基本情報技術者試験を受けるメリット・デメリットを徹底解説!年収の変化も紹介
情報処理推進機構(IPA)が運営するITエンジニアの国家資格の一つである「基本情報技術者試験」。2000年度までは第二種情報処理技術者試験であったため、「二種」と呼ぶ人もいます。
IPAの国家資格の中では、情報処理技術者試験制度のスキルレベル1〜4のうちスキルレベル2に規定されている資格です。
企業側が資格を取得するよう奨励しているケースもありますが、資格をとるメリットがいまいち分からないという方も多いでしょう。
そこで本記事では、基本情報技術者試験を受験し資格取得するメリット・デメリット、サンプル問題、資格取得後のロードマップの立て方について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
基本情報技術者試験を受けるメリット
IT人材は、経済産業省がIT人材の需給ギャップを試算したデータによると、中央値で2030年は44.9万人が不足するとされています。
これらを背景に基本情報技術者試験で資格を取得するメリットを見ていきましょう。
自身のキャリアの裏付けになる
ITエンジニアのスキル標準レベルは、以下の1〜7が設定されています。
スキルレベル | スキル内容 |
1 | 最低限必要な基礎知識を有する |
2 | 上位者の指導の下、要求された作業を担当できる |
3 | 要求された作業をすべて独力で遂行できる |
4 | 独力で業務上の課題の発見と解決をリードする |
5 | 社内でテクノロジやメソドロジ、ビジネスを創造する |
6 | 経験と実績を有する国内の人材 |
7 | 先進的なサービスの開拓や市場化した実績をもつ世界で通用する人材 |
一般的に基本情報技術者の資格保持者はレベル3〜4と想定されていますのでスキルの裏付けになります。
就職や転職の際に加点評価が得られる
経済産業省の実態調査によると、日本のIT人材のスキルレベル別の年収は以下のとおりです。
スキルレベル | 年収の平均 |
1 | 439万円 |
2 | 499万円 |
3 | 576万円 |
4 | 726万円 |
5 | 938万円 |
6/7 | 1130万円 |
ここから分かることは、スキルレベル3〜4に上がることで、一気に年収が増えていることです。基本情報技術者の資格をもつことで加点評価が得られ易くなります。
自身の技術の棚卸しができる
基本情報技術者試験を受けることで、ITエンジニアの基礎知識を中心に現時点における自身の得意分野と不得意分野を再確認できます。
試験内容には、ソフトウェア・ハードウェア・データベース・ネットワーク・セキュリティに至るまで出題されますので網羅的な学習が必要です。
また、取得した資格は失効しないため一生ものとして自身のキャリアに刻まれるでしょう。
チーム内で自身の役割が明確になる
基本情報技術者試験は、ITエンジニアとしてチームで仕事をする際に必要なスキルとは何かについても出題されます。
- コミュニケーション力
- ヒアリング力
- ドキュメント作成力
- 論理的思考力
- プレゼン力
- 問題発見・解決能力
これらを学習することでチームにおける自身の役割が明確化し、チームメンバーの役割も見通し易くなるため、問題の発見や解決策の提案なども的を射ったものになるでしょう。
キャリアのロードマップが描ける
基本情報技術者の資格取得後は、キャリアデザインが描きやすくなります。ITエンジニアは所属する企業の商流や職種によって分業されているため、担当する業務によって求められるスキルが異なります。
自身が希望する業務を担当するためには、進んでキャリアを選びとれるかが重要です。そのためには、客観的に評価でき説得力のある資格が必要不可欠と言ってもよいでしょう。
基本情報技術者の資格を取得したあとは、キャリアデザインに応じて更に上位の資格取得を検討できます。
基本情報技術者試験を受けるデメリット
基本情報技術者試験を受けるデメリットについても見てみましょう。
費用や学習時間がかかる
基本情報技術者試験の学習時間の目安は150〜200時間と言われており、社会人の場合1日1時間の勉強時間を確保できるとして、5か月から6か月かかる計算になります。また、受験料は7,500円(税別)が必要です。
日本のIT資格は外資系企業では評価されない傾向があります。実際、日本の外資系IT企業の求人を見てみると、日本のIT資格は必要要件にも歓迎要件にすら記載されていません。
これは、アメリカの技術がスタンダードという認識からくるもので、日本の基準は特殊と捉えられていることが原因と言われています。
資格を取得しても日常の仕事には直接影響しないケースが多い
基本情報技術者試験を受けるために学習することは、日常の仕事に直接影響するものではありません。ITエンジニアとしての知識や自身の役割、得意・不得意分野を認識するうえでは有効ですが、即仕事に活かせるものではないケースがほとんどです。
ただ、自身の現時点での知識や技術レベルを知ることは重要と言えるでしょう。
情報技術者キャリアアップのロードマップ
経験を積みながら国家資格を取得する自身のキャリアアップのロードマップとキャリアプランを、以下の手順で立ててみましょう。
- 将来エンジニアとして「こうなりたい」という未来思考をしてみる
- なりたい自分のスキルアップの方向性の仮説を立てて自身に提案する
- 提案内容をスキルアップのテーマとしてIT国家資格のいずれかにあてはめる
- 資格試験の学習をすると共に、現在の自身の強みと弱みを洗い出す
- 自身の「こうなりたい」と4を擦り合わせ、現在と将来のギャップを考えキャリアプランを立てる
理想の将来像に近づけるためには、上記5つのギャップを認識し埋めるためにどのようなスキルを身につけ、経験を積むかのロードマップがキャリアプランを立てるポイントです。
基本情報技術者試験のサンプル問題リンク
実際、基本情報技術者試験の難易度や現時点での自身の知識を計るためには、例題や過去問題を解いてみるのが近道です。以下のIPAが提供しているサンプル問題のリンクから試してみましょう。
科目A試験:問題、解答
科目B試験:問題、解答
参考:情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について(基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験の通年試験化)
まとめ
基本情報技術者試験を受けるメリット・デメリットについて見てきましたが、やはり試験を受けるために学習してスキルアップするのは重要です。
また、自身のキャリアアップのロードマップを考えるきっかけにもなります。
ただ、キャリアアップについては様々な情報が必要になりますので、一度キャリアアドバイザーに相談してみることをおすすめします。