クラウドの安全性やセキュリティ面のデメリット、対策方法などを解説
クラウドサービスは、自社でオンプレミスなサーバー環境などを用意しなくても手軽に利用できるため便利です。一方で、「クラウドは便利であるが、安全性は大丈夫なのだろうか」と不安に思う方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、クラウドサービスの安全性やメリット、デメリット、セキュリティ対策方法、選定ポイントを解説していきます。
この記事の目次
クラウドサービスにおけるセキュリティの重要性と安全性
クラウドサービスにおいて特に重要となるのが情報漏えい対策です。特に顧客の個人情報や社内の機密情報をクラウドサービス上で管理している場合は、十分な情報漏えい対策を行うことが不可欠となります。
クラウドサービスはよくセキュリティ面の安全性が懸念されますが、近年はクラウドサービスの技術進歩やセキュリティ強化により安全性は高くなっています。
したがって、オンプレミスだから安全、クラウドだから危険とは一概には言えず、重要なのは情報資産をどのように管理・運用していくかであると言えるでしょう。
クラウドサービスのセキュリティにおけるメリットとデメリット
ここでは、クラウドサービスのセキュリティ面に関するメリットおよびデメリットを解説します。
クラウドサービスのセキュリティにおけるメリット
主なメリットは、クラウドサービス上で情報を管理するため、パソコンやスマートフォンなどの端末に情報を保持しなくてよいことです。万が一パソコンなどの端末の紛失・盗難が生じた場合でも、端末から情報が流出する事態を防げます。
クラウドサービスのセキュリティにおけるデメリット
クラウドサービス事業者の管理ミスやシステム障害によって、クラウドサービス上の情報が漏えいするリスクは完全には払拭できません。
他には、利用者が誤ってクラウドサービス上のデータを消してしまったり、別の領域にコピーしてしまったりした場合は、情報の紛失や漏えいにつながるおそれがあるでしょう。
クラウドサービスのセキュリティ対策方法
クラウドサービスの主なセキュリティ対策方法について、以下の4点を解説します。
- 通信データの暗号化を行う
- IDやパスワードなどの認証情報を適切に管理する
- アプリケーションやOSの脆弱性を排除し、外部からの攻撃に備える
- データのバックアップやハードウェア機器の障害対策を行う
通信データの暗号化を行う
データのアップロードやダウンロードを行う際には、通信データの暗号化を行うことが重要です。たとえば、VPNサービスを利用することで、第三者から通信データを不正に盗み取られるリスクを軽減できます。
IDやパスワードなどの認証情報を適切に管理する
推測されにくいID・パスワードの設定や多要素認証を利用し、クラウドサービスにアクセスするユーザーの認証情報をしっかりと管理することも大事なポイントです。責任者だけがアクセスできる領域と全員がアクセスできる領域に分けて、各ユーザーに異なるアクセス権限を付与することも有効であると言えます。
また、各ユーザーが責任を持って自分自身のID・パスワードなどを管理できるよう、アカウントの共有をしないように運用ルールを定めることも求められるでしょう。
なお、パスワードの流出が心配な方は以下の関連記事も合わせてご確認ください。
関連記事:「パスワード漏洩のチェック方法4種類を解説!漏洩原因と事例も紹介」
アプリケーションやOSの脆弱性を排除し、外部からの攻撃に備える
クラウドサービス自体が安全でも、クラウドサービスにアクセスする端末や連携しているアプリケーションのほうに脆弱性がある場合、セキュリティリスクが高まります。
パソコンなどの端末のOSを常に最新化する、連携しているアプリケーションの脆弱性対策を行うなど、周辺環境のセキュリティ対策も重要です。
データのバックアップやハードウェア機器の障害対策を行う
第三者による不正な情報アクセス以外にも、データの破損や紛失によるセキュリティリスクも考えられます。そのため、データのバックアップを行うことや、ハードウェア機器の故障を想定した冗長化対策など、万が一の際にもデータを守る仕組みが大切です。
クラウドサービスを選ぶ際のポイント
クラウドサービスを選定する際は、以下のポイントを意識するとよいでしょう。
- 導入目的や規模に合ったクラウドサービスを選ぶ
- クラウドサービス事業者のセキュリティ対策について確認する
- ユーザーのセキュリティ対策へのサポート体制を確認する
導入目的や規模に合ったクラウドサービスを選ぶ
まずは自社でクラウドサービスを導入する目的や利用範囲を明確にします。導入目的や利用範囲が不明確な場合、必要なスペックや機能、保存するデータの種類などを具体化できないため、まずは自社のニーズを洗い出すことが重要です。
クラウドサービス事業者のセキュリティ対策について確認する
クラウドサービスを利用するうえで欠かせないセキュリティ対策に関して、クラウドサービス事業者の対策内容を確認しましょう。たとえば、データセンターの立地や施設環境、ハードウェアの構成、機器の障害対策、データの暗号化など、データを守るうえで適切な対策が行われているかを調査します。
また、安全性評価基準である「ISO27017」を取得している事業者であるかや、過去に情報漏えいなどの問題を起こしていないかも確認ポイントとなるでしょう。
ユーザーのセキュリティ対策へのサポート体制を確認する
クラウドサービスのユーザーがセキュリティ対策を行ううえで、必要なサポートを提供してくれる事業者であるかどうかも判断ポイントです。たとえば、ユーザーごとのアクセス権限設定やデータのバックアップ設定などに困った際に、設定方法をわかりやすくサポートしてもらえるかどうかも確認しておくとよいでしょう。
まとめ
クラウドサービスにおいて多くの方が気になるのがセキュリティ面ですが、近年のクラウドサービスは技術進歩やセキュリティ強化により高い安全性を有していると言えます。クラウドサービス上で情報を一元管理することで、パソコンなどの端末の紛失・盗難時でも情報漏えいを防げるでしょう。
ただし、クラウドサービスを利用する際は、通信データの暗号化やID・パスワード管理、脆弱性対策、データのバックアップなどが不可欠です。
オンプレ環境だけでシステムを構築するのは多くの時間やコストがかかってしまうため、クラウドサービスは自社の用途に合った範囲で活用したほうが得策であると言えます。クラウドサービス事業者のセキュリティ対策状況やサポート体制をしっかりと確認して、自社に役立つクラウドサービスを導入していきましょう。