【第2回】知っておきたい! メール誤送信対策の基礎知識(ステップと注意すべきポイント 編)
こんにちは、第1回目の前回はメール誤送信の定義と種類、対策の目的をお話しました。今回は対策のステップと注意すべきポイントについてお話しします。
この記事の目次
メール誤送信対策のステップ
前回、メール誤送信対策の目的は「メールや添付ファイル経由の情報漏えいを防ぐこと」であるとお話しました。メール誤送信対策を進めるには、最初にメールの運用ポリシーを含むセキュリティポリシー(情報セキュリティポリシー)を作成いただくことが必要です。特に、外部にメール送信をする際に情報漏えいをしないための”ルール作り”が重要になります。
以下は、メールの運用ポリシーの一例です。
メールの運用ポリシーの例
- 特定個人情報(マイナンバーを含む個人情報)はメール、添付ファイルで送信しない
- アルバイトが外部にメール送信をする際にはCc:に必ず正社員を入れる
- 外部に添付ファイル付きメールを送信する場合は必ずファイルを暗号化する
- 復号化のためのパスワードは必ず英数混在10桁以上で都度ランダム発行とする
- 見積書ファイルを添付してメールを送信する場合はシステムで上司の承認を得る
セキュリティポリシーを作成いただいたら、次に社内への教育・ルールの適用(運用)の徹底をします。その次に、「運用による対策」と「システムによる対策」の併用をします。メール誤送信は、その名の通り誤って行ってしまうものですので「運用による対策」だけでは不十分で「システムによる対策」を併用する必要があります。
「システムによる対策」を併用することには以下のメリットがあります。
- 設定した運用ルールが徹底される
- ヒューマンエラーを回避できる
- 管理者、ユーザー双方の負荷が軽減される
「運用による対策」と「システムによる対策」を実施したら、対策を継続しながら随時最初に戻ってセキュリティポリシーから見直す、いわゆるPDCAサイクルを廻すことが重要です。運用している間にも新たな誤送信につながりそうなケース(いわゆるヒヤリ・ハット)が起きた場合には、その対策を組み込みます。
図で表すと以下のようになります。
注意すべきポイント
セキュリティポリシーの策定時に、メール誤送信防止の観点から特に注意していただきたいポイントをまとめます。
全体の注意すべきポイント
- 最初に、「メールの送信者」「受信者(送り先)」「所属組織」「業務内容」などの観点から起こりうる誤送信のケースを想定する
- 次に、1件1件のメールの「宛先」「件名」「本文」「添付ファイル」それぞれに着目して誤送信のケースを想定する
- 過去に自社で誤送信をしてしまったケース(ヒヤリ・ハットを含む)の対策を組み込む
- 報道された誤送信のケース、想定される限りのケースの対策を組み込む
メールの「宛先」「件名」「本文」「添付ファイル」のそれぞれに着目する必要がありますので、それぞれの注意すべきポイントをまとめます。
「宛先」の注意すべきポイント
- 外部の宛先は特に注意する
- 一定個数以上の(大量の)宛先がある場合は注意する
- 多くの内部宛ての宛先に紛れている外部宛ての宛先に注意する
- To, Cc, Bccの設定間違いに注意する
- 「転送」と「返信」の間違いに注意する
- 「返信」と「全員に返信」の間違いに注意する
- メーリングリストのメールアドレスに注意する
- 初めて送るアドレス(送信履歴のない宛先)には特に注意する
- 同姓の違う方のアドレスに注意する
- メーラーのオートコンプリート機能をOFFにする
- メールを一時保留して宛先を再度確認する
- 重要な宛先(顧客)のメールには上司承認のプロセスを追加する
- 携帯メールのドメイン、フリーメールのドメインに注意する など
「件名」の注意すべきポイント
- 件名に個人情報・特定個人情報・機密情報が含まれていないか注意する
- 件名に不適切なキーワードが含まれていないか注意する
- 「見積書」「企画書」「履歴書」「タイムシート」などの内容が特定できるキーワードが含まれていないか注意する など
「本文」の注意すべきポイント
- 個人情報・特定個人情報・機密情報が含まれていないか注意する
- 一定個数以上の電話番号や住所などが含まれていないか注意する
- クレジットカード番号に該当する16桁の数字が連続して含まれていないか注意する
- 不適切なキーワードが含まれていないか注意する
- 「見積書」「企画書」「履歴書」「タイムシート」などのキーワードが含まれている場合は特に注意する
- URL、一定個数以上のURL、接続できないURLが含まれていないか注意する
- 実際の宛先(アドレス)と本文中の宛先に相違がないか注意する
- 本文中の宛先の敬称忘れに注意する など
「添付ファイル」の注意すべきポイント
- 「添付ファイル名」「中身(内容)」に個人情報・特定個人情報・機密情報が含まれていないか注意する
- 一定個数以上の電話番号や住所、クレジットカード番号に該当する16桁の数字が連続して含まれていないか注意する
- 不適切なキーワードが含まれていないか注意する
- 「見積書」「企画書」「履歴書」「タイムシート」などのキーワードが含まれている場合は特に注意する
- 誤ったファイルを添付していないか注意する
- 「拡張子」に注意する
- 添付ファイルがあるメールは一時保留してファイルを再度確認する
- 添付ファイルがあるメールには上司承認のプロセスを追加する
- 添付ファイルは必ず暗号化するか本文と切り離す
- パスワードの作成・伝達方法に注意する
- 添付ファイル忘れに気を付ける など
次回は「対策に有効な機能」をお話します。