【いまさら聞けない】IoTとDXの違いとは?|用語への理解が深まる活用事例をご紹介
近年、さまざまな業界で注目を集めているDX。それに付随して先端技術であるIoTなどの用語の認知も拡大しています。
そんな中、IoTやICTといった用語の意味を明確に理解できていない方も多く存在するようです。
また「DXと同じような意味ではないのだろうか?」と、正確な意味とは異なる覚え方をしている方も。
そこで本記事では、混同されやすいIoTとDXの明確な違いについて解説します。
各用語の正確な意味はもちろん、IoT以外の混同されやすい用語ICTについても解説。
理解を深めるために、IoTによるDX事例もご紹介するので、ぜひ確認してみてください!
この記事の目次
IoTとDXの明確な違い
そもそもIoTはDXという目標を実現するための1つの手段に過ぎません。
たしかに、IoTとDXは切っても切り離せない密接な関係があります。そのため2つの用語を混同して認識してしまっている方も多いようです。
しかし、その辺りの認識を正確に捉えられていないと社内ミーティングや取引先との会話にすれ違いが発生してしまう可能性もあります。
業務を円滑に進めるためにも、改めてそれぞれの用語の意味をしっかり確認しておきましょう。
・そもそもDXとは
DXとは「Digital Transformation(デジタル・トランスフォーメーション)」の略で、さまざまなIT技術を駆使して、ビジネスや日常生活をより便利に変革していく取り組み・流れのことです。
なお、経済産業省が発表している「DX推進ガイドライン」においてDXは以下のように定義されています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。 |
上記のようにDXはビジネス用語として活用されるのが一般的です。実際、幅広い業界で社内DX実現に向けて以下のようなIT技術が活用されています。
- AI(人工知能)
- IoT
- ビッグデータ
- VR/AR
- ブロックチェーン など
つまり、DXを実現させるためのIT技術の1つがIoTとなるのです。前提としてこの関係性をしっかりと覚えておきましょう。
・IoTとは
一方、IoTとは「Internet of Things(インターネット・オブ・シングス)」の略で「モノのインターネット」を意味します。
IoTはさまざまなモノをインターネットに接続することで、データ収集や共有、操作を円滑に行うシステムです。
なおIoTの主な機能として挙げられるのは以下の4項目です。
- モノの操作
- モノや人の状況把握
- モノの動作感知
- モノ同士での通信
IoTでは、スマートフォンやタブレットはもちろん、自動車や家電などのデバイスを直接インターネットに接続することで、より精度の高い状況把握や1つの端末によるデータ管理・一括操作を可能としています。
つまり、DXによる革新を目指すために、モノをインターネット接続するIoTが活用されていると認識しておくとよいでしょう。
・IoT・DXと混同することも多い「ICT」とは
「ICT」もIoTやDXと混同されてしまいがちな用語の1つです。
ICTとは「Information and Communication Technology(インフォメーション アンド コミュニケーション テクノロジー)の略で「情報伝達技術」を意味します。
ITやDXと同じ意味として認識されることも多いICTですが、コミュニケーションに重点を置いているのが特徴です。なおICTを活用したツールやサービスとしては以下のようなものが挙げられます。
- クラウドサービス
- Web会議システム
- FAX転送システム など
上記のような人とインターネットをつなぐ情報伝達技術がICTなのです。IoT同様、ICTもDXを実現させるため必要不可欠な技術の1つであると覚えておきましょう。
DXを実現したIoT活用事例をご紹介
2つの用語への理解をさらに深めるために、DXを実現したIoT活用事例をご紹介します。
日常生活やビジネスにおいてさまざまなシーンで取り入れられているIoTですが、今回はIoT技術導入による「スマートファクトリー」が高い注目を集めている製造業や工場内の活用事例をピックアップしました。
IoTやDXへの具体的なイメージを固めるためにもぜひ、参考にしてみてください。
・大手企業のIoT活用事例「トヨタ自動車」
「世界のトヨタ」でおなじみの自動車メーカー「トヨタ自動車」では、IoT技術による工場内DX「工場IoT」に取り組んでいます。
工場IoTは、以下の目的を達成するために3D CADデータなどの一元管理体制や工場と現場などの部署間にまたがる情報共有基盤の構築を目指す取り組みです。
- 現有資産の最大有効活用
- 拾い切れていない現場の困りごとをAIで解決
- FA機器類からのデータ授受
- セキュリティ対策
- IE化されていない設備の標準化
また自社だけでなく、エンジニアリングチェーンやサプライチェーンにも工場IoTの考え方を拡大し、「開発」「市場」「工場」のより強固な連携体制を目指しているのも特徴です。
今後は情報共有基盤の強化を目指し、セキュリティやマーケティングにも注力していくと明言しています。
・中小企業のIoT活用事例「山口製作所」
金属プレス加工・金型製造に携わる新潟県小千谷市の「山口製作所」では、IoT技術を活用することで社内の情報管理・作業効率化に取り組んでいます。
独自開発した生産管理システムによって、顧客からの受注データを1度入力するだけで、在庫管理、受発注処理、生産管理、生産指示を一元化することに成功。
さらに、異なるメーカーの生産設備でも活用可能なIoTシステムを導入することで、自社に最適な稼働状況データ取得システムを確立しました。
その結果、過去の受注情報や生産情報を探す手間を削減。IoT技術により機械の稼働状況を可視化し、顧客に開示することで、職員の意識向上も実現しているようです。
まとめ
幅広い業界・領域で活用されているIoTはDXに大きく関連する先端技術です。
将来的にはさらに需要が高まり、日常生活やビジネスなど幅広いシーンへの活用が予想されているため、用語の正しい意味をしっかり押さえておく必要があります。
DXに関連するIoTやICTなどの用語を正しく理解し、先端技術へ適応できる人材を目指しましょう。