【EOS問題】Adobe Flash Playerサポート終了
- 2020/12/10
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- 2020年12月31日, Adobe, EOS, Flash Player, 脆弱性
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アドビは2020年12月31日でFlash Playerをサポートを終了する。
Flash Playerと言えば、Webサイトを静的な存在から動的な存在に変えた立役者でもある。しかしながら、時代がオープンスタンダードを求めるようになったことで、その役目を終える。
今回はFlash Playerのおさらいを含め、サポート終了後に必要なことは何かを確認する。
おさらい:Flashとは
Flashとは、Web上で動画やゲームなどを扱うための規格である。
その歴史は、さかのぼること二十数年前となる1997年、FutureWave Software社のウェブアニメーション作成ツール”FutureSplash Animator”が元になり、Macromedia(マクロメディア)社がFlashをリリースした。
その後、2005年にAdobeがMacromediaを買収し、現在はAdobeが管理してる。
そして今回EOSとなる「Adobe Flash Player」とは、幅広いプラットフォームに対応するクライアントランタイムのことである。この機能により、WebユーザーがSWFコンテンツを視聴/操作することが可能となるのである。
ほぼWebサイトでの動画再生のデファクトとして使われてきたFlash PlayerがなぜEOSを迎えることになったのだろうか?
Flashの終焉、そして時代はオープンソースへ
Flashが普及した理由としては、動画やアニメーションといった、「動く」コンテンツをHTML4で利用するためには不可欠な技術でした。しかしながら、度重なる脆弱性問題やブラウザやHTML技術の進化、スマートフォンの普及、そしてこのような誰もが使う技術についてはOSS(オープンソースソフトウェア)化が求められるという時代背景もあり、今回のサポート終了となった。
個人的にはこのきっかけを作ったのは、2010年春にAppleがiOSのFlash対応を拒否したことに始まったのではないかと思う。実態はともかく、Appleには「(世界的に)標準化されているテクノロジーを使う」という建前がある。Flash技術がWeb標準でないことや今後欠かせない動画やアニメーション、ゲームなどを実現する機能を一社に独占されていることに不満があったことは容易に想像できる。このような流れが他社を巻き込み”Flash不要”という流れを作り出したのかもしれない。
では、Flash PlayerがEOS(サポート終了)を迎えるということはどういうことなのだろうか。
サポート終了が意味するもの
2020年は既に2つのメジャーな存在のEOSがあった。一つはWindows 7(Windows 7を放置すると何が起こる? 間に合わない場合の対処方法)、Office 2010(Windows 7を放置すると何が起こる? 間に合わない場合の対処方法)のEOSである。これら同様、サポート終了により脅威となるのはセキュリティである。
Adobe Flash Playerにおいてもサポート終了を迎えると以下のことが行えなくなる。
- Flash Playerのアップデートとセキュリティパッチの発行がなくなる
- Flash Playerのダウンロードができなくなる
- Flash Playerの実行がデフォルトでブロックされる(2021年1月12日以降)
OSのEOSと異なるのは、実行をブロックするところであろうか。Adobeはユーザーのシステム保護を目的に、2021年1月12日以降、Flash PlayerでFlashコンテンツが実行されるのをブロックする。
このように使えなくなってしまうことで、果たして問題は起きるのだろうか。
サポート終了の影響
直接的に考えられるのは、業務システムにおいてFlashテクノロジーが使われている場合は大きな問題となる。しかしながら、業務システムにFlashテクノロジーを活用していることはレアケースと思われる。また、AdobeはFlash PlayerのEOSについてのアナウンスは2017年7月に行っており、仮に影響のあるシステムを使われていたとしても、聡明な情シスの方々は既に対応済であろう。
最も考えられるケースは、自社のHPにFlashコンテンツ(SWF)を使っていることである。この場合は、FlashコンテンツをHTML5化することになるのだが、「flashをhtml5に変換」と検索すれば数多くの方法が見つかるので、自社のケースに合わせて選択するとよいであろう。
参考までに、変換ソフトは無償版から有料版まで、さまざまなサービスがある。コンテンツの形式に合わせた変換ソフトを使い、HTML5形式に変更する。
尚、HTML5に変換したコンテンツをWebページに組み込む作業は、HTMLのコードを読むことができる必要がある。無理やり変換したコンテンツを挿入してしまうとエラーなどの原因になるので、注意が必要だ。
Adobeはサポート終了を発表し、2020年12月31日までの移行期間を設けることで、Flashコンテンツの実行可能な代替手段として、HTML5、WebGL、WebAssemblyなどのオープンスタンダードが年月を経て安定的に成熟し、既に機能している。また、主要なブラウザーの提供元は、これらのオープンスタンダードをブラウザーに組み込み、他のほとんどのプラグイン(Flash Playerなど)を廃止していることから、Flash Playerのプラグインがなくなったとしても、使う側はおおよそ困ることはない。
しかしながら、現在使っているPCにはFlash Playerのプラグインがインストールされているはずである。リスクを回避するにはこのプラグインのアンインストールをしておくことが望ましい。
EOS以降、デフォルトでFlashコンテンツの実行はブロックされる為、多少は安心ではあるが、アンインストールの方法については自社のルールに従って行ってほしい。(何もアナウンスがない場合は、情シスに確認してもらいたい)
では、Flash Playerを使い続けることはできるのか?
この疑問は誰もが思うところでしょう。答えは「No!」、使い続けることはできないと思っておくべきです。
その理由は、すべての主要なブラウザー上でFlash Playerが動作しなくなるからです。例えば、Windows 10 LTSB版を用いてUpdateをしないようにしたとしても、累積的更新は提供されますから、それによってFlashも無効化されてしまいます。
それでも「どうしても使いたい!」というのであれば、セキュリティ上の脅威にならないよう、オフラインで使用することです。しかしながら、それで果たして”使える”と言える状況なのかはわかりませんが。
まとめ
Adobeの対応やブラウザ側の対応で意図せずFlashコンテンツが再生されることはありませんが、念のため、Flash Playerのアンインストトールは忘れずに行ってほしい。
<参考>
Adobe Flash Playerサポート終了情報のページ
https://www.adobe.com/jp/products/flashplayer/end-of-life.html
Adobe Flash Player法人向けサポート終了情報ページ
https://www.adobe.com/jp/products/flashplayer/enterprise-end-of-life.html
【執筆:編集Gp ハラダケンジ】