【情シスLife】「必要なことは声に出す! モノ言う情シスでありたい」河治寿都さん

  • 2016/6/17
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2016/06/17
tenso データサイエンス戦略部マネージャー 河治寿都さん

tenso データサイエンス戦略部マネージャー 河治寿都さん

すべてにおいてグローバル化が進む現代。そんな中、日本のサイトで購入した商品の海外発送を手がけ、海外への個人通販をサポートしているのがtenso(テンソー)です。このtensoで、エンジニアとして活躍しているのが、河治寿都(かわじ・ひさと)さん。これまでは情シスとして業務に携わってきましたが、現在は異動し、ビッグデータの分析を手がけています。今回は情シス時代を振り返って、「情シスという仕事」や「情シスのあるべき姿」について実体験を元に話してもらいました。<取材・文:植野徳生 撮影:松波賢>


<河治寿都さんプロフィール>
北海道出身。東京大学大学院情報理工学系研究科卒。卒業後は大手ソーシャルゲーム会社に入社し企画・開発・運用やユーザー分析を担当。その後、2014年にtensoへ入社。子どもの頃からプログラムに親しんでいたという根っからのエンジニア。


小学生時代のPC体験がエンジニアの出発点

――何がきっかけで、この分野を目指したのですか?

子どもの頃の経験ですね。小学生の時、父のパソコンをいじっているうちに「面白いな」と思うようになったんです。それから、ホームページを作ったり、JavaScriptでちょっとしたゲームを作ったりしていました。そこから「プログラムって面白い!」と実感したんです。だから、その頃から何となく、この業界で仕事をしたいと意識していたんだと思います。

――小学生でJavaScriptですか! プログラムの面白さは、どこにあったのですか?

パズルのようなところですね。求められる機能や要件を満たすためには、困難な場合もあります。そこで知恵を絞って、試行錯誤しながら道を拓いていくプロセスが面白いんです。私は基本的に「プログラムでできないことはない」と考えています。もしそれができないとしたら、それは自分の知識が足りないか、あるいは時間が足りないか。いずれにせよ、何らかのリソース不足なんです。その時は解決策を考えるようにしています。

――ただ、現実の仕事では「時間が足りない」とは言えないですよね。

辛いところです(笑)。何らかのトラブルが起こって、そこにユーザーアクセスがどんどん増えていくような状況では、まさに「時間との戦い」です。また、競合他社より機能が不足していたら、早期に充足させなくてはならない。時間が迫る中で、必要な要件を詰め込んでいくのは大変です。そこには経験と知恵が必要で、効率よく進めていかないといけない。ただ、そんな状況でも、自分としては楽しみながら前向きにやれています。

失敗から得た教訓は“気を抜かないこと”と“コミュニケーション”

――でも失敗することもあったのでは?

もちろんありますよ! あれは社内ネットワークの刷新をした時のことです。通常業務が終わった後にシステムを止め、夜の間に作業して翌朝確認するという段取りだったんですが、いざ朝になって動かしてみると、あれこれと小さなトラブルが出てしまったんです。その時は「もっと十分にチェックしておけば」と後悔して焦りました。

――どう解決したのですか?

各部署の方々に理解してもらって、システムが動く範囲で業務を進めてもらい、システムインテグレーターの方にも手伝ってもらいながら、大急ぎで修復しました。幸い大事には至らず、なんとかその日のうちに解決することができたのでホッとしました。システムが止まることになれば、すべての業務が止まってしまいますから、冷や汗ものでした。

このことは勉強にもなりました。システムは作った通りに動くものですから、ミスやエラーがあれば情け容赦なくトラブルを起こします。だから、まずは「決して気を抜かないこと」。これを肝に銘じるようになりました。もう1つは「コミュニケーションの大切さ」です。これは身に染みて感じました。

――コミュニケーションは社内のスタッフと、ということですか?

トラブルの時に周りの人たちに理解をしてもらえたのは、以前からコミュニケーションがあったからだと思うんです。そうでなかったら、もっと大変なことになっていたかもしれない。「普段からお互いのコミュニケーションをとっておくこと」。これは大事だと思います。

さらに広い言いかたをすると「コミュニケーション能力」そのものの大切さも感じています。ITへの理解を深めてもらったり、システムの使い方について現場発の要求を掘り起こしたり、経営指針を踏まえたうえでシステムを考えたり。こうしたことを行うにはコミュニケーション能力が必須です。これは情シスとしてこれから求められる大きな要素だろうと思っています。

同僚やスタッフとのコミュニケーションを大切にしているという河治さん。

同僚やスタッフとのコミュニケーションを大切にしているという河治さん。

先を見据え、本質を見抜ける「攻めの情シス」が求められている

――会社の雰囲気はいかがですか?

制約があまりないですね。課題をクリアしていくストーリーがきちんと描けているのなら、たいていのことは許容される。そこが私にとっては魅力です。社内の人たちも個性的で、既成概念に縛られない自由さがあります。もちろん、自由と責任は背中合わせですから、プレッシャーともいえますが、それだけに「ようし、やってやろう!」という気になります。

情シスの時は社長からも直接お願いされ、システムを任されたということもあって「その信頼に応えよう」という気持ちは大きかったですね。意気に感ずるというか。職人気質なんでしょうか(笑)。そうした心持ちで仕事にあたっていると、毎日が楽しいですよ。

――河治さんは情シスという仕事をどうとらえていますか?

情シスは縁の下の力持ちです。裏方の目立たないところで、粛々と仕事をしているという地味なポジション(笑)。ただ、その情シスからすれば、やはりシステムを使う人たちに知っておいてほしいことはいろいろとあります。だから、私自身は必要なことは声に出す「モノを言う縁の下の力持ち」であろうと思っています。

システムを作る側と使う側の齟齬(そご)というのは、避けて通れないところもあります。説明して理解してもらおうとしても、専門用語の羅列になってしまうと、やはり分かってもらえません。その折り合いをうまくつけていくのは、やはりエンジニアの仕事でしょう。

――プログラムを書く、システムを組む以上の能力が、今後の情シスには求められるということですか?

エンジニアとして「プログラムができればいい」という時代は終わりつつあると私は思っています。また、それだけでは必ずどこかで壁にぶつかってしまいます。指示された要件通りに作るのではなく、経営指標を意識した上で数年先まで見据えたものを作り上げるような、そうした「攻めの情シス」がこれからは求められてくるのではないでしょうか。

要件定義をクリアすることは1つのゴールですが、本質がそこにあるとは限らない。だからその奥にある本質を探る。そのためには情報を得ることです。それは社内だけにはとどまりません。「ユーザーはどんなことを求めているのか」「競合他社の動向はどうか」「自社サービスの料金プランやクオリティはどうか」「ビジネスパートナーとどう連携するか」。全体のビジネスフローを知った上で考えていくことが、非常に重要だと思います。

50代になってから、ホノルルマラソンを走破したい!

――趣味について教えてください。スポーツが好きだそうですね?

中学で剣道、高校・大学はバレーボール、最近ではスノボ、それにゴルフ。いろいろとやりました(笑)。ゴルフはここ1年ほどなんですが、クラブを買うところから始めて、周りにも声をかけて仲間を増やしています。

河治さんは高校・大学時代のバレーボール経験を生かして、ビーチバレーも楽しんでいる。

河治さんは高校・大学時代のバレーボール経験を生かして、ビーチバレーも楽しんでいる。

今までは何をやるにも「パワー任せ」だったんですが、ゴルフはちょっと勝手が違いますね。風向きとかショットの強さとか、頭で考える部分が多いです。腕はまだまだですけど、狙いすましたショットが「ビシッ」と決まるようになれば、もっともっと面白くなってくると思っています。

――趣味は仕事にも役立っていますか?

リフレッシュ、ストレス解消もありますが、それ以上に世界が広がるというところが大きいです。プログラムばかりやっていると外のことには疎くなってしまうので「今、何が話題になっているのか」「何が流行っているのか」そういうことを知ることができるのは大きいですね。私が入っているバレーボールサークルは、年齢も仕事もバラバラ。みなさん、考え方がまったく違うんですよ。だから話をしていると新鮮な発見が多いですね。それは仕事上でのコミュニケーションでも役立っていますね。

――将来の夢や、やってみたいことありますか?

仕事では、エンジニアとして進化し続けていくことです。技術は常に刷新されているので、ついていくのは大変ですが(笑)。私としては、そこにビジネスの要素を加えていきたいですね。例えば、新しい技術を導入する背景とか、それによる経営上の効率とか。そうしたところまで考えて、ビジネスを支えることができるようになりたいと考えています。

趣味では、ホノルルマラソンに出てみたいですね。それも歳をとってから。50代になった頃ですかね。若い頃なら、「まあ、キツイけど走れるだろう」というのは分かるじゃないですか。だから、ある程度の歳になってから出るんです。その頃の自分がどんな人間になっているかにも興味があります。だけど、老け込んでショボショボになっていたらイヤだな(笑)。

最後に河治さんにとって情シスはどんな仕事かを書いてもらいました!

最後に河治さんにとって情シスとはどんな仕事かを書いてもらいました!

<インタビューを終えて>
「高いコミュニケーション能力と、経営的な視点も持った腕利きのエンジニア」。それが河治さんの考える理想の情シスであるようです。そんな想いを内に秘め、社内で重要性が増しているビッグデータの分析を手がける現在の部署でも、エンジニア魂を発揮していように見受けられました。穏やかな見た目とは裏腹に、ハートの熱いナイスガイでした!


tenso
http://corp.tenso.com/index.html

●事業内容:海外転送事業・代理購入事業
●本社:東京都品川区北品川4-7-35 御殿山トラストタワー6F
●設立:2008年7月


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