2019年第4四半期と2019年通年の国内トラディショナルPC市場実績-IDC
IDC Japanは、日本国内におけるトラディショナルPC市場出荷実績値を発表。2019年第4四半期(10月~12月)の国内トラディショナルPC出荷台数は、法人市場が前年同期比52.0%増の322万台、家庭市場は同比19.6%増の130万台、両市場合わせて同比41.0%増の452万台となった。
2019年通年でも、法人市場は前年比59.7%増で1,259万台、家庭市場は同比18.1%増の475万台、全体で同比45.7%増、1,735万台となっている。
カンパニー*1シェアでは、レノボ/NEC/富士通グループは2018年からシェアを1.9ポイント失ったというものの4割を維持し、シェア40.3%で1位に。2位のHPは昨年からシェアを3.6ポイントと大幅に伸ばし18.2%、3位のDellも1.9ポイント伸長し15.5%となっている。
法人市場では、Windows 7の延長サポート終了(2020年1月)前にWindows 10へ移行する動きが法人市場全体で見られたため、通年で59.7%増という記録的な成長を達成しました。インテルCPUの供給問題が国内ベンダーを中心に出荷の押し下げ要因になりましたが、それほど影響を受けない外資系大手ベンダーへの切り替えが進み、結果的に外資系ベンダーのシェアが急速に拡大したとIDCではみています。家庭市場でも、Windows 7の延長サポートの終了前の需要が2019年中頃から顕在化し年末まで継続したこと、さらに10月1日の消費税増税がWindows 10への切り替え特需を増幅させたため、通年でも前年比18.1%増という近年稀にみる成長に至ったとIDCでは考えます。
カンパニー*1・ハイライト
2019年第4四半期のカンパニー別の出荷数上位5社は以下の通りとなっている。
レノボ/NEC/富士通グループは、グループ全体で前年同期比33.4%増であった。家庭市場では前年同期比27.0%増と好調だったものの、法人市場では36.2%増とマーケットの平均成長率を下回る結果となった。
Brand別でみると、法人市場と家庭市場を併せた全体市場ではNECが46.5%増と比較的好調だったものの、富士通とレノボでマーケットの平均成長率をかなり下回っている。富士通ではインテルCPUの調達に問題があったことによって年内に出荷できなかった数量がかなり大きかったと推測される。
図1. 2019第4四半期 国内トラディショナルトPC出荷台数 トップ5カンパニーシェア
Source: IDC Japan, 3/2020
図2. 2019年 国内トラディショナルPC出荷台数 トップ5カンパニーシェア
Source: IDC Japan, 3/2020
日本HPは、法人市場、家庭市場共に絶好調で、全体市場で前年同期比78.7%増とトップ5カンパニーの中で最高の成長率を達成。法人市場は前年同期比が77.7%増、家庭市場は同比86.9%増と両市場で拡大するWindows 10への切り替え需要をうまく捉えたとみられる。
デルは、法人市場と家庭市場を合わせた全体市場で前年同期比55.3%増と、マーケットの平均成長率を大きく上回りました。特に法人市場が好調で、前年同期比72.7%増を記録しています。2019年の後半に伸びが堅調な小・中堅企業の需要をタイムリーに取り込んだ結果といえよう。
シャープ(東芝)*3は、第3四半期に引き続き堅調で、全体市場で前年同期比58.2%増であった。法人市場で同比64.2%増、家庭市場で同比46.6%増と両市場とも大変好調な結果に。法人市場では、大企業およびパブリックセクターでの強みを活かし拡大したとみられる。
アップルは、家庭市場における存在感のおかげで全体市場でも5位につけている。全体市場では、前年同期比7.9%減でした。Windows陣営がユーザーのWindows 10への切り替え需要で活況を呈する中、伸び悩む形となっている。
IDC Japan PC, 携帯端末&クライアントソリューション グループマネージャーの市川 和子氏は「2019年を振り返ると、世界の他の地域、たとえばUSAやWestern Europeがそれぞれ前年比3.4%増、4.2%増という状況の中で、日本が異常ともいえる好調に沸いていたことが分かる。2020年は確実に下降フェーズに突入するので、GIGAスクール構想という好材料はあると言うものの、PCベンダーは慎重な戦略で臨む必要がある」とコメントしている。
本調査は、IDCが実施したPCベンダー調査、ユーザー調査、販売チャネル調査などをもとに、独自の分析を行い算出したものです。ここでいう国内のトラディショナルPC市場には、デスクトップPC、ポータブルPC、ワークステーションが含まれています(x86サーバーは含まれていません)。IDCではより正確な情報を提供するため、過去の実績を含むデータの見直しを随時行っております。そのため、本発表で用いられる数値はIDCが過去に発表したものと異なることがあります。
注*1:カンパニーとは、IDCの調査レポート期間において、期間内に発生した買収・統合の結果を反映する財務・法務的な企業ないし企業グループである。
注*2:ブランドとは、製品梱包箱に記載されているベンダーブランドである。
注*3:IDCの定義上は、2019年第4四半期における当該法人のカンパニー名はシャープである。日本におけるプレスリリースに限り、東芝を括弧付きで併記している。
本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ46106020