ITで働くなら地方もいいかも? 変わる企業と労働のスタイル
働き方の常識を変えるのがITです
パソコンひとつで旅に出る−−、お金が必要になれば旅先の案件にエンジニアまたはプログラマとしてジョイン。ひと段落したら、また行きたい国へ。そんな生活に憧れたことがある人もいると思います。また、世界にはこのようなライフスタイルを実現している人もいます。
近年、ソーシャルワークが浸透し、ノマドもバズワードになりましたが、「場所や時間に制約されない働き方」をできるのはIT時代ならでは。今いる場所がオフィスがわりになって、仕事ツールもPCが1台あればOK。あとはネットでクライアントとつながれば、働き報酬を得られる。誰もがフリーランスに挑戦でき、かつ副業も楽々。それがめずらしくない今の時代を考えると、会社勤めを望む人でも、「住む場所」や「会社選び」はもっと自由になってよい気がします。
企業の事業機能の分散から、地方が注目を集めています
そもそも、会社勤めの人の多くが大都市圏、とくに東京に一極集中するのはなぜか? それは「地方にはやりたい仕事が少ない」から。ここからすると、どこでも働ける環境があっても依然として、東京に人が集まることに変わりません。
しかし、近年そこに変化が起こりつつあります。最近のトレンド「地方サテライトオフィス」の存在です。NECや日産などは以前から設置していますが、さまざまな企業のサテライトが増えていて、最近ではEightのSansanが徳島県神山町に設置し話題となりました。このように、少しずつ「大都市圏じゃないと仕事がない」という環境ではなくなりつつあります。
では、地方サテライトがなぜトレンドなのか? それは、企業にとって複数のメリットを期待できるからです。ひとつは「コスト削減」。大都市圏に比べ、人材コストや賃料を抑え事業を展開できます。次に「人材確保」。昨今、声だかに叫ばれているように、深刻な人材不足ですが、サテライトにより広域から人を集めることができます。そして、「BCP」。「事業継続計画」で、簡単にいえば「天災などで事業がストップしないための備え」のこと。本社に事業機能を集約させるのではなく、サテライトにより機能を分散させることで、万が一の事態にも備えられます。
では、地方で働くメリットとは一体・・・?
地方で働くメリット、それはなんでしょう?
働き手のメリットを考えるのは、少し複雑です。まず、かねてから地方→東京というスタンダードな流れがあります。おおよそその理由は「やりたい仕事がある」以外にも、「アクセスがよい」、「私生活を充実しやすい」、「地方に比べ高収入」、「先端の文化に触れられる」なども大きいようです。ここから考えると、やはりあえて地方で働く必要は少ないようにも感じます。
しかし、近年、東京一極集中の影で、「20〜30代の地方移住の増加」も進んでいます。その理由は、「通勤・帰宅ラッシュ」・「過重労働」・「複雑な人間関係」など、都市で起こりやすい「ストレス」と関係が深いようです。そして、「のんびり」や「居心地のよさ」を求めてUターンやIターンをするのだといいます。
まとめれば、地方で働くメリットは「自分らしい生き方が模索できること」といえるかもしれません。仕事と自分の時間のバランスを取り、自分らしい生活を紡いでいく。その価値が、収入や憧れよりも勝りつつある時代が現代なのでしょうそして、サテライトによる企業の事業機能の地方分散と自分らしい生き方を地方に求める若者。それら下支えするのがITです。最近ではテレワークも浸透しつつあり、多様な働き方も可能になりつつあります。
好きな場所で働けるとしたらどこにしますか?
地方サテライトが、このまま普及していくのかはまだわかりません。ただ現在、各自治体も積極的な誘致に乗りだし、総務省も「おためしサテライト」という地方創生にかかる事業を推進させていて、いずれ定着する可能性は大きいといえそうです。
もし、地方サテライトがありふれたものになれば、私たちの就職や転職スタイルも大きく変わります。やみくもに大都市圏をめざすのではなく、「どこで暮らすか」。地元や文化に興味のある土地など、住みたい場所で会社を選ぶ。そんな時代になっていくのではないでしょうか。
そうなったとき、あなたはどの場所で働きますか? 個人的には、セールスフォースの働き方プロジェクト「南紀白浜テレワーク」のように、美しい砂浜を眺めながら働けたらと思います。ああ、うらやましい。
参考:ASCII.jp×ビジネス「生産性、急上昇!これぞ景観美の南紀白浜テレワーク」