こんにちは。UIデザイナーのカヒブンです。中国出身です。
みなさんは他人のデザイン案を見た後、次のようなフィードバックを受けたことがありますか?
「もう少しかっこいいにしたほうがいいです!」
「これはあまり好きじゃないですね・・」
こういったフィードバックを受け取ると、相手はデザインをどう改善すれば良いか分からず、自信も失ってしまいます。ですので、今回の記事は効果的なデザイン批評について、そして弊社ではチーム内でどのようにデザイン批評を行っているかを紹介したいと思います。
まず、「デザイン批評」とは?
デザイン批評は、デザインの質を評価し、改善するためのプロセスです。これは、デザイナーが自分の作品を他の専門家や関係者に提示し、フィードバックを受ける機会を提供します。このフィードバックを基に、デザインを改善し、最終的な完成度を高めることが目的です。
フィードバックのタイプ
フィードバックには3つのタイプがあります。
- 反応型:直感的な反応からは、デザイン上の判断の効果について具体的なことが何もわからない。
例えば:「見事ですね、素晴らしい出来です!」「〇〇をとても気に入りました」「なんか微妙なんだよな」
- 指示型:その人に認められたデザインが、目的達成のために効果的なデザインとは限らない。
例えば:「ここの形は〇〇がいいと思います」「私なら〇〇する」「〇〇にするべきでは?」
- 批評型:デザインが、目的達成のために効果的かどうかを分析する。(こちらはデザイン批評で求められるフィードバックです)
-分析の対象は、そのデザインのどの側面か(またはどの判断か)を具体的(言語化)に明らかにしている
-その側面または判断を、目的に関連づけている
-その側面または判断が、目的達成を果たすのに機能しているかどうか、またその理由を説明している
つまり、デザイン批評はデザインをより良くするための分析手法です。
批評する時のポイント
- 質問で始める:デザインの背景を理解して、分析の根拠となる情報の多い、より良いフィードバックを与えるため。
- 長所についても話す:ポジティブなフィードバックを挟むことで、 批評を受ける側はネガティブなフィードバックを受け入れやすくなる。他のプロジェクトでもその長所を再現できるようになる。悪かった部分の修正のために良かった部分が消されることを防ぐ。
- 視点について考える:誰の視点でデザインを分析しているか? 自分の専門知識とユーザー視点とのバランスを取るように努めること。まずは、自分の視点とユーザーの視点とを比較することから始めよう。(ex. 「ユーザーの視点から考えると、このステップはわかりやすく使いやすいと思います。ただし、インタラクションデザインの視点からすると、少し冗長かもしれませんね…」)
- 問題解決を避ける:人間の脳は、問題発見と問題解決を同時に行えない。問題解決のために全体のデザイン批評が終わらなくなってしまう なんていう事態を避けるために、 批評の場では、問題解決に気を取られすぎないようにする。
デザイン批評の方法などについては、「みんなではじめるデザイン批評」という本の内容を参考にしました。この本には批評のファシリテーションに関するより具体的な内容が含まれていますので、興味がある方はぜひ購入して読んでみてください。https://www.amazon.co.jp/dp/B01J2OEYLU/
チームでの運用_デザイン批評会
次に、弊社のデザインチームがどのようにデザイン批評を行っているかをご紹介いたします。チームにはリモートワークをしている社員もいるため、編集や情報共有を行うためにFigmaを使用してデザイン批評を実施しています。Figmaだと同時に編集可能で、カーソルでどこを見ているのかわかるので、スムーズにコミュニケーションが取れるので、Figmaは本当に最高ですね。
準備するもの
デザイン批評を行うのに必要なものは題材と付箋です。
付箋は3種類あり、色ごとに下記のようにわけて使用しています。
青:良いと思ったポイント
黄:判断に迷うけど悪いと思うポイント
赤:悪いと思ったポイント
デザイン批評会の行い方
- 批評対象について、ターゲットやデザインコンセプトなどについてみんなで確認する(5分)
- 各自気になったポイントに付箋を書いて貼っていく(10分)
- 付箋をある程度カテゴリーに分けて整理する(5分)
- 1枚ずつ読み上げて内容を確認する(10分)
- デザイン改善(デザイン批評会で行いません)
実際に批評してみた
弊社が運営するHumAIn HPのトップ画面を批評してみました。
1、批評対象について、ターゲットやデザインコンセプトなどについてみんなで確認する(5分)
デザイン批評ファイルを用意する人が、その批評内容のコンセプトや誰に向けて製作されたものなのかをまとめたものをあらかじめ用意します。
2、各自気になったポイントに付箋を書いて貼っていく(10分)
この作業は各自もくもくで喋らずにひたすら付箋に気づいたことを書いていきます。Badポイントだけでなく、Goodポイントも書くことで、なんとなくいいな〜からどうしていいのかがきちんと言語化できるようになります。
3、付箋をある程度カテゴリーに分けて整理する(5分)
このアイキャッチを制作した人も批評メンバーにいましたが、みんな容赦無く赤や黄色の付箋を貼っています。
4、1枚ずつ読み上げて内容を確認する(10分)
このアイキャッチでは、グラフィックの細かい指摘(余白や色など)やキャラクターの使い方についての指摘が多かったです。
こうした批評の数々に、製作した本人は「そうですよね〜今見てみると自分甘いなと思いますっ…」と言っていました。
作っている時にはなかなか気づかないポイントもありますよね。
5、デザイン改善(デザイン批評会で行いません)
収集したフィードバックを元に、デザインを改良します。
最後に
以上は効果的なデザイン批評に関する紹介と、弊社のデザインチームでのデザイン批評会の進行方法についてでした。もし興味がありましたら、ぜひチームに紹介して実践してみてください。最後までお読み頂きありがとうございました。
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