国内企業に対するソフトウェア・ライセンス監査実施状況調査-ガートナー
21日、ガートナー ジャパンは、国内のソフト ウェア・ユーザー企業に対するライセンス監査の実施状況について、調査結果を発表。
国内企業では、SAPやOracle、Microsoftをはじめとするパッケージ・ソフトウェアの利用が拡大。こうした中、ソフトウェア・ベンダーによるライセンス監査が国内においても一般化していることが、今回の調査で明らかになった。
ライセンス監査は、ソフトウェア・ベン ダーがユーザー企業に対して実施する、ライセンス違反の有無を確認するための取り組みであるが、調査では、国内のユーザー企業の50%以上がベンダーによる監査への対応経験を持っており、今後、対応することを想定する企業と合わせると70%弱の企業が、近い将来に監査を経験することになる見込みである (図1参照)。
その理由として、国内企業の多くがERPをはじめとするパッケージ・ソフトウェアを利用しており、大掛かりなライセンス監査に向けた準備が強く意識されたことは少なかったと想定している。一方で、パッケージ・ソフトウェアがカバーする業務範囲は拡大し続けており、最初の導入以降に、利用範囲が大幅に広がる場合もある。IT部門が、さまざまな部門の利用状況を正しく把握する難易度は以前より確実に高まり、特にグローバルでビジネスを展開するメガベンダーでは、他のベンダーの買収統合により、現在も、機能や対象ユーザーが拡大している。こうしたベンダーでは、定期的にユーザー企業から利用状況に関する申告を受けるの みでなく、率先して確認に乗り出す姿勢が強まっている。グローバル・ベンダーの監査チームは本国にある場合が多く、北米や欧州などの地域での監査が先行してきましたが、日本企業に対する監査も同様に、一般化しつつあるとみている。現時点でガートナーに寄せられる問い合わせは、グローバル・ベンダーの監査に関するものが多いが、同じトレンドが日系を含む他ベンダーにおいても、強まる可能性があると見ている。国内のITリーダーは、こうしたトレンドを十分に意識する必要があります。
今回の調査ではさらに、ライセンス監査を受けた企業に対して、監査後のベンダーからの要求についても尋ねた。その結果、監査を受けた企業の60%強が追加の支払いを求められていたことが明らかに。本来必要なライセンス数を購入できておらず、追加ライセンスが必要になった、または、現在のライセンスの権限では実行できない処理を実行しており、より権限レベルの高いライセンスが必要であることが明らかになった、といった回答が見られた (図2参照)。
また、ソフトウェアの利用は複雑化し、単一ベンダーが提供するソフトウェアのみを使うのではなく、他のベンダーのソフトウェアとインテグレーションする、または、アドオン画面経由でアクセスする、ということも一般的になっている。最近では、IoT (モノのインターネット) やロボティック・プロセス・オートメーション (RPA) といった技術の進展もあり、今後の新規契約や契約更新では、ソフトウェアへのアクセス形態がさらに多様化することが予想される。こうした中、どういった操作に対し、どのようなライセンスが必要か、ユーザー企業にも混乱している。ソフトウェアの契約時や、日々の運用の中で、自社が所有するライセンスと利用シナリオについて、ソフトウェア・ベンダーとの間にギャップがないよう、詰めておくことが必要となる。こうした交渉やコミュニケーションに、国内のユーザー企業は、さらに精通しなければならず、例えば、契約書において問題になりがちな文言を把握しておくこと、自社が強い交渉力を持つ方法や機会を把握することが大切となる。
調査手法
本Web調査は、日本国内のパッケージ・アプリケーション・ソフトウェアおよびデスクトップ・ソ フトウェアのユーザー企業を対象に、2018年4月に実施。掲載した調査結果は、SAP ユーザー企業 (n=67)、Oracleユーザー企業 (n=65)、SAP/Oracle以外のパッケージ・アプリ ケーション・ソフトウェア・ユーザー企業 (n=54)、Microsoft Office 365ユーザー企業 (n=89)、 Microsoft以外のデスクトップ・ソフトウェア・ユーザー企業 (n=54) からの回答をまとめたもの (有効回答数:209)。
本レポートは、ガートナー ジャパン様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:http://www.gartner.co.jp/press/pdf/pr20180821-01.pdf
2018/08/24