「ひとり情シス」の実態が明らかに デルが中堅企業のIT動向調査と支援策を発表
デルでは2016年12月~2017年1月に調査を実施。「IT施策について他社の現状を知って、参考にしたい」という中堅企業の顧客の声を受けたものだという。調査からは「ひとり情シス」をはじめ、中堅企業のIT部門の動向で以下のような注目すべき実態が明らかになったと説明した。
「ひとり情シス」が14%、IT専任担当者なしは13%に
社内のITや情報システム部門を全て一人で切り盛りする「ひとり情シス」が全体の14%もあった。また、ITの専任担当者を置いていない企業も13%に上った。「ひとり情シス」になった経緯としては「人員が増やせない」「人員削減で減った」との答えが寄せられた。また、回答企業のうち増員を検討しているのは10%で、残りの9割は業績にかかわらず現状維持と回答した。
中堅企業のIT人材数の調査結果
IT人材の給与が二極化
“攻めのIT”のために優秀なIT人材を厚遇で迎える企業と、バックオフィスであくまで社内サポートなど“守りのIT”の要員として低報酬で採用している企業とでIT人材の給与が二極化。高い給与の人材では「大手ITベンダーから引き抜かれたりなどしてCIO(最高情報責任者)になる人が増えている」(清水博・広域営業統括本部 執行役員 統括本部長)という。従業員数別では300~500人未満規模の企業で給与が高く、300人以下は低い傾向になった。低報酬の傾向は500人以上の企業でも見られたという。
中堅企業のIT人材給与の調査結果
清水博・広域営業統括本部 執行役員 統括本部長
IPAのセキュリティ対策ガイドラインに準拠は3%
セキュリティについてはIPAが定める「中小企業情報セキュリティ対策ガイドライン」に準拠している企業が3%という結果になった。準拠に向けて対応中の企業は11%で、未対応の企業も28%に上り、セキュリティ対策が遅れている実態が明らかになった。
そのほか、大学時代からコンピューターに親しんだ技術系出身の経営者が増え、ITに対する理解が急速に進み、意思決定に関与する割合が増大。平均は59.3歳で、70%がIT意思決定に関与していることが明らかになったほか、製造業で従業員が200~1000人の企業では77%が海外展開への取組みを実施していることや、21%の企業がIT予算の増額傾向にあり、突発的に予算化する企業も28%あることが分かった。予算増額では100~500人規模の企業で多かったという。
調査結果からデルが指摘する中堅企業のITでの課題
「ひとり情シス」をターゲットにした支援策を本格展開
こうした現状を受け、デルでは「ひとり情シス」を支援する中堅企業向けのサービスとソリューションを開始する。サービスやソリューションでは「守りのIT」と「攻めのIT」に分けて「9つの打ち手をコンセプトに提供する」(木村佳博・ンフラストラクチャ・ソリューションズ事業本部 本部長)という。
デルが考える「ひとり情シス」の一般的な状況
具体的には「事前導入・予防による負荷低減」でクローニング支援、「トラブル対応の仕組み化」で、自動故障通知、VDI+セルフポータル化、クラウドDRによるデータ保護、などを提供。「ITと経営の一体化」では、ITコンシェルジュ制度を開始する。
「9つの打ち手」から成る「ひとり情シス」の支援ソリューション
ITコンシェルジュは、従来の中堅企業向けのセールス部門を強化する施策で、顧客の疑問やニーズに対応するべく、ITコーディネータや情報セキュリティマネジメントといった資格を持ち、顧客の潜在的な課題の解決を提案ができる人材育成を目指す。
黒田晴彦・最高技術責任者
発表会で黒田晴彦・最高技術責任者は「中堅企業のIT部門は経営者の近くにいる一方で、現場と直接コミュニケーションして、浸透できるITにしていかなければならない。ただ、人数的には限られており、幅広い知識と、3方向のコミュニケーションが必要となる難しい役割をこなしている。デルは、(そうした部門の人の)相談に直接のり、支援できるのが強みだ」と話した。
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