【医師監修】情シスのための「残業メシ」第9回 食べ方で変えられる! 腰痛を和らげる食事のとり方とは
情シスにとって、腰痛はまるで悪友のような存在。ときにはつらい痛みに悪態をつき、付かず離れず、何とかごまかしながら仕事をしているのではないでしょうか? 腰痛は姿勢の問題もありますが、実は食事の影響も大きいのだとか! 今回も、栄養療法に精通した小池雅美先生のアドバイスを受け、腰痛を緩和するために役立つ食事法について紹介します。
この記事の目次
腰痛と胃腸の不思議な関係
情シスにとって職業病のひとつともいえる腰痛。座りっぱなしで運動不足となれば、腰痛があって当たり前……と思いがちですが、実は腰痛の原因が腰だけに問題があるとは限らないそうです。
小池先生:「腰痛にはさまざまな原因がありますが、なかには内臓が影響して腰の痛みを起こす場合があります。内臓と外側の筋肉は、お互いを引っ張り合うような形で支えており、それぞれに影響しあっているからです。
例えば、胃腸が弱っていると、お腹を守ろうとして前かがみになりやすく、そこから背中側が引っ張られて、腰痛が起こることもあります」
なるほど! 姿勢の悪さが腰痛の原因といわれますが、猫背になる理由が胃腸の弱りにあれば、納得です。どんなに姿勢を良くしていても、気が付けば前かがみになってしまうのは、内臓が弱っているからかもしれませんね。その場しのぎの食事で胃腸のことなんかおかまいなし……という状態になりがちな情シスにとっては、無視できないポイントです。
腰のために取り入れたい、胃腸ケアの食材
とはいえ、胃腸が弱ってしまったら、どんな風に過ごせばいいのでしょうか? 何も食べないのでは、エネルギー不足で仕事になりません……。小池先生、どうしたらよいですか?
小池先生:「胃腸は、消化吸収を行う内臓です。胃腸の弱りを改善させるためには、まず、胃酸の分泌を促すことがポイントです。胃酸を分泌させる刺激として、苦いものや酸っぱいものを摂るといいですね。例えば、パセリやパクチー、梅干しといったものがおすすめです。食事に、酢のものをプラスするのもいいですね」
なるほど、苦いものや酸っぱいものが、胃腸を助けてくれるんですね。二日酔いのときに飲む梅干し湯のうまさを考えると、納得です! 残業飯としては、梅干しや酢のものあたりが使いやすそう。さすがにパクチーだけを買うのは微妙です……。あ、胃酸といえば、同僚には逆流性食道炎になって、胃酸が多いといわれている人も多いんですが……。
小池先生:「逆流性食道炎は、胃酸の分泌がアンバランスな状態でも起こりやすくなります。市販の胃薬を飲んで改善しないなら、薬を一時的にストップして食事を変えてみるのもよいかもしれません。胃酸の状態を確認するためにも、先にお伝えした苦みのあるものや酸っぱいものを摂るように心がけてみましょう。もちろん、症状が続くときには早めに病院に行ってくださいね」
胃炎がある人を見ると、確かに前かがみになって、お腹をかばっていますよね。そのせいで腰痛が起こっていたとしたら……やっぱり食事って大切ですね。
炎症対策は「甘いものをやめる」
胃腸の調子を整えることは、それだけで消化吸収が良くなり、姿勢にも影響しますよね。予防には良さそうですが、すでに痛みのある腰痛にはどうしたらよいのでしょうか?
小池先生:「痛みが強く、つらい腰痛が続く場合は、内側で慢性的な炎症が起こっているかもしれません。普段と比べて、ガスが多すぎるなどのサインがあれば、特に注意が必要です。
そんなときは、しばらく甘いものをやめてみて。糖分は、炎症を悪化させるため、継続して食べていると、痛みが改善しにくくなります。同時に、炎症からの回復につながる、ビタミンCの補給も行ってみましょう。生の果物や野菜に多く含まれますが、残業時には難しいかもしれませんね。食事で取りにくければ、サプリメントを活用してもよいでしょう」
なんと! 疲れたときの甘いものが、炎症を悪化させていたとは! 残業中はついつい糖分に手が出てしまいますが、腰痛がひどいときは避けた方が良さそうです。
腰痛を引きおこす筋肉不足は、タンパク質不足から
食事を変えることで腰痛が改善されるなら、結構お手軽ですよね。整体や整形外科に行っても運動を勧められますが、なかなかできないのが現状です。やっぱり筋肉も必要なんでしょうか。
小池先生:「そうですね。腰痛を起こしてしまうのは、背筋をはじめとする筋力の低下も大きく関係します。継続的な運動も大切ですが、加えて意識したいのが、タンパク質の摂取です。筋肉を作るためには、肉や魚、卵といった良質のタンパク質をしっかり摂る必要があります。
ただし、ドカ食いはかえって不調のもとです。胃腸に負担をかけてしまうので、節度をもって食べるようにしましょう。理想は、一食当たり手のひらサイズの分量を摂ること。とんかつなら、手のひら大で1枚まで、鶏手羽なら2本、卵なら2~3個程度を意識します。こうした食事に加えて、通勤時に1駅分を歩けば、腰痛改善効果も高まりますよ」
ついついお腹いっぱいになるまで食べてしまいますが、消化に負担をかければ、その分、腰痛悪化にもつながると……。一食当たりが手のひら大とすれば、コンビニチキンあたりがちょうどいいのかもしれません。食事量が意識できれば、ダイエットにもなりそうですね。
血流改善に食べておきたい「アボカド」
食事と腰痛がこんなに影響するとは知りませんでした。ほかにもあるんでしょうか?
小池先生:「腰痛改善のために、もうひとつプラスするなら、冷えへの対処です。冷えによる血流の悪さから、痛みが悪化することがあります。カイロや腹巻きなどを使って温めるのも良いですが、体内の血流を良くする食材を取り入れてみましょう」
小池先生:「おすすめなのが、アボカドです。ビタミンC、Eが多く、良質の油脂も含まれています。できれば一緒に血液を作る材料として、タンパク質も摂るといいですね。卵とあわせてサラダ感覚で食べてみてはいかがでしょうか?」
女性が好むアボカドにそんな効果があったとは驚きです。コンビニによっては、アボカドサラダを置いてあるところもありますよね。そのまま1個を購入するなら、切るためのナイフが必要ですが、切ることさえできれば、あとはスプーンでくりぬいて食べられますね。
食べ物を見直して腰痛対策に取り組もう!
仕事が忙しいときは、どうしても早食いになりやすいですよね。仕事の見えるデスクで食事をしているのも、あまり胃腸にはよくなさそうです。つらい腰痛を予防、改善するためには、そうした環境を変えるのも大切なのだとか。短時間でも身体を動かす時間を作り、食事中はよく噛んで食べる、仕事が見えないところで食事するといった気分転換も取り入れたいですね。
監修:小池雅美(こいけ診療所 漢方専門医)
こいけ診療所院長、日本医学放射線学会放射線診断専門医、検診マンモグラフィ読影医、漢方専門医。1994年に東海大学医学部を卒業。漢方を中心に栄養、食事の指導を重視した診療を行っている。
文:みのうかなこ
カテゴリー:
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