BC Vol:09「トークンエコノミー」僕らの活動はテクノロジーに溶け、経済は拡散し続ける

ブロックチェーンが持つ可能性。そこに大きなビジネスチャンスを抱き、さまざまな産業界が導入を進めています。しかし、ブロッチェーンはそれだけではありません。浸透次第では、社会や経済そのものを変化させる可能性すらあるのです。今回はブロックチェーンにより築かれる「トークンエコノミー 」とはなにかを紹介します!

【仮想通貨大国?】投資じゃ語れない、仮想通貨の可能性

“億り人”の出現からなのか、はたまた2017年に円建てのビットコイン取引が世界全体の過半数を超えたと報じられたからなのか、今や日本は「仮想通貨大国」とよばれているそう。

ここから、世の中では仮想通貨の普及も進んでいくと予想されているようです。でも、これには少し疑問。誤解を恐れずいえば、日本の仮想通貨界隈は投資・投機の一辺倒。普及に必須のサービスやプロダクトの数は海外に比べ明らかに少ない。ブロックチェーン関連のデペロッパーも同様の印象です。この状況で一体どう普及期に突入していけるというのか?

ただ、そんなことを語っても仕方がない。どうせなら明るい未来、途方もなく大きな可能性について語るがよし。と、いうことで、今回のテーマは社会すら変えていくブロックチェーンの可能性についてです!

【おさらい】ブロックチェーンの圧倒的存在感と、誰もが仮想通貨を発行できる現代について

まず、ブロックチェーンのおさらいからはじめましょう。技術的なトピックをあげると、「トランザクション(取引データ)の塊をハッシュで相関性を持たせながら保管」「P2Pによる分散ネットワーク」「合意形成アルゴリズム」の3つ。これらが組み合わさってブロックチェーンは稼働します。
そこからどんな特徴が生まれるかといえば、こちら。

・管理者不要
・ダウンタイムゼロ
・事実上改ざんできない強固なセキュリティ環境
・取引履歴の見える化

つまり、「機関やサーバー」が存在しないのに、「24/365稼働し続ける」。さらに、「抜群のセキュリティ環境上に取引データを保存」でき、「データ履歴は誰もが確認できる」ということ。この特徴を約10年にわたり証明し続けているのがビットコイン・ブロックチェーンであり、2009年の稼働からまだ1度も「止まって」いません。※執筆時点

現在、数えてもきりがないほど仮想通貨があるのも、このような安全性・安定性があるからこそ。また、そもそも“きりがないほどの仮想通貨”が増えたのも、見逃せないブロックチェーンの大きな特徴です。ビットコイン・ブロックチェーンやイーサリアム・ブロックチェーン然り、オープンソースなので開発スキルがあればオリジナル仮想通貨の生成が可能。最近では開発スキルなしでも発行できるアプリもあります。たとえば、“情シスコイン”みたいに、「誰でも好きなテーマで仮想通貨をつくれる時代」なのです。

さて、「安全・安定性」と「汎用性」。このふたつの特徴のブロックチェーンが生み出す可能性はなにか? といえば、「小さな経済圏の誕生」です。これを「トークンエコノミー」といいます。

 

【あらたな経済圏】世の中に知られない活動も経済的価値になる?

まず、 既存ではないオリジナル仮想通貨のことを「トークン」とよびます。*便宜上、トークン=オリジナル仮想通貨=アルトコイン

そして、そのトークンが流通する、つまり使う人と得る人で成り立つコミュニティがトークンエコノミーです。

トークンエコノミーはトークンに代替させる価値はなんでもかまいません。日本円なら、ジュースは130円、バスは210円、ラーメンは800円、飲みニケーションは3~4000円程度? ですが、トークンの場合「規定の価値と値段」はないので、たとえば親切にしてくれた人に対して1トークン、ママのお手伝いをした子どもに0.5トークン、大きな魚を釣ったら5トークンなど、自由自在です。

また、既存仮想通貨のように、やり取りにかかる「手数料をきわめて少なく」設定できるので、日本円に置き換えれば1円よりも小さい価値をトークンで表現することも可能。コンベアから流れてくる荷物をきれいに拭く日本人CA。最近、その姿が海外メディアに驚嘆をもって報じられましたが、そのような「おもてなし」も価値として表現できるかもしれません。

トークンエコノミーのインパクトは、このように「今まで経済的価値を与えられなかったモノ・コトを価値化し、流通させるコミュニティの形成」にあります。

 

【社会が変わる】拡散するトークンエコノミー

このトークンエコノミーの特徴とトークンを手軽につくれる事実。ここから、「一人ひとりが自分のトークンを持ち、トークンエコノミーで経済活動を行う」ようになっていく未来も考えられます。

Aくんはスポーツが得意なので、スポーツエコノミーで活躍する。Bくんは料理が得意なので、料理エコノミーで活躍する。Cさんはファッションが得意なので、ファッションエコノミーで活躍する・・・など。また、一人が複数のエコノミーを掛け持つことも考えられます。

このように、自分の特技をトークン化し報酬を得られるコミュニティで活動をすれば、毎日出勤していやいや仕事をする必要はなく、就職に困ることもないようになります。「自分の特技、または好きなこと/できることで生きていく」、そんな世界をトークンエコノミーはもたらすのです。

「いちばんたいせつなことは、目に見えない」。
サン=テグジュペリの『星の王子さま』の一節ですが、トークンエコノミーは人々のいちばん大切なことを見える化してくれる経済圏だともいえるでしょう。

 

【執筆:編集Gp 坂本 嶺】

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