【教育ITソリューションEXPO】国も推進、動き出した巨大なICT市場

2016/05/30

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学校現場の教師を支援するICT機器やサービス、コンテンツ

文部科学省は「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」中間とりまとめを発表し、ICT活用をより推進していくことが大きな指針として示された。また、産業競争力会議では、安倍首相が、「プログラミング教育の初等中等教育での必修化」を表明した。つまり、国全体が「教育」という分野で、IT教育に力をいれていくことが鮮明となったのだ。

この流れを反映し、今回の「教育ITソリューションEXPO」では、東芝、NEC、エプソン、ソニー、シャープなどの大手家電メーカーをはじめ、教育分野で強みを持つ老舗企業、新しい切り口で教育市場にアプローチするベンチャー企業など、多くの企業が出展していた。その規模も前回を上回った。

今回の展示会は、学校、塾などの教育機関、教育委員会、地方自治体や企業研修担当に向けた最新の機器やサービス、ソリューションなどを展示した「教育ITソリューションEXPO」がメイン会場(東京ビッグサイト)。そして、プログラミング教育やロボットなどこれからの教育の姿をプレゼンする「学びNEXT」が併設(TFTホール)で構成。

メイン会場では、「ICT機器」「教材・教育コンテンツ」「学校業務支援」「eラーニング」「セキュリティ」「特別支援教育」の各ゾーンで、大手家電メーカー、教育専門企業、ベンチャーなどがイチ押しの機器、ソリューション、サービスなどを展示した。

 

タブレットや電子黒板、プロジェクターなど授業ソリューション機器やネットワーク機器を展示

まず、目を引いたのは「タブレット」や「電子黒板」「プロジェクター」など、授業で使用するIT機器やソリューションの展示だ。国の方針でタブレットは教育現場に必須となる。また、今後強化される「アクティブ・ラーニング」に活用するため、ビジネスで使われる最新のプレゼンテーション設備に近いディスプレイ、書画カメラなどの新製品が多数展示されていた。

大手家電メーカーの例を挙げれば、電子黒板で大きなシェアを誇るエプソンは電子黒板機能内蔵プロジェクターを展示し、タブレットやプリンタとの連携で授業や学校業務支援などを訴求していた。

NECは電子黒板(液晶ディスプレイ版、プロジェクター版)やタブレット、テレビ会議システムとプロジェクションマッピングの技術を活用した遠隔授業体験などをプレゼン。来場客が離れた場所の授業を、すぐそばで受けているような不思議な授業体験ができるデモを行っていた。

東芝は「スマートスクール」をうたい、タブレットや4Kディスプレイ搭載のパソコンなどを展示し、同社が考える近未来の「学び」を提案していた。

「紙」ではなく、タブレットやプロジェクターで活用できる「教育コンテンツ」でも多種多様な製品が展示され、人工知能を活用した対話型コンテンツも注目を集めていた。この分野では、大手だけではなく、中小の老舗教育関連企業やベンチャー企業などもユニークなコンテンツを展開していた。

学校現場でICTを使った教育を実施するためには当然ネットワークの充実も必須になる。しかし、意外と気がつかない教育現場も少なくないという。タブレットの活用では無線LANの構築と多数のアクセスがスムーズに行えるネットワークの構築が求められる。

また、学校現場でも情報セキュリティ面の確保は必須になる。そこで、ネットワーク構築やセキュリティ強化をワンストップで実施する企業なども目についた。

各社に共通していたのは、「学校現場の教師を支援すること」だ。教師によっては必ずしもITリテラシーは高くない。機器の操作でもたつくと子供達が飽きてしまい、授業のリズムが壊れてしまう恐れがある。そのため、教育現場に知見がある教育専業企業の製品やサービスでは、教師が使いやすいインターフェイスの開発に知恵を絞っていた。

子どもプログラミング教育必修化を見据えた「学びNEXT」

メイン展示の「教育ITソリューションEXPO」以上に、興味を惹かれるのは、未来の学びを提案する「学びNEXT」の会場だろう。子供向けの教育玩具やプログラミング教育教材などがカラフルに展示され、注目を集めていた。

注目を集めた別会場の「学びNEXT」

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迫り来る小・中学校でのプログラミング教育実施への期待や不安を表わしてか、こちらの会場も、多くの来場者でにぎわっていた。学校教育だけでなく、エンジニア向けや新入社員の研修に使えそうなメニューや製品、ワークショップの考え方など、情報システム担当者も参考になりそうな展示も多く見られた。

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