今から始めるテレワーク!#4 業務アプリの選定方法
緊急事態宣言も発令され、他人との接触を8割削減を目標に掲げられている今、テレワーク(在宅勤務)は必要な対策の一つです。新型コロナウィルス(COVID-19)の拡散を抑制するには無症状感染者との接触を避けることが最も重要視されています。そのためには3密(密集・密閉・密接)空間ともいえる通勤電車に乗らないようにすることもその一つでしょう。そんな目的からもテレワークの導入が求められています。
しかしながら、ここにきて一気に実施を求められるようになり、何をしたらよいのかわからないといった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
本シリーズでは、仮想の電気・計装設備工事会社における導入までのストーリーを例にこれからテレワークを導入するに必要なことを紹介します。
前回はテレワークにおけるセキュリティについてご紹介しましたが、第4回は「業務アプリの選定方法」です。
おさらい
これまでにT社では、どのようなことが決まったのかおさらいをしましょう。
本社スタッフをテレワークにするために何をすればよいのか考え始め、業務はファイルサーバー&メール&紙で主に構成されており、クラウドストレージを採用することで何とかなりそうということがわかりました。
また、暫定対策という位置づけであるものの、在宅勤務時における通信経路は「自宅のインターネット回線を使用してもよい」ことにしました。但し、業務遂行の際には会社支給のPCで作業することをルール化することにしました。
きちんとエンドポイントセキュリティ対策を設定しておく必要はありますが、これで一様にセキュリティレベルを確保することができます。
T社ではWindows Defenderを常に最新で使うことをルール化しました。
さらに、現時点では対象者はいませんが、今後の為にも自宅にインターネット回線がない人に対してはモバイルWi-Fiルーターを貸与することをルール化しました。
次はワークフローにも配慮したアプリケーションの選定です。
パッケージからサブスクリプションへ
Microsoft Officeという名称は、たとえGoogle Apps派だったとしても聞いたことがないという方はいらっしゃらないでしょう。 最も広く使われている業務用アプリケーションと言えば、Microsoft Officeと言っても過言ではありません。 企業活動における大抵のドキュメントはExcel、Word、PowerPointで作られているのではないでしょうか?
このOfficeには、従来通りのパッケージ購入とサブスクリプション(月額課金:Office 365)の2つが存在します。
<画像出典:Microsoft>
Office 365についての詳細は以下の記事も参考にしてください。
【Office365 基礎知識】そもそもの疑問から従来のOfficeとのコスト比較まで
【Office365 導入編】情シスが知っておくべきメリット/デメリットとは?
また、2020年1月にサポート終了を迎えたWindows 7に続き、同じく2020年10月には、Office 2010のサポートが終了を迎えます。 切り替えのタイミングだった場合、検討の価値はあるのではないでしょうか?
今回、T社でもOffice 2010を使ってきたこともあり、業務アプリケーションとしてはOffice 365を選択することが導入のハードルを低くすることができると考えられます。今回のリモートワーク検討にあたり、全社的にパッケージからサブスクリプションのOffice 365に切り替える方向で検討をするようです。
<主な選定理由>
・個人で利用できるストレージ領域も確保でき、同期させることでバックアップの心配も解消
・コミュニケーションツールとしてチャットやWeb会議などが使える
・固定資産にならない
Office 365 Businessにするのか、Office 365 Business Premiumにするのかの判断材料はコミュニケーションツールの有無になります。
T社では現場事務所もあり、Web会議の実施なども見込まれることから「Office 365 Business Premium」が第1候補といえるでしょう。
では、企業がOffice 365を使う場合、何を使えばよいのでしょうか?
最近、耳にするようになったMicrosoft 365について簡単に説明しておきます。
Microsoft 365とOffice 365
2020年4月21日(日本時間:2020年4月22日)、Office 365は名称変更し、Microsoft 365に名称変更します。法人向けとしては名称変更が主体であり、価格や機能、ライセンスモデルの変更はありません。(家庭向け「Office 365 Solo」は「Microsoft 365 Personal」となり、Teamsが使えるようになるのが大きな違い)
Microsoft 365とは、Windows 10と、Office 365と、Enterprise Mobility+Security(EMS)を全てセットにしてクラウドベースで使うことができるサービスです。ざっくりいえば、「OS」と「ビジネスで使うアプリ一式」と「セキュリティ機能」という企業で使用する製品が全て詰め込まれている、“オフィスのIT丸ごとセット”といえます。(参考:いまさら聞けない【情シス知識】Microsoft365とは?)これまでは企業向けのサービスとして展開していましたが、今後は家庭向けサービスも含めてMicrosoft 365に統一されます。
ちょうど移行期ということもあり、改めて新旧名称と機能を比較しておきます。
Microsoftでは、300人を区切りに中小企業向けと大企業向け(Enterprise)にサービスを分けていますが、基本的なビジネスアプリケーションに大きな違いはないものの、Enterprise E5では脅威対策や情報保護に手厚くなっています。 その分、利用料は高くなるのですが…。
T社ではデスクトップアプリの利用と端末管理(MDM)を考慮して、Microsoft 365 Business(Microsoft 365 Business Premium)を採用することにしたようです。
Aさん:「テレワークにどんな仕組みを用いるかは概ね決まりましたね。」
Bさん:「この構成をベースにまずは費用概算をしてみましょう。」
Aさん:「本社のテレワーク(在宅勤務)となる人だけではなく、社内のファイルサーバーを置き換え、且つ、現場事務所でも使えるようにアカウント管理してくださいね。」
Cさん:「その他には何が必要でしょうか?」
Aさん:「この次は端末調達ですね。テレワーク実施端末から新規に調達していこうと思います。」
Cさん:「新規に導入する端末の設定などはどうするのですか?」
Aさん:「購入なのか、リースなのかなど調達方法とも関係するので、ひと調べが必要ですね。」
次回は端末の調達と設定についてお話しします。
【執筆:編集Gp ハラダケンジ】
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