでは、ボリュームライセンスでWindows 7 Professional/Enterpriseを利用しているユーザーを対象として、Windows 7の延長サポート終了以降最大3年間、有料でセキュリティ更新プログラムを提供する、「Windows 7 Extended Security Updates(ESU)」を販売しますが、相応の費用が必要となり、年を経過する毎にその費用は増加します。延長サポート終了までに、Windows 10への移行を完了することが望まれます。
機能強化された新しいバージョンのWindows 10が継続的に提供される一方で、旧バージョンとなるWindows 10に対しては、サポートの提供がこれまでと違って順次終了していくため、ユーザーは継続的に新しいバージョンのWindows 10にバージョンアップしていく必要がある、という「サービスとしてのWindows」の仕組みを理解するなど、情報システム部門やその役割を担っている方々には、Windows10の正しい理解の基、万全の体制でWindows10の導入をしていただければと思います。
第1回は、「Windows10のバージョンとアップデート」についてです。
この記事の目次
Windows10のバージョンと種類
2015/7/29にWindows 10の初期バージョンがリリースされて以降、現時点(2018年11月)までに以下の7種類のバージョンのWindows 10がリリースされています。下の表の通り、各バージョンにはいくつかの表記方法がありますが、本記事では、以降それぞれのバージョンを1607、1703、1709、1803、1809などのバージョン番号で表記します。
Windows 10のバージョンやOSビルドは「設定」→「システム」→「バージョン情報」や、「winver」というコマンドを実行することで確認することができます。また、Windows 10にはエディションという種類があり、一般ユーザーが主に使用するのは、HomeエディションまたはProエディションになります。さらに、システムの種類として、32ビットと64ビットがあります。下の画面は、Windows 10 Pro 64ビット バージョン1809の環境で「バージョン情報」を確認した例です。
情報システム部門から、PCメーカーやSIer、アプリケーションベンダーなどに対して、Windows 10関連の問合せをする場合、このOSの情報は、最低限必要な基本情報となります。Windows 10の場合、「Windows」キー+「PRTSC」キーのキー操作で、自動的にスクリーンショットをファイルに保存することができます。この方法を使用して、スクリーンショットも併せて提示するのが、間違いが無いでしょう。その他、エラーメッセージが表示される場合なども、この方法が有効です。
バージョンアップ方法
Windows 10のバージョンは、Windows Updateで新しいバージョンがダウンロード、インストールされることによってバージョンアップされます。下の画面は「設定」→「更新とセキュリティ」→「Windows Update」で「更新プログラムのチェック」を行った時の例ですが、意識的にそのような操作を行わなくても、自動的にダウンロード、インストールされます。
また、新しいバージョンがリリースされても、全てのユーザーに一斉にバージョンアップが適用される訳ではありません。新しいバージョンがダウンロードされるまでに期間を要したり、何らかの条件が整わないと新しいバージョンがダウンロードされなかったりする場合があります。Microsoft社のWebページから直接アップデート用のモジュールをダウンロードしたり、アップデート用のメディアを作成したりしてアップデートすることもできます。メディアの作成については、別の回で説明します。
Windows as a Service(サービスとしてのWindows)のサポートポリシー
2017年7月にWindows 10のサポートポリシーが変更され、新しいバージョン(機能更新プログラム)は年2回、3月ごろと9月ごろにリリースされることとなり、各バージョンのサポート期間はリリース後18か月となりました。なお、教育機関向けのEducationエディションと企業向けのEnterpriseエディションに対しては、最大30カ月間のサポートが提供されるバージョンがあります。企業ユーザーの場合は、Enterpriseエディションを使用することにより、この30カ月のサポート期間を有効に活用することも検討する余地があります。詳しい情報は、下記のMicrosoft社のブログ記事を参考にしてください。
【参考】モダンデスクトップへの移行を支援
https://blogs.windows.com/japan/2018/09/07/helping-customers-shift-to-a-modern-desktop/
「サポート終了」の定義
Windows 10のWindows Updateで提供される更新プログラムは2種類あります。ひとつが「Feature Update(FU)」または「機能更新プログラム」と言われるもので、Windows10のバージョンを新しいバージョンに上げるための更新プログラムです。もうひとつが「Quality Update(QU)」または「品質更新プログラム」と言われるもので、従来のWindowsのWindows Updateで提供されていた更新プログラムと同様に、対象のバージョンに対して、バグフィックスやセキュリティ機能の更新などを目的とした更新プログラムです。Windows 10の「サポート終了」とは、それ以降そのバージョンに対する「品質更新プログラム(QU)」が提供されなくなることです。
しかし「機能更新プログラム(FU)」は継続して提供されるので、新しいバージョンのWindows10へバージョンアップすることはできます。例外的には、これに反するようなケース(特定の製品に対して、「機能更新プログラム(FU)」が提供されず、「品質更新プログラム(QU)」の提供が延長されるなど)も起こり得ますが、基本的に、Windows 10の特定バージョンが「サポート終了」になっても、新しいバージョンへバージョンアップすることによって、使用を継続することができます。
従来のWindowsの「サポート終了」との違い
例えば、2020/1/14にWindows 7が「サポート終了」になると、以降セキュリティ更新プログラムをはじめとして、一切のサポートが提供されなくなり、そのまま使用するとセキュリティのリスク等が高まるため、実用的には使用できなくなります。Windows 10の各バージョンに対する「サポート終了」はこれとは少し異なります。Windows 10バージョン1507プレインストールのPCを最新のバージョンにバージョンアップして使用していて、何らかの理由で出荷時状態にリカバリし、バージョン1507に戻しても、再度新しいバージョンにバージョンアップすることができます。バージョン1507のままでは実用的に使用できない点は同様ですが、Windows Updateなどで新しいバージョンにバージョンアップすれば、品質更新プログラムの提供は継続され、使用し続けることができます。
「Windows 10のPC・タブレットを実用的に使用するためには、継続的に新しいバージョンに更新し続ける必要がある」ということです。これが、「サービスとしてのWindows」とは何なのかを端的に現したものです。このことは、市販の書籍などには、あまり明示的に説明されていません。情報システム部門の方は、ご自身がこれを正しく理解するのは勿論のこと、エンドユーザーの方にも理解してもらうことが、Windows 10に移行した後の運用をスムースにできるかどうかのポイントとなるのです。
※本記事はJEITA様のご協力により、「Windows 10のメリットを活用するためのポイント (Ver.2.0)」を基に作成しております。
「PC・タブレット事業委員会」とは
NECパーソナルコンピュータ、エプソンダイレクト、Dynabook、パナソニック、富士通クライアントコンピューティングの5社で構成され、PCおよびタブレット市場等の持続的発展のため、業界共通の諸課題対応を図るとともに、業界意見を取りまとめて関係省庁・団体等に具申し、政府および関連業界の施策への反映に努めている。
https://home.jeita.or.jp/cgi-bin/about/detail.cgi?ca=1&ca2=528
【執筆:編集Gp ハラダケンジ】