わすれがちな「中性色」

こんにちは、soiです。

本日は、「中性色」の使い方について皆さんに説明していきたいと思います。

色の分類

色を分類する方法は様々あります。

例えば色相による分類で、色は色相環上で隣接する色のグループで赤系統、オレンジ系統、黄系統などに分類することができます。

本日に取り上げたい色の分類方法は、色の効果や心理的な効果に基づく分類方法で、色を「寒色」、「暖色」、「中性色」といった三種類の色に分ける方法です。

寒色、暖色、中性色という分類は、色が与える心理的な効果や感じ方に基づいています。これには視覚的な冷暖や心理的な暖かさや涼しさが含まれます。

しかし、「寒色」「暖色」「中性色」は、色彩心理学やデザインの文脈でよく使われる用語ですが、厳密な科学的な分類ではないですが、その文脈や目的に応じて異なる場合がありますが、「寒色」「暖色」「中性色」は色彩の理解や使用において便利な分類方法として広く受け入れられています。

寒色、暖色、中性色

一般的に、私たちは、赤、オレンジ、黄色など暖かく感じられる色を「暖色」、青緑、青など冷たく感じられる色を「寒色」と呼びます。

しかし、色は必ずしも暖かく感じるか、冷たく感じるかだけではなく、緑や紫など、暖かくても冷たくても感じない、「中性色」と呼ぶ色も存在します。

図1.色相環

図1の色相環に示された有彩色の中性色のほかに、黒、白や灰色などの無彩色も中性色の中に分類することができます。

寒色は冷静さを感じ、科学的進歩に連想したすく、暖色は活気を象徴し、楽しさや温かみに連想しやすいことに対して、中性色特定的な連想しやすい感情がなく、デザインの配色を考える際には、よく寒色系と暖色系を最初から検討しがちですが、バランスをよく使えば、中性色もデザインの画竜点睛になると思います。

中性色の印象

中性色は特定の感情や情熱を強調することなく、色の明るさや暗さが穏やかでバランスの取れた印象を与えます。それぞれの中性色には特有の特徴があり、私たちの感覚や心理に異なる印象を与えます。

・穏やかな印象

中性色は一般に穏やかで落ち着いた印象を与えます。これは、色の明度が中間的であるため、過度な刺激を与えずに視覚的な安定感を提供します。例えば、グレーの色合いは明るすぎず暗すぎず、調和の取れた感じを与えます。

・多様な組み合わせが可能

中性色は他の色と非常によく調和し、多様な組み合わせが可能です。これにより、デザインにおいて他の色を引き立てたり、バランスをとるのに便利です。例えば、ベージュの壁に対してさまざまな色の家具やアクセントを組み合わせることができます。

・洗練された印象

グレー、ベージュ、クリーム色などの中性色は、シンプルで洗練された印象を与えます。これは、高級感や品質の印象を強調するのに役立ちます。たとえば、クリーム色のソファは上品で落ち着いた空間を演出します。

・背景としての適性

テキストや写真などのコンテンツを引き立てる背景として、中性色は非常に適しています。その穏やかな印象と調和性が、コンテンツを際立たせる役割を果たします。例えば、グレーの背景に白いテキストを配置することで、読みやすさと視認性を向上させます。

・感情的な中立性

中性色は特定の感情や情熱を強調することなく、客観的で中立的な印象を与えます。これにより、幅広いコンテキストで使用され、多様な目的に応じた柔軟なデザインが可能となります。

中性色の使い方

中立性を持つ中性色は、デザインにおいて非常に重要な役割を果たします。これらの色は、明るさや彩度が低く、他の色と調和してバランスを取ることができる特性があります。これからは「中性色」の使い方についていくつかのポイントを説明していきたいと思います。

まずは一つ目、「背景や基盤としての活用」についてです。

背景や基盤としての活用

中性色は背景や基盤として非常に適しています。明るい色や鮮やかな色の要素が前景に配置される場合、中性色の背景を用いることで、視覚的なバランスを保ちます。例えば、ウェブサイトの背景色やプレゼンテーションのスライドの背景に良く使用されます。

図2.Adobe Ilustratorの作業スペース

Adobe Ilustratorの作業スペースの背景色は「#606060」という灰色です。

次に、二つ目は「コントラストの調整」についてです。

コントラストの調整

中性色は他の色とのコントラストを調整するためにも役立ちます。明るい色とのコントラストが強すぎる場合や、色の組み合わせが派手になりすぎる場合に、中性色を挟むことで視覚的な調和を取ることができます。

図3.フランス国旗

トリコロールの体表的な配色である、フランス国旗の配色は、明度の高い青色と赤色の間に無彩色かつ中性色の白色で調和することで、目がチクチクすることなく、バランスよくまとめられています。

続いて、三番目の「カラーバランスの調整」についてです。

カラーバランスの調整

カラーパレットにおいて、中性色は色のバランスをとるための重要な要素です。特に多色を使用する場合には、中性色が異なる色調をまとめる役割を果たし、全体の印象を調整します。例えば、ファッション雑誌の広告では、洋服やアクセサリーが多彩な色彩を持っていますが、モデルを引き立てるためには中性色の背景が適しています。ベージュの背景はモデルの肌色や衣装の色を調和させ、全体の広告の印象を落ち着かせます。

図4.雑誌「sweet」の表紙

金髪のモデルや濃いピンク色のテキストに落ち着いたベージュ系の白色の背景で、唐突なく調和よくおしゃれにまとめられています。

最後に、四番目の「落ち着いた雰囲気の演出」について説明していきたいと思います。

落ち着いた雰囲気の演出

中性色は落ち着いた雰囲気を演出するのに効果的です。特にビジネスや専門性を求められるデザイン、または高級感を表現したいデザインにおいて、灰色、茶色、ベージュなどの中性色が利用されることがあります。

図5.シャネルのホームページ

シャネルはモノクローム(白黒)や中性色(特に黒やベージュ)を特徴とする配色が多く見られます。特に有名なのは「シャネル・ベージュ」であり、この色はブランドのアイコンとして広く知られています。黒と白のコントラストが際立つデザインや、中性色に対してポップな色をアクセントとして使用することで高級感を出しています。

まとめ

中性色は、特定の感情や情熱を強調することがないが、色のバランスをとることでデザインの統一感を高め、視覚的な混乱を避けるために重要です。適切に活用することで、デザインの洗練度や品質を向上させることができます。

参考:

監修/内閣府認定 公益財団法人 色彩検定協会,「文部科学省後援 色彩検定公式テキスト 3級編」,株式会社A・F・T企画,2017年

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