「生産性を上げろ」と言われても仕事に集中できない・・・、そんなときのTips
2018/05/07
集中力の高め方は、どこにいけばわかりますか?
ふと、キーボードの指が止まる。頭に浮かぶのは、昨日の友人とのLINE内容からはじまって、気になるお店やウェブニュースのこと。しまいには、ボーナスや次の旅行、将来ことまで。そんなこんなで、いつの間にか時間が経っていて、仕事が全然進まない。上司からはひたすら「生産性」の3文字・・・。
なんで、私はこんなに集中できないのか?−−
と、悩む人は少なくないようです。また、スキルアップのなかで集中力を課題にしている人も多いと聞きます。
「集中力」、仕事で欠かせない能力ですが、しかし、これほど漠然としていて高めるのが難しい能力もありません。研修で一様に身につけられるものではなく、ウェブや書籍などの方法を実践しても、「変わらない」という人も少なくないはず。でも、やっぱり身につけておきたいのが「必要なときに発揮できる集中力」。そこで、集中力とは何か? の検証から、能力を高められる方法を探してみましょう。
人間の脳が同時にできるコトは少ないようです
集中力は、その名の通り「集中できる能力」です。では、集中とは? これはイメージで理解した方がよいかもしれません。
例えば、無数の点が集まってひとつにまとまる。周りの照明が消えスポットライトが灯る。ピンポイントに降る雨。数店舗が軒を連ねるラーメン激戦区に1件だけ行列ができている人気ラーメン屋など。
つまり、点であれば無数の点、スポットライトでは周りの照明のように「ひとつに定まる」ことです。これを私たちの仕事に当てはめた場合、複数の選択肢から「今やるべきことが決まっている状態」が集中であり、それを持続できるのが集中力であるといえます。
ここから考えると、集中力がないのは「やるべきこと」の取捨選択に関係がありそうです。
人間の脳は、とてつもなく高性能でかつ同時に多くのことを処理している。このように思いがちですが、そうではないといいます。「複数の目標やタスクの遂行により、脳がどのような動きをするか」を研究した、フランスの研究者シルバン・シャロン氏とエティエン・ケクラン氏の発表によれば、「脳は、2つのタスクの同時処理が限界であるように思われる」、「3つ以上のタスクは脳の機能の限界を超える」、さらに「処理能力を超過したタスクを持つと脳の処理能力は低下する」といいます。
参考:ITmedia NEWS「人間の脳はデュアルタスクが限界−−仏研究者が発表」
また、ベストセラー『SINGLE TASK』の著者で知られるデボラ・ザック氏は、メディアで「脳は、同時に2つのことを考えられない」とも話しています。
確かに、冒頭のようにいろんなことを思い浮かべてしまうとき、仕事にはまったく身が入らない。これを考えれば、「脳は、きわめて少ない処理しかできない」のは正しいようです。
とはいっても・・・
これで、集中には、「目的を絞り、やるべきことを決める」ことが大切だとわかりました。ただ・・・、「そんなのわかってるよ」という人も多いですよね。
今や一人で複数の仕事をこなすのは当たり前。今日は順調だなと思えば、メールのポップアップなどの“横やり”も飛んでくる。こんな状況で、はっきりとやるべきことを決めたとしても、なかなか維持できるものではありません。何かよい方法はあるのでしょうか?
そこに有効だと考えられるのが、「予測・決断」です。
予測は「起こりうる事態をあらかじめ想定しておく」こと。仕事に差し支えがある“もしも”への用意です。突然のメール、突然の電話、多発するミーティング。それらが“不意打ち”にならないように、起こりうるものだという意識を持っておくことが大切。はじめから想定しておけば、対策を練ることができストレスも回避できます。
決断は「自分にルール」をつくること。メールでいえばポップアップのオン/オフや、確認するタイミングを決めておくのもよいでしょう。そうすることで、集中力の低下を防げ、仕事メリハリもつきやすくなります。また、メリハリでは、「無理をしない」ことも。集中力はもって1〜2時間といわれるように、常にやる気を出し続けられるわけではなく、オーバーワークはかえって生産性を低下させる原因になります。仕事は、休憩で維持されるという気持ちを持つことです。
やるべきことを、やるべきだと自分に認識させるには
ここまでは社内でのことですが、集中に向けた準備はどこでも可能です。朝の電車のなかで、今日の仕事の内容をイメージしておくのもモチベーションにつながります。また、一日の終わりに仕事を振り返って、明日へのメモを残しておくのもよいかもしれません。このように、「やることが自然に定まる環境をつくっておく」ことも集中力につながります。
さて、最後にそれ以前の問題、「どうしてもいろんなことが思い浮かんでしまう」場合はどうすればよいのでしょう?
この場合、「仕事がつまらない」または「仕事よりも気にかかることがある」のだと考えられます。生活>仕事では、集中しろといわれても困難なのは当然です。ただ、「仕事のなかにちょっとした楽しみを探してみる」ことは、よい効果をもたらしてくれるかもしれません。
例えば、キーボードの打鍵に早くなるとか、エクセルやパワポなど、普段使っているツールに詳しくなったり自分なりのTipsを見つけたり。些細なことでかまいません。もちろん、仕事内容そのものに見いだせればこしたことはありませんが、「仕事とリンクしている何か」に楽しみや得意分野を見つけることは、転じて仕事の集中にもつながると思われます。高杉晋作の言葉を借りれば、“おもしろきこともなき世をおもしろく”でしょうか。
この理由は、実は集中力が「受動的」、「能動的」に分けられることにあります。
受動的集中は「与えられた環境により集中している状態」で、集中力は環境に依存。会社でいえば「仕事をしなければいけない環境だから仕事をする」というもの。この場合、しなくてよければ仕事をやめてしまいます。一方、能動的集中は、やりがいを感じ取り組んでいる、「自らが率先して仕事をしている状態」です。つまり、仕事に欠かせないのは能動的集中。そして、そこに至るために「楽しさ」が有効だからなのです。
まとめれば、集中力はすぐに高められるものではありませんが、ちょっとした工夫と継続で高めていけるものだといえます。なかなか集中できない・・・、という人は、ぜひ楽しみ探しや仕事環境の見直しからはじめてみてはいかがでしょうか。