【情シス マネジメント】人材パラダイム! スマホネイティブ世代との向き合い方
2018/06/25
この記事の目次
【時代は変わるよどこまでも】時代はスマホファーストに完全移行し、PCが使えない若者急増
「業務PC導入方法」の記事でも触れましたが、PCがなければオフィスワークが成り立たないのが定説。でも、近年ではモバイルデバイスが頭角を現して、現場はPC、タブレット、スマホの三つどもえ。きっと、すべて使っている人も多いことでしょう。かくいう私もその一人。
さて、この3つのデバイス。果たしてどれがメインなのか。おそらく、最多の声はPC。Excel、Word、パワポの編集はらくらく。長文メールや重要なプレゼン資料作成もブラインドタッチでなんのその。これをタブレットやスマホに代替させるとなれば、どんなに苦労することか。と、いうのが私たちアラフォー世代のおおよその意見でしょう。
でも、このような考え方は、これからの現場でどんどん少なくなっていくのかも? 今回はそんなお話です。
実は今、スマホの普及から、「PCを扱えない若者」が増えているのだとか。 ”えっ?”という人も少なくないかもしれません。
市場調査メディア「マイクロミル」の『新成人500名にきく、2017年 新成人に関する定点調査』を見ると、新成人のデスクトップ所有率は2013年から減少傾向にあり14.4%。ノートも同様に2013年から減少傾向で2016年から2017年にかけて微増の70.2%。ついでに、総務省『平成29年 通信利用動向調査』を見てみると、「世帯のインターネットに利用するデバイス状況」はスマホ54.2%に対しPC48.7%。年齢別では、20〜29歳の87.8%がスマホを使い、PCは63.8%。13〜19歳、30〜39歳、40〜49歳での割合も似たようなものです。この割合から、PCのヘビーユーザーが増えているとはとても言い難い。
では、PC出荷台数の推移は? ということで、JEITAの『パーソナルコンピュータ国内出荷実績』を見てみると、2013年の出荷台数は1,210万9,000台で、2017年は676万7,000台。調査結果に自作やBTOが入っているのかはわかりませんが、なるほど確かに減っている。そして今や、世帯の7割がスマホを持ち、20代ではほぼ10割、30代でも9割がスマホを持っている(by総務省)こと考えれば、デバイスのメインストリームは完全にスマホに打って変わったと言っても過言ではないでしょう。
さて、ここで話を戻すと、このような背景から登場したのが「スマホネイティブ」という20代前半の世代。つまり、デジタルデバイスの中心がスマホの若者です。PCに対する免疫がきわめて少ないのが特徴で、あまり触れたことがない人に加え、なかには“キーボードの打ち方がわからない”という人もいるらしい。大学時代の4万字の卒論ってどうしたの? と聞きたくなりますが、スマホで作成したとなればある種すばらしい能力です。
【考えどころ】スマホネイティブの常識を変えるのか、それとも私たちが変化を求められているのか?
そんなこんなで、新卒社員にスマホネイティブの若手がいると、人事部は困り顔をするとか。まあ、PCメインの業務環境ではわかります。でも、それを正論とするのは・・・、熟慮が必要かも。
なぜなら、時代はあらゆるモノ・コトがスマホファースト。メインではないにしても仕事にもスマホは欠かせないし、業務アプリの多くがスマホ対応です。また、今後スマホに代わるデバイスが出てくる可能性はなきにしもあらずですが、PCが爆発的復権を果たすとは考えにくい。と、すると、このままスマホネイティブが当たり前になる可能性だってある。現に、ビジネスにおいてもスマホの存在感は高まり続けています。
少し古い記事ですが、二年前のダイヤモンドオンラインの『若者のパソコン離れが示唆する恐ろしい未来』がとても興味深い。記事には、「開発ロボットに搭載の操作パネルをキーボード仕様からスマホ入力仕様に変更しなかった」ことで、日本企業がアジアでシェアを落としたという事例が書かれています。さらに、後半では、はるか昔、手書きからワープロへの変化についていけなかった人がいたように、キーボード→スマホ入力でも同じことが起きるかもしれないという予測も。考えると、確かに未来は恐ろしい。
このような記事、また昨今の潮流から推測すると、転換を求められるのは、“親指”だけで驚愕のテキスト入力を実現する彼らではなく、両手でキーボードを叩く私たちなのではないか。そう思わざるを得なくなってきます。
【共存に向かって】スマホファースト時代に求められる情シスのマインドセット
さらに、スマホネイティブ世代と年齢を重ねデジタルデバイスに順応していった私たちの世代とでは、価値観や仕事観もかなり異なるといわれています。
「要件だけで、メールにタイトルや挨拶をいれない」、「上司にもLINE」はよく聞くところですが、そのほかにも「Webで調べたことがすべてで、自分の意見がない」、「対面での報・連・相がきわめて苦手」、「チャレンジ精神が希薄」、「飲み会など社外コミュニケーションを疎んじる」など、旧来の常識では看過できないことが多いようです。
とは、言っても−−
スマホネイティブ世代に、これまでの常識を押し付けることは、果たして教育・育成なのか。現在の企業社会に彼らの特性を生かす道はないのか? いや、あるはず。というより、守り→攻め然り、モード1→モード2然り、デジタルトランスフォーメーション然り、IT社会の大波にもがいているのは、きっと私たちの方。スマホネイティブ世代に歩み寄り、共存してこそ、新しい道が開けるのでは。そんな気もします。
そして、少し飛躍しすぎかもしれませんが、スマホネイティブ世代が力を存分に発揮できる場が、情シスなのではないでしょうか。
目まぐるしく変化するIT社会に求められる情シス像。それは、「営業部門のような意思決定・実行のスピード感」「必要なことに対する幅広い知見と、柔軟かつ自在に対応する能力」「小規模なチームでの緊密なコミュニケーション」「複数のタスクの並行処理」だと考えます。
対して、スマホネイティブ 世代の特性をまとめると、「知りたいモノ・コトは考えるよりもまず検索」、「内容を効率的に的確に伝えるチャットが得意」、「SNSのコミュニケーションになれている」、「ながら作業はお手のもの」などなど。これらの特性は、先ほどの情シス像の素養とはいえないでしょうか。
まず、スマホネイティブ世代が特性を活かせる環境をつくり、存分に能力を発揮してもらうこと。そのあとに、従来の常識や考え方を教えても遅くはないと思います。教育・育成よりも、共存。そこから、あたらしい未来がスタートする気がするのです。
【執筆:編集Gp 坂本 嶺】