ベトナム受託開発・開発チーム構成について

オフショア開発には多くの利点があります。それには安価な人件費、豊富な人材、日本の労働文化と類似した働き方、出張や文化交流に便利な地理的な位置などが挙げられます。この記事では、オフショア開発分野におけるアウトソーシングチームの基本構造についてご紹介します。

会社の規模や業務モデルによって、それぞれの役職や担当業務は異なりますが、全体をまとめると、以下の主要な部門に分けることができます。

マネジメント部門

プロジェクトが契約締結を完了し、正式に開発フェーズに入ると、プロジェクトは開発管理部門に移管されます。ここでの移管プロセスは、単にプロジェクトの物理的な管理を別のチームに渡すだけではありません。それは、新しいフェーズへの戦略的な移行を意味し、特にプロジェクトの成功のために重要な役割を果たすプロジェクトマネージャー(PM)や部門マネージャー(Division Manager)が中心となります。

プロジェクトマネージャーの役割

プロジェクトマネージャー(PM)は、プロジェクト全体の指揮を取る指導者であり、彼らの役割は非常に多岐にわたります。プロジェクトマネージャーの主な責任には、プロジェクトの計画立案、見積もり、リスク管理、そして最終的な納品が含まれます。具体的には以下のような業務があります:

①計画立案とスケジュール管理:

プロジェクトの初期段階で、PMは全体のプロジェクト計画を立てます。これには、各タスクのスケジュールを設定し、重要なマイルストーンを特定することが含まれます。

計画が立てられた後、PMは進捗を綿密に監視し、計画に対する実績を評価して、必要に応じてスケジュールを調整します。

②リソース管理とチームの調整:

PMはプロジェクトに必要なリソースを特定し、それらを効率的に配分します。これには、人的リソース、技術的リソース、そして財務的リソースが含まれます。

チームメンバー間の協力を促進し、すべての関係者がプロジェクトの目標を理解し、それに向けて協力するようにします。

③顧客との連携とコミュニケーション:

PMは顧客との主要な連絡窓口であり、顧客の要件や期待を把握し、チームにそれを伝達します。

定期的なステータス報告を通じて、顧客にプロジェクトの進捗を報告し、必要に応じてフィードバックを取得し、プロジェクトに反映させます。

④リスク管理と問題解決:

プロジェクトが直面する可能性のあるリスクを予測し、それらを軽減するための戦略を策定します。

問題が発生した場合には迅速に対応し、プロジェクトの進行を妨げないように問題を解決します。

部門マネージャーの役割

部門マネージャー(Division Manager)は、複数のプロジェクトやチームを統括する役割を担っています。会社の規模によっては、部門マネージャーの業務内容は異なる場合がありますが、一般的には以下のような業務を行います:

①複数チームの統括管理:

部門マネージャーは複数のプロジェクトマネージャーを直接管理し、それぞれのPMからの報告を受けて、部門全体のプロジェクトの進行状況を監督します。

各プロジェクト間でのリソース配分や優先順位の調整を行い、部門全体としての成果を最大化します。

②戦略的な意思決定と目標設定:

部門の戦略的な目標を設定し、それに向けての計画を策定します。これには、長期的な成長目標や短期的な成果指標が含まれます。

各プロジェクトが部門全体の戦略に沿った形で進行するように、PMと協力して計画を調整します。

③予算管理とコスト制御:

部門全体の予算を管理し、各プロジェクトが予算内で運営されるように監督します。

コスト効率を高めるための方策を講じ、予算の制約の中で最良の成果を得るよう努めます。

④パフォーマンスの評価とフィードバック:

部門内のチームや個々のパフォーマンスを評価し、改善点や成功をフィードバックします。

チームメンバーの成長と開発を支援し、部門全体の能力を向上させます。

コミュニケーション部門

この部門は、顧客と開発者、時にはマネジメント部門とプログラマーの間のコミュニケーションを担当します。一般的に、プログラマーはプログラミング関連のスキルに特化しており、言語スキルが弱いことが多いです。特に日本語の習得には時間がかかります。そのため、日本語でのコミュニケーションは言語の専門家が担当し、プロジェクトチームと顧客の間で情報を交換し、お互いの理解を深める手助けをします。

この部門で一般的な役職には、ITコミュニケーターとブリッジSE(Bridge Software Engineer)があります。

①ITコミュニケーター

ITコミュニケーターの役割は、システムやアプリに関するすべての技術ドキュメントの翻訳を担当します。この仕事は高い精度が求められ、開発者がプロジェクトの要求を正確に理解し、適切なアプローチや実行手順に従って進めるのに役立ちます。また、Q&Aやフィードバックを含む両者間の会議の通訳も行います。ITコミュニケーターはプロジェクトの進行状況を把握し、関係者間の会議や討論にも参加し、次のステップを計画し、適切な解決策を提案することができます。これにより、次の実施ステップを計画し、適切な解決策を提案することが可能になります。

②ブリッジSE(Bridge Software Engineer)

ブリッジSE(Bridge Software Engineer)は、通常、ソフトウェアエンジニアの経験を持ち、日本語能力も高いです。技術的な要求を理解しやすく、ソフトウェアエンジニアリングチームと協力して迅速かつ適切な解決策を見つけることができます。また、顧客と直接、およびソフトウェアエンジニアリングチームとも連携しています。そのため、いくつかのプロジェクトでは、ブリッジSEがプロジェクトマネージャーの役割を兼任することもあります。

開発部門

①ビジネスアナリスト(BA)

企業やプロジェクトにおける要件の橋渡し役を担う専門家です。彼らの役割は、ビジネスのニーズや課題を理解し、それを技術的なソリューションに変換することです。

②フロントエンドエンジニア

ユーザーインターフェースの作成とシームレスなユーザー体験の提供に特化しています。

③バックエンドエンジニア

サーバーサイドのロジック、データベースの相互作用、およびアプリケーションの統合に焦点を当てています。

④フルスタックエンジニア

フロントエンドとバックエンドの両方の開発に熟練した多才な専門家です。

⑤インフラエンジニア

製品をサポートする基盤となるハードウェアとネットワークリソースの管理と保守を担当します。

⑥DevOpsエンジニア

開発プロセスを合理化し、継続的な統合、デリバリー、運用効率を確保します。

品質保証部門

品質保証(QA、Quality Assurance)部門は、製品やサービスの品質を確保するための重要な役割を果たします。一般的に、以下のような専門家が品質保証部門で活躍します。

①テストリード

・テストチームを指導し、テスト戦略や計画の策定、テストの進捗管理を行います。
・優先順位付けやリソースの配分を調整し、テストプロセス全体の効率性を確保します。

②テスター

ユーザーインターフェースの作成とシームレスなユーザー体験の提供に特化しています。

・プロジェクトやプロセスの品質監査を実施し、規制や基準に準拠しているかを評価します。
・監査結果を文書化し、改善点を特定して品質管理にフィードバックします。

まとめ

オフショア開発においては、アウトソーシングチームの基本構造が重要な役割を果たします。各部門の役割と責任が明確に定義され、それぞれの専門家がそれぞれの分野で優れた業務を担っています。マネジメント部門ではプロジェクト全体をリードし、コミュニケーション部門では言語の専門家が重要な橋渡し役を果たし、開発部門と品質保証部門では製品やサービスの品質向上に貢献しています。

さらに、オフショア開発は安価な人件費や豊富な人材、地理的な利便性を提供し、日本の企業にとって大きなメリットをもたらします。品質保証部門の存在は、製品やサービスの品質を確保し、顧客満足度を高める重要な要素です。

したがって、適切なアウトソーシングチームの構築と効果的な運営は、企業の成長と競争力の向上に不可欠です。今後も技術の進化や市場の変化に対応しつつ、オフショア開発のポテンシャルを最大限に活用することが求められます。

このように、オフショア開発は現代のビジネス環境において重要な戦略的選択肢であり、適切に活用することで企業は競争力を強化し、成長を遂げることができるでしょう。

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