スーパーアプリは中国をはじめ、アジア圏を中心に広がりを見せているアプリです。
利便性の高さから、日本でも導入を目指す企業が増えています。
しかし、日本における認知度はまだまだ低く、「スーパーアプリとは何?」と疑問に思う方も多いでしょう。
そこで今回はスーパーアプリの概要を踏まえながら、企業で導入するメリット・デメリットを紹介します。
この記事の目次
スーパーアプリとは
通常スマホのアプリを使用する際は、目的のものを1つずつ開く必要があります。
スーパーアプリでは、複数のスマホアプリを1つのアプリ内で開き、使用することが可能です。
つまりスーパーアプリとは「スマホアプリの統合版」といえます。
おもに統合されているサービスは、次のとおりです。
- SNS
- 歯医者
- ビデオ通話
- 決済、送金
- ホテルの予約 など
例えば、SNSを見たりビデオ通話をしたりする際は、それぞれTwitterやSkypeなどを開くでしょう。
しかし、スーパーアプリはそれ1つを開くだけで、他のサービスをいつでも使用できます。
また、新しいアプリの利用を開始するごとに、IDやパスワードを設定する手間もありません。
アプリの使い始めから終わりまで、ユーザーの使いやすさをとことん追求したのがスーパーアプリなのです。
スーパーアプリのメリット・デメリット
スーパーアプリは利便性が高く、ユーザーの生活を多角的にサポートするものだとわかりました。
では、スーパーアプリを企業が導入するメリットは、どのようなものがあるでしょうか。
デメリットとあわせて、1つずつチェックしていきましょう。
・メリット
企業がスーパーアプリを導入するメリットは、おもに次の3つです。
- 開発工数や期間を短縮できる
- 新規ユーザーを獲得しやすい
- 多様なサービス展開ができる など
スーパーアプリはiOSとAndroid、双方に対応するため、アプリ開発のコストを大幅に削減できます。
また、登録時にIDやパスワードなど面倒な入力が必要ない分、新規ユーザーも獲得しやすいでしょう。
スーパーアプリはコストを削減しつつ、売上アップが期待でき、企業利益にもつながるのです。
・デメリット
一方、企業がスーパーアプリを導入するデメリットは、おもに次の2つです。
- 参入障壁が高い
- 画面(UI)によっては逆に使いにくくなる など
そもそも、スーパーアプリは多様なサービスを1つのアプリで利用できる点が最大の魅力となります。そのため、自社サービスが少ないと、スーパーアプリ化は難しいでしょう。
また、自社サービスが多様でも、ユーザーにとって魅力がないと利用継続につながりません。
逆に、魅力を追求するあまり、機能を追加しすぎるのも問題です。
アプリの画面が煩雑になり、使いにくくなってしまいます。
機能性と操作性のバランスを取るのが難しい点も、スーパーアプリのデメリットといえるでしょう。
代表的な3つのスーパーアプリ
スーパーアプリには、さまざまなメリット・デメリットがあることがわかりました。
では、実際にはどのようなスーパーアプリがあるのでしょうか。
ここでは、代表的なスーパーアプリを3つ紹介します。
・中国「WeChat(ウィーチャット)」
WeChatは、中国国民のほとんどが使用しているとされるスーパーアプリです。
スーパーアプリの先駆けともいうべき存在であり、2022年時点では100万ものミニアプリ(アプリの中で開くアプリ)が搭載されています。
WeChatのおもな統合サービスは、次のとおりです。
- SNS
- ニュース
- メッセージ機能
- ショッピング
- キャッシュレス決済
- ホテルやチケットの予約 など
統合サービスを見るとわかるように、中国の生活で必要な事柄はWeChatひとつで完結します。
WeChatがないと、中国で生活できないと言っても過言ではないでしょう。
・東南アジア「Go-Jek(ゴジェック)」
Go-Jekは、インドネシアの配車アプリからスーパーアプリ化したものです。
2012年に誕生したマレーシアのスーパーアプリ「Grab」に先駆け、2010年に誕生しました。
おもな統合サービスは、次のとおりです。
- バイク便
- チケットの購入
- デリバリー予約
- ハウスキーパーの手配 など
Go-Jekは現在、インドネシア国民にとって必須のアプリとなっています。
旅行で滞在する方もGo-Jekを活用することで、より快適な旅の時間を過ごせるでしょう。
・日本「LINE(ライン)」
実は、日本のLINEは厳密に言うとスーパーアプリではありません。
ただし、日本において最もスーパーアプリに近いサービスといえます。
LINE本来の機能であるメッセージ機能や通話のほか、おもに次のようなサービスが統合中です。
- 音楽
- ゲーム
- 店舗予約
- 決済や送金
- クーポンの発行 など
LINEは他国にくらべると、まだまだスーパーアプリとしては成長途中といえます。
しかし、日本国民のうち、約半数以上が使用しているアプリです。
今後の展開によっては、日本が誇るスーパーアプリとして急成長する可能性は十分あります。
スーパーアプリの今後はどうなる?
中国や東南アジアにおけるスーパーアプリは、国民にとってなくてはならない存在になっています。
その流れは、日本でも同様です。LINEに続き、Yahoo!JAPANや大手通信キャリアでスーパーアプリ化の動きを見せ始めています。
LINEを要し、Yahoo!JAPANの運営元でもあるZホールディングスは、PayPayが中心のスーパーアプリを目指しているとうわさされています。
auやDocomo、SoftBankといった大手通信キャリアも、決済サービスを柱にスーパーアプリ化を進めているとのことです。
今後、日本国民にとって必須のスーパーアプリが誕生するのも、そう遠い未来ではないといえるでしょう。
スーパーアプリは企業・ユーザー双方のメリットが大きい!
スーパーアプリはユーザーの利便性を大きく高める、スマホアプリの統合版です。
企業側も魅力的な自社サービスを多数展開することで、大きな利益を得られます。
幅広いサービスを展開している企業は、スーパーアプリ化に挑戦してみてはいかがでしょうか。