Windows 10 LTSBとは?メリットやデメリット、活用方法を解説

  • 2022/11/2
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企業活動において工場現場や基幹システムなど、安定稼働が第一となるシステムも少なくありません。

安定稼働を保つためには、使用するパソコンなど端末への影響を最小限に留めることも重要です。
LTSBは、更新プログラムによる影響を最小限に留めたいときに役立つ仕組みです。

企業担当者のなかには「LTSBという言葉は聞いたことはあるが内容がよくわかっていないため、この機会に理解を深めておきたい」という方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、LTSBの概要やLTSCとの違いやメリット・デメリットに加えて効果的な活用方法などを解説していきます。

LTSBとは?

はじめに、LTSBの概要やLTSCとの違いやLTSBが求められている理由を解説します。

LTSBの概要

LTSB(Long Term Service Branch)とは、Windows10のサービスチャネルの一種です。
サービスチャネルとは、Windowsの更新プログラムを適用する頻度をグループごとに分けられる仕組みです。
サービスチャネルには、半期サービスチャネルと長期サービスチャネルがあります。
両者のサービスチャネルの違いは、更新プログラムを適用する頻度です。
前者は半年に一度の更新頻度で「SAC(Semi-Annual Channel)」と呼ばれます。
一方「LTSB」は後者の長期サービスチャネルであり、半年ごとの更新プログラムの適用を強制されない仕組みです。

LTSCとの違い

実はLTSBは旧称であり、現在はLTSC(Long Term Service Channel)という名称に変更されています。
LTSBの適用範囲は2016年に提供されたバージョンまでであり、2017年以降は「LTSC(Long-Time Servicing Channel)」となっているのです。
したがって、現在ではLTSCという名称で呼ばれることが一般的です。
関連記事:「使える! 情シス三段用語辞典81「LTSC(LTSB)」

LTSBが求められている理由

LTSBが必要とされている理由には、主に以下の2点があります。

  • 情報システム部門の負担を軽減するため
  • ミッションクリティカルなシステムを安定稼働させるため

人手不足が課題とされている情報システム部門では、なるべく担当者の負担を軽減することが大切です。
更新プログラムを適用する際は、各業務システムやアプリケーションへの影響調査などが必要となり、情報システム部門にとってはそれなりの負担になります。
そのため、半年に一度の更新(半期サービスチャネル)では情報システム部門にとって負担が大きくなることから、負担軽減のためにLTSBが求められています。

また、社会インフラや人命に関わるミッションクリティカルなシステムを安定稼働させることも重要なミッションです。
たとえば以下のようなシステムでは、安定稼働を保つために更新プログラムによるシステム影響を最小化したいニーズが強いといえるでしょう。

  • 工場現場での制御用端末
  • 医療機関や医療機器の制御システム
  • 金融機関のATM
  • 基幹業務システム 

上記のようなシステムは、最新の利便性よりも安定稼働が優先されます。

LTSBのメリット

LTSBの主なメリットは、以下の4点です。

  • システム影響の最小化
  • 情報システム部門の負担軽減
  • サポート期間の長さ
  • 運用の容易性

前述のとおり、LTSBによって更新プログラムによるシステムの影響を最小化できる点は大きなメリットです。また、情報システム部門の負担を軽減できる点も大きいでしょう。

他にも、LTSBはサポート期間が10年間と長く、従来のWindowsバージョンでの運用を継続可能です。
加えて、セキュリティの堅牢なデータセンターなど、ネットワークが遮断された環境でも運用が容易である点もメリットとなります。

LTSBのデメリット

一方で、LTSBのデメリットは以下が挙げられます。

  • 最新プログラムの利便性は享受できない
  • ハードウェアの在庫切れリスクがある
  • レガシーシステムの問題がある

LTSBでは、最新の更新プログラムを適用できない場合がある点がデメリットです。
古いLTSBで使用していたハードウェアは、最新の更新プログラムに対応していないことも少なくありません。
そのため、最新の更新プログラムによる業務効率化などの効果は享受できないでしょう。

また、LTSBに対応しているハードウェアの在庫切れリスクもデメリットです。
古いLTSBのハードウェアを使用し続けた場合、対象ハードウェアの在庫切れが生じる場合があります。
加えて、修理の際も部品の生産終了によって修理できないリスクもあるでしょう。

さらに、レガシーシステム化を助長する可能性がある点もデメリットと言えます。
各企業がDX推進としてシステムのクラウド化などを行っていく一方で、いつまでも古いシステムやハードウェアを使い続けてしまう可能性もあります。

LTSBの社内での効果的な活用方法

メリットとデメリットの両方が存在するLTSBですが、社内で効果的に活用するにはどうすればよいのでしょうか。
ここでは、LTSBの社内での効果的な活用方法を3点説明します。

利用用途を限定する

LTSBを活用する際は、利用用途を限定することが重要です。
一般的に、LTSBの使用は安定稼働を最優先とする特定の業務向けシステムに限定するのが効果的と言えます。

たとえば、以下のようなシステムです。

  • 工場現場での制御用端末
  • 医療機関のシステム
  • 銀行のATM
  • 基幹業務システム

社内のすべてのシステムや端末に適用するのではなく、あくまで対象は一部のシステムや端末に留めましょう。

在庫切れリスクを見込んだ計画を立てる

LTSBでは対象ハードウェアの在庫切れリスクがあるため、在庫切れリスクを事前に考慮しておくことが大切です。
在庫切れの可能性を踏まえて、端末の調達計画などを事前に立てておくとよいでしょう。

段階的なシステム切替を実施する

LTSBのサポート期間は10年間と長いですが、いずれサポート期間終了が訪れます。
そのため、サポート期間終了となる前にOSのアップグレードやシステム切替を段階的に行いましょう。

まとめ

LTSBはWindows10のサービスチャネルの一種であり、半年ごとの更新プログラムの適用を任意で判断できる仕組みです。
システム影響の最小化や情報システム部門の負担軽減、運用効率化などのメリットがあります。

ただし、LTSBを社内のすべての端末に導入することは避けたほうがよいでしょう。
最新プログラムを適用できない場合や対象ハードウェアの在庫切れリスクがあるため、利便性よりも安定性を重視するシステムに限定するのが得策です。

社内には安定稼働を第一とするシステムも少なからず存在するでしょう。
LTSBを活用しながら、止められない基幹システムなどの安定稼働を実現してください。

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