一人情シスの8割が業務を兼任 「兼任型」は3タイプあることが明らかに-ノークリサーチ調査

2017/06/13

ノークリサーチ(東京・足立)は、企業の一人情シスについての調査結果をまとめた。調査によると、全体の3割が一人情シスに該当し、その中で、ほかの業務も兼務する「兼任型」が8割超を占めることが分かった。また、兼任型の一人情シスではITへの支出形態によって「類型」があることも明らかになった。

調査は、組立製造業や加工製造業、建設業、流通業、卸売業、小売業、IT関連サービス業、サービス業の国内企業700社の経営層、管理職、一般社員を対象に2017年4月末~5月前半に実施した。

管理/運用の人員規模

管理/運用の人員規模

IT管理・運用の人員規模を尋ねたところ、「一人情シス」に該当する「ITの管理/運用を担当する役割を持つ社員が1名いる」は全体の29.9%を占めた。ノークリサーチでは、一人情シスは年商規模の小さな企業の方が高いと分析している。

また、「一人情シス」に限定して、「IT管理/運用に兼任と専任のいずれの形で携わっているか?」を尋ねると、8割超が、ほかの業務と兼任していることが分かった。この結果から、ノークリサーチでは、一人情シスが総務、人事、経理または本業に関係する現場部門に属しており、本来の業務に加えて、IT管理・運用の役割も担当しているとみている。

専任/兼任の割合

専任/兼任の割合

この結果を受け、ノークリサーチでは兼任型を「兼任型一人情シス」と定義。実態として専任の「一人情シス」は2割弱に過ぎず、8割強を占める「兼任型一人情シス」に目を向けることがITサービスを提供する企業には重要としている。

さらに「兼任型一人情シス」を対象にIT管理・運用について「モノに関する支出」(製品/サービスを購入する費用)と「ヒトに関する支出」(人材の採用/育成に要する費用)の状況を調査も行った。その結果からノークリサーチでは「兼任型一人情シス」を3つの類型に分類した。

「類型1」は、IT管理・運用における「モノ」と「ヒト」の双方に費用を投じている企業で、兼任型だが、ほかの類型と比べて「一人情シス」のスキルが高く、IT予算も確保や捻出がしやすく、IT機器やサービスを提供する会社にとってアプローチしやすい企業としている。

「類型2」は、「モノ」には費用を投じているが、「ヒト」に対する意識が低い企業で、一人情シス」のスキルは「類型1」と比べて低いと分析。このタイプではITソリューションの導入や運用で、IT機器やサービス会社が、一人情シスにかかる負担を最小限に抑える提案をすることが重要課題になるとしている。

「類型3」は、「モノ」と「ヒト」の双方において十分な費用を投じることが困難な企業で、従来よりも導入・運用における費用や作業負担が大幅に軽減されたITソリューションを提供できる場合は訴求対象になるが、そうでない場合にはIT機器やサービス会社が、アプローチするのは一般的には難しいとしている。

調査結果から、ITソリューションを提供する会社や販売会社、SIerが最も注意すべきは「ぞれぞれの類型に合致した商材を提案すること」とノークリサーチでは提言している。例えば、デスクトップ仮想化の場合、アプリケーションを含む仮想デスクトップ環境を扱うには相応のスキルが求められるため「類型1」の情シスには有効だが「類型2」の情シスには難易度の高い選択肢になるとしている。

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