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【AWS Summit】え!!!今のたまごっちってWifi接続するの!?
します。
AWS Summitでの公演で聴いたバンダイステージの『たまごっち』シリーズの進化と、AWS IoT で築いた『Tamagotchi Uni』でつながる世界という公演が素晴らしかったのでその一部を紹介させていただきます。
本記事ではTamagotchi Uniがどのようにしてネットワーク通信によるコンテンツ配信を可能にしているのか、インフラ構造を中心にシステムの裏側について解説します!!
この記事の目次
シリーズ初のWifi接続を可能にしたTamagotchi Uni
まず現行のTamagotchi Uniをサクッと紹介します。
右側のカラフルな見た目のたまごっちが最新機種です(2023年 6月6日発売)。スマートウォッチのような見た目になっており、自分が知っていた頃(2008年モデル)とは全く違う見た目をしています。
そして今作では通常の育成ゲームとしての機能に加え、ネットワーク通信を利用した以下の機能が追加されました
- 特定のコードを入力することによる、追加コンテンツをダウンロード(DLC)
- システムのアップデート
- 運営からのお知らせ機能
- Tamaverse(たまごっち内で利用できるSNS的な遊び。他のたまごっちユーザーとつながることで、アイテム交換、ミニゲームなどがプレイできる機能)
ネットワーク接続をフル活用したコンテンツ設計となっており、従来のたまごっちよりも長く遊んでもらうことを狙いとしているそうです。
で、どうやって動いているの?
ハードウェア
結論から申し上げますと、本体にはなんとESP32-S3が利用されています!マイコンボード界隈ではかなりメジャーでAmazonでも普通に買うことができるマイコンの一つです。一時期Arduinoを触っていた私としては非常に親近感がわきます。
ESP32-S3の主なスペックです。
- コア:Xtensa LX7 32bit
- ROM:16MB
- RAM:512KB
- そしてWifi接続が可能!!
ESP-32とは?
割とマイナーな話だと思うので説明します。ESP32シリーズとは簡単に言うとプログラミングができる電子基盤みたいなもので、以下のような事例でよく使われています。
-
- スマートホームデバイス: 照明や温度センサーなど、家庭内の自動化デバイス
- ウェアラブルデバイス: 健康管理用のフィットネストラッカーなど
- 産業用IoT: 工場の機器監視システムや環境センサー
こんな感じでI/Oピン(電極)が搭載されていて、個人の電子工作などでも用いられています。
ROMが16MB、RAMが512KBと、たまごっちではこの限られたスペックの中でカラフルな映像とWifi通信によるコンテンツの送受信を可能にしています!!今回の公演を聞いてめっちゃESP-32が欲しくなりました笑。
ソフトウェア
本体OSにはAmazon FreeRTOSが搭載されています。
FreeRTOSとは組み込みシステム向けのリアルタイムOS(RTOS)です。今回はリアルタイムOSの解説は省略します。このAmazon FreeRTOSはIoTデバイス向けのOSで、AWS上にセンサーなどの情報をアップするためのサービスが標準搭載されたOSです。もともとFreeRTOSというリアルタイムOSが存在していたのですが、これをAWSがネットワーク周りを中心に改修を加え、オープンソース化したのがAmazon FreeRTOSです。
つまるところこのTamagotchi Uniは完全なIoTデバイスであると言えるんです。
ネットワークインフラ
はいどん!!こちらはAWS Summitで公開されたスライドの一部です。
こちらのインフラ構造を見ると、EC2、ECSなどが全く使用されていません。AWS IoTを中心としたサーバーレス構成が採用されています!これにより、
- 管理の複雑さの排除
- Amazon FreeRTOSをAWS IoTを使用したセキュアな接続の実現
- 100万台単位の安定接続と、大規模な自動スケーリング
を実現したとのこと!!AWSど素人の自分でも知っているサービスが中心に構成されており、システムのシンプルさが伝わってきます。またAWS Lambdaがフル活用されていて、この図を見ているだけでも自分の知らない使い方がめちゃくちゃあることを思い知らされました。
追加コンテンツのダウンロード手順の紹介
ネットワークを活用した機能を2つほど紹介させていただきます。まずは追加コンテンツのダウンロードについてです。たまごっちにもDLC機能がついかされるとは!もはやたまごの域を超えていますね。
1.コード入力
ホームページでの配布や店舗などを通じて追加コンテンツのダウンロードコードを入手し、それをたまごっち本体で入力します。
2.送信
入力されると、MQTTメッセージによりコードがAWSに送信されます。
3.検証
入力されたコードの正当性がLambdaとDynamoDBにより検証が行われます。
4.ダウンロード
正当性が検証されるとS3から本体にコンテンツがダウンロードされます。
ここも非常にシンプルな構成になっていますね。
Tamaverseの紹介
次にTamaverseの動作の流れについて紹介します。
1.アップロード
プレイヤーのキャラクター情報、使用言語、アクセサリー、ミニゲームのスコアが送信され、DynamoDBに登録されます。
2.ダウンロード
まずダウンロード対象の他のユーザーの情報が一時ファイルとして、S3に格納されます。その後ダウンロード用のURLが発行され、それをもとに対象のたまごっちにファイルがダウンロードされます。
3. ハート送受信
そのあと、他のたまごっちへのハート(いいね)の情報の送受信が行われます。
まとめ
めっちゃAWSフル活用してるじゃん!すげぇ!と、公演を生で見たものとして思いました。公演の後半でお話があったのですが、バンダイの開発チームはネットワーク周りについてAWSの公式プロトタイピングチームの助力のもと、システムを開発したそうです。ここまで完璧なAWSフル活用のインフラを見せられると、自分もAWSを使ってみたくなります笑。
それでは良いエンジニアライフを!
参考
AWS Summit Japan
たまごっち公式サイト(2024/07/05):https://tamagotchi-official.com/jp/
スイッチサイエンス(2024/07/05):https://www.switch-science.com/
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