【ET×IoT Technology 2018レポート①】つながる次世代のテクノロジーここに集結!!

2018年14〜11月16日の三日間、パシフィコ横浜で「ET &IoT Technology 2018」が開催。「ET×ET(エッジテクノロジー)によって実現するスマート社会」を副題にした同展覧会は、IoTの肝となるエッジコンピューティングに焦点を当て、「Society5.0」実現の片鱗をのぞかせる製品/技術が一堂に集結した。IoTとエッジによって変わる生活、社会、産業「組込みAI」「IoT無線技術」「スマートセンシング」「セーフティ&セキュリティ」「次世代モビリティ」「エッジコンピューティング」それぞれのキーワードで未来を築く製品たち。その一端をレポートする。

【次世代テクノロジー】自動運転、遠隔操作、人の行動を担い支える先端技術

当展覧会の目玉である主催者テーマパビリオンでは、「次世代モビリティ」「エッジAI」「エッジコンピューティング」「ハプティクス」といった先端テクノロジーをデモンストレーションとともに紹介するブースが用意されていた。なかでも目を引いたのが次世代モビリティのアセントロボティクス株式会社「自動運転AI」とハプティクスのRe-al/ANA「釣りロボット」だ。

 

【深層強化学習を使った自動運転AI】完全自動運転を実現するAIの開発−アセントロボティクス

Googleの無人タクシー、Uberの自動運転トラックなどから、広く一般にも知られるようになって久しい自動運転。日本では、トヨタが2020年の東京五輪に合わせ自動運転レベル4の発表を、ホンダは2025年ごろにレベル4の技術確立を、日産は2020年に一般道でレベル3の実現をめざしているという。
自動運転レベルには0〜5の段階があり、「完全自動運転」とよばれるのは「限定条件下のみ、完全自動運転が可能」のレベル4、そして「あらゆる状況下で、完全自動運転が可能」のレベル5となる。

この、「あらゆる状況下で完全自動運転が可能なAI」の開発をめざすのがアセントロボティクス株式会社である。設立は2016年のスタートアップであるが、直近では11億円の資金調達に成功と、今、勢いに乗っている。同社の自動運転AI「ATLAS」は、「仮想空間でシミュレーション学習」ができる点に最大の特徴がある。現実での実証運転が不要なことから、スピーディかつ低コストで開発を行え、さらに、さまざまな状況を学習させることができるという。

 

【リアルハプティクス】海に行かずともリアルな釣りを楽しめる革命的な遠隔釣りシステム−re-al

ロボットというと人工知能ばかりをイメージしがちだが、ロボットの動作にもブレークスルーを起こす革新的な技術が実用化された。それが、慶應義塾大学ハプティクス研究センターの力触覚技術「リアルハプティクス」だ。同技術は、人間の触覚の詳細な伝送が可能だという。そして、この技術を機械に簡単に組み込めるICチップも、モーションリブ株式会社が「AbcCore」として製作に成功した。これらを組み合わせて、ユニークな展示をしていたのがre-alとANAの共同プロジェクトのひとつ「釣りロボット」だ。

釣竿を持つユーザーとロボットの動きがリアルタイムに連動。状況はVRを通して確認する。そして、魚が食いつけば、その重みや引きの感覚をロボットがユーザーに伝える。つまり、海のない場所で本物の釣り体験ができるというわけだ。同システムは、大分の海洋釣り場と連携し、「AVATAR Fishing」として、来年春のサービスインを予定。釣った魚は、翌日プレイヤーの元に届くサービスもあるという。行かずとも、楽しめる。まさにIoT時代のアクティビティだといえるだろう。また、同プロジェクトは「リアルに対してより興味を持ってもらう」ことを目標としているという。このように、IoTが人の意識に影響を与えることも注目したい。

 

【ヘルスケアIoT】センサーが人の運動意欲を刺激する−MedVigilance

テクノロジーの普及により、人間は運動する機会を大幅に失った。便利さの代償と考えればさもありなんだが、しかし、現代ではそのテクノロジーがかえって人に運動を促そうとしている。ヘルステック・カンパニーMedVigilanceの「Cyber Cyc」のようなサービスも、いずれ日常の一コマになるだろう。

同サービスは既存の有酸素マシンにIoTデバイス「PULSTONETM」とVRを組み合わせたオンラインサービス。ペダル部に搭載した「PULSTONE™」がユーザーの動作を可視化。VRと連動し、サイクリングゲームと同じ感覚でフィットネスを楽しめる。

「PULSTONE™」は、加速度センサーとジャイロセンサー、筋電位センサーを組み合わせた同社のオリジナルウェアラブルだ。軽量かつコンパクトで、人体にも直接装着可能。手軽にユーザーの動きや可動域、筋肉の動きを可視化でき、フィットネス以外にも筋トレ、リハビリ、ゲームなど、さまざまに応用できる。とくにIoTを活用したゲーミフィケーションとヘルスケアや未病との相性はよいとされており、今後も注目株だ。

【エッジデバイス・セキュリティ】IoT時代にセキュアな環境はやってくるのか?

あらゆるモノがインターネットに接続するIoTの未来。その魅力は誰もが感じているだろうが、それが徐々に現実のものとなるたび、“悪夢”とも表現されるのが「セキュリティリスク」だ。セキュリティ対策が十分に講じられていないデバイスが、社会に大ダメージを与える可能性は決して否定できない。また、マルウェア「mirai」など、ここ数年のサイバー攻撃のトレンドは、IoTデバイス向けに移行していると聞く。つまり、当然ながら“つながる未来”は、盤石なセキュリティ環境なくしては成り立たない。

 

【IoTセキュリティ】三位一体で守るマイクロソフトのIoTセキュリティサービス−マイクロソフト

毎年数十億台と、未曾有に増え続けるIoTデバイス。それは同時に、セキュリティリスクの高まりを招く。PCセキュリティは近年対策が進み、サイバー攻撃を回避できる可能性も高まってきた。逆説的にいえば、昨今攻撃が複雑化・巧妙化しているのはその証だ。しかし、これから続々と登場するIoTデバイスではどうか? そのリスクに対し、マイクロソフトが発表したのがIoTセキュリティサービス「Azure Sphere(アジュール スフィア)」だ。

コーポネントは「Azure Sphere MCU」「Azure Sphere OS」、「Azure Sphere Security Service」の構成。つまり、チップ、OS、サービスの三位一体で構成される。Azure Sphere MCUは、マイクロソフト独自のセキュリティサブシステム「Pluton」とARMプロセッサを組み込んだもの。Azure Sphere OSは、カスタムしたLinuxカーネルを採用し、Sphereデバイスとクラウドを安全に接続する。Azure Sphere Security Serviceは、Sphereデバイスのセキュリティ対策やエラーレポート、ソフトウェアアップデートを提供する。

MCUのセキュリティ対策に加え、定期的にバージョンアップが行われ続けることで、脅威からデバイスを守るAzure Sphere。終わりがないIoTセキュリティに、あらたな安心をもたらすサービスだといえる。

 

【監視カメラセキュリティ】監視カメラに重要インフラ並のセキュリティを−CRI・ミドルウェア

昨今、フランスやイスラエルでベンチャー投資が加速している。とくにイスラエルは、話題のスタートアップが多いことでも知られ、日本にも優れたサービスが複数紹介されている。ミドルウェア研究開発・販売企業であるCRI・ミドルウェアは、イスラエルのサイバーセキュリティ企業「Terafence」と提携・発表した、セキュリティ製品「Vsecure」を紹介していた。

まず、Terafenceは、IoTセキュリティに先端技術を持つ企業で、デバイスとネットワーク間のデータ通信方向制御に独自の技術を持つ。それを応用したのが「Vsecure」で、監視カメラなどのIoTデバイス向けセキュリティ製品だ。「データ伝送の方向を、物理層/論理層で制御」することで、不正ハッキングの防止やデータトラフィックの制限を行う。また、非常に先進的なアイソレーション・アーキテクチャが、ハッカーのアクセスをシャットダウンする。Vsecureで使われる動画伝送技術は、「片方向通信」を実現しており、重要インフラレベルの強固なセキュリティ環境を構築する。

監視カメラのハックと聞くと、日本ではまだ特別なイメージがあるかもしれないが、決してそんなことはない。現に、今もデフォルト設定のカメラ映像が全世界にWeb公開されていることは承知の事実だ。監視カメラに対するセキュリティ、すべての企業にその重要性を認知してもらいたい。

 

後半へと続く−−

 

【執筆:編集Gp 坂本 嶺】

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