受託開発の外注先選定 ~システム開発会社を見極める6つのポイント~

  • 2024/4/26
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システム開発はビジネス上の課題解決や新たな価値提供を実現するために極めて重要なプロジェクトです。システム開発には自社で開発を行う内製と外部の業者に依頼する外注があります。外注する場合において、自社専用となる独自システムの開発を行うことが多いですが、その際に選択される方法が受託開発です。システムの受託開発を成功に導くためには、さまざまな要素を考慮した上で最適な開発会社を選定する必要があります。この記事では受託開発を行うシステム開発会社を選定するポイントについて、わかりやすく解説します。

 

1.受託開発とは

システム開発の方法は、自社で開発する内製と自社以外の外部のシステム開発会社に依頼する外注の2つに大別することができます。システム開発を外注し、開発を進める方法としていくつか手段がありますが、その中でもメインとなる手法が受託開発と業務委託契約による開発になります。

業務委託契約による開発とは、クライアントから依頼された開発を行う点では受託開発と同じですが、業務委託契約での開発の場合は仕事の完成が必須とされていない契約になります。一方、受託開発とは企業や組織などの、顧客による要望に沿ったシステムやソフトウェアを、外部のシステム開発会社がオーダーメイドで開発することを意味します。クライアントから仕事を請け負い依頼内容にあわせた独自のソフトウェアやシステムの開発を行い成果物を納品します。そのため、報酬の対象は「成果物や完成品」となるので、もちろん仕事の完成がないと報酬は発生しません。

自社専用のシステムを構築するニーズがある場合やパッケージソフトウエアやSaaS(※1)によっては、要求するシステム要件を満たせない場合や自社の業務形態に適さない場合には、成果物が重要のため、受託開発にて進めるのが一般的です。

※1:SaaS:既にソフトウェアサービスとして提供されている製品形態であるもの
      利用する場合は、必要な機能を必要な分だけ契約を締結し利用する

 

受託開発では、基本的にゼロからシステムをつくりあげる開発になるため、自社のニーズを満たす必要な機能を盛り込んだフルオーダーのシステム構築(スクラッチ開発)が可能です。

 

システム開発を外部に依頼するメリットには下記の4つの項目があります。詳しくは「ここが重要!システム開発を成功させる、はじめて外注するときの2つのポイント」の記事でも説明していますので是非ご覧ください。

1)スケジュール通りに開発を進めやすい
2)エンジニアの自社採用が不要
3)ハードウエアやソフトウエアなどの設備や開発環境の追加投資を抑制できる
4)システム開発の最新の知見を得ることができる

 

2.受託開発を行うシステム開発会社の選定前に準備すること 

受託開発を行うシステム開発会社を選定する前に、準備が必要な3つの項目があります。それぞれ説明します。

1)システム開発の目的・予算・納期の明確化
2)運用・保守の予算を決める
3)RFP(提案依頼書)を作成する

 

1)システム開発の目的・予算・納期の明確化

まずは、「目的」「納期」「予算」を明確にすることが大切です。プロジェクト開発に必要なコストは、システムの種類や機能、規模などによってそれぞれ異なるため、複数の会社から見積もりを取ると良いでしょう。初めての外注を進める際に、社内で予算の設定を行うのが難しい場合は、概算でも良いので決めておくことをおすすめします。

 2) 運用・保守の予算を決める

いわゆるランニングコストです。システム開発には初期費用だけでなく、開発後の運用フェーズでもコストが発生します。システム開発が完了し、ローンチ後に必要なコストを決めておく必要があります。

3)RFP(提案依頼書)を作成する

RFPとは提案依頼書です。システム開発会社から見積もりやシステムの提案をしてもらうために作成します。
依頼書にせずとも、「目的」「納期」「予算」以外の受託開発の中での肝となる情報が箇条書きでもまとまっていることが望ましいです。
またSaaSで似たサービスがある場合は、外注先にイメージを持ってもらいやすいようにするために提示できるとなお良いでしょう。

 

3.受託開発を行うシステム開発会社を見極めるポイント6つ

受託開発を行うシステム開発会社を選定するために必要な6つのポイントがあります。それぞれ説明します。

1)得意分野や強みがある領域の確認
受託開発はクライアントの独自システムを開発することになります。クライアントの業界や事業領域特有のビジネスプロセスやオペレーションが存在します。そのため専門的なシステム開発になるため、開発会社が得意とする分野や強みについて確認する必要があります。
さらに受託開発会社側でも得意な開発領域があります。基幹系システムの開発に強いのか、オープン系システムの開発に強みがあるのか、Web系のシステムに強みがあるのかなど、得意とする開発領域を確認しましょう。さらにオールラウンドプレイヤーなのか特定の業界やビジネス分野に特化したシステム開発会社なのか、確認することも大切です。

 

2)開発実績や技術力、経験値の確認
受託開発の成功実績や自社が開発したいシステムに対して、近しい開発実績や技術力、経験値の有無について確認しましょう。イメージが近い開発実績があったり、自社の業界に明るい知見があるエンジニアがいる場合は、より完成度が高いシステム受託開発を期待できるでしょう。

 

3)システム開発会社のセキュリティに対する意識や対策
受託開発では顧客情報や独自のオペレーションプロセスなど、機密情報を提示することになります。システム開発会社が再委託をした場合など、そこから海外へ機密情報が漏洩するようなケースも実際に発生しています。NDA(Non-Disclosure Agreement:機密(秘密)保持契約」の締結は当然ながら、開発の全工程を通じて機密が漏洩しないよう、機密情報の把握・管理、適切なセキュリティシステムの構築、担当者の規定や機密情報の取り扱い規定など、しっかりとしたセキュリティ対策を行っているシステム開発会社を選定しましょう。

 

4)担当者のコミニュケーション能力について確認する
システム開発を進めていくうえで、エンジニアとのコミニュケーションや要件のヒアリングは避けて通ることができません。自社専用のシステム開発を行う受託開発においては、とくに要件定義や設計の工程でしっかりと顧客の要件を理解し、システムに機能を落とし込めるコミニュケーション能力やスキルが必要です。

 

5)運用・保守など開発後のサポートがあるか
システムは開発後の本番運用において不具合やトラブルが発生します。安定稼働するまでサポートを受けることができるか、安定稼働度においても機能追加の対応が可能なのか、自社が自走可能な状態まで支援を受けることができるのか、など開発後のサポートについても確認が必要です。

 

6)その他(受託開発会社の経営や業績の安定性、オフショア開発を取り入れているか)
開発会社の経営や業績が安定していない場合、開発途中でプロジェクトが頓挫したり、システム導入後のサポートに影響が出るリスクがあります。万が一にもシステム導入後に受託開発会社が倒産した場合など、運用保守に極めて大きな影響が生じるため、開発会社の与信確認をしっかりと行うことが必要です。オフショア開発とは、ベトナムやインドなどの海外の優れたエンジニアや開発会社と連携し、国内外で連携してシステム開発を進める手法です。オフショア開発を実施している企業は将来性が高いといえるでしょう。

 

4.受託開発を行うシステム開発会社を選定する際の確認事項

受託開発を行うシステム開発会社を選定する際の注意点には下記の3つのポイントがあります。それぞれ説明します。

1)開発工数を発注者側が把握できる対応があるか
2)開発コストを抑える提案があるか
3)さまざまなリスクの想定があるか

 

1)開発工数を発注者側が把握できる対応があるか

システム開発においては開発途中の仕様変更やスケジュール遅延は頻繁に起こりがちです。
そのため発注者側は、システム受託開発会社に開発を丸投げせず、担当者とのコミニュケーションと進捗の管理をしっかりと行うことが必要です。リスク回避に必要なプロセスである状況を細かく把握するためのアウトプットが提示されるか、実績も含めて確認しましょう。

2)開発コストを抑える提案があるか

技術力が高く、成功した実績が多数あるシステム開発会社には豊かなノウハウが蓄積しています。そのため、開発コストを抑える提案をしてくれるでしょう。

3)さまざまなリスクの想定があるか

システム開発においては予期せぬトラブルやさまざまなリスクが発生します。経験値が豊富なシステム開発会社は、こうしたリスクについても予見する術があります。

 

5.まとめ

最適なシステム開発会社の選定はプロジェクトの成否に関わる大切なポイントです。本記事ではシステム開発を受託する業者を選定するポイントについて解説しました。

情シスNavi.では、本コラム以外にも、情報システムの開発に関わるさまざまなコンテンツを提供しています。是非確認してみてください。

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