【情シス女子】第17回 「勉強して知識を増やせる情シスはやりがいのある仕事」上床絵理さん
会計検査院 情報処理調査官 上床絵理さん
今回の情シス女子は、会計検査院で情報処理調査官として働く上床絵理(うわとこ・えり)さんです。一般の企業の情シス担当と同じように、会計検査院の情シスとして活躍しています。「公務員=カタい」というイメージを覆すほど、明るい笑顔でイキイキと話す彼女に自身が勤める職場や仕事のやりがいについて聞きました。
(取材・文:ミノシマタカコ 撮影:大塚七恵 ヘアメイク:内藤瑛貴)
<上床絵理さんプロフィール>
会計検査院 情報処理調査官。九州大学法学部出身。平成16年に会計検査院入庁。政府系金融機関や外務省、農林水産省の検査業務、情報公開・文書管理業務を経て、現在は会計検査院の情報システム開発や運用などを担当。学ぶことが大好きな情シス女子。
会計検査院の情シス担当「情報処理調査官」とは?
――会計検査院とはどんな官庁なのですか?
会計検査院は国会や裁判所、内閣に属さない独立した憲法上の機関です。国や法律で定められた機関を検査して、割り当てられた予算が適切に使われたか、ムダ遣いがないかをチェックしています。
――その中で「情報処理調査官」とは、どんな仕事をする人ですか?
名前が独特ですよね(笑)。一般的な会社で「課長」に相当する上席情報処理調査官という人がいて、その人をサポートするのが情報処理調査官です。民間企業でいうと情報システム部門の社員にあたります。
――会計検査院は省庁のおカネの使いみちをチェックする役所ですが、上床さんも以前はそういう仕事をしていたのですか?
入庁して今年13年になるのですが、6年くらいはそのような官庁などのおカネの使いみちを検査する業務をしていました。そして、今の情報処理調査官の仕事は5年くらいやっています。
――今の部署ではどのような業務を担当していますか。
システムの要件定義や、サポートしてもらう業者の方との契約に関連する調達手続きや契約管理といったプロジェクト管理を行っています。今は、ほかの省庁から提出してもらうデータを管理するためのシステムの構築を進めています。このプロジェクトでは、どのようなデータが出てくるか、どういうシステム方式にするかという要件定義にもかかわっていました。また、ちょっと毛色が違う仕事として、会計検査院内の情報セキュリティ監査も担当しています。
次々と資格を取得!
――システム関連は未経験からの挑戦ですよね。情報システムの部署に異動した時、不安はありましたか?
「やってやれないことはない」と思っていたので、それほど不安はありませんでした。でも「全然知らない分野だから勉強しないといけないな」とは思いました。私は勉強が嫌いではないので、ITに詳しくなるためにと思って、いろいろな資格を取ることにしたんです(笑)。
――どんな資格を取ったのですか?
IPA(独立行政法人情報処理機構)が行っているITパスポート試験や基本情報技術者試験、情報セキュリティスペシャリスト試験、システム監査技術者試験の4つをとりました。あとISACA(情報システムコントロール協会)が行っている国際資格、公認情報システム監査人(CISA)も取っています。簿記やITパスポート、基本情報技術者については、異動する前に取得しました。あと、資格とは別にネットワークの勉強もしました。
――たくさん取って勉強もしましたね(笑)。
業者の方に発注をしたり、その方々ときちんと仕事をしたりするためには、基本的な言葉や仕組みをある程度は知らないとできないと思って取り組んだんです。試験勉強を利用して知識を増やした後には、仕事を通して具体的なことは業者の方にも教えてもらいました。ITに関してはこのような感じで知識を増やしてきました。
知識を得ていくことが楽しい
――情報システム部門に移ってからのやりがいは何ですか?
ネットワークやアプリケーションの知識などは勉強する対象が具体的にあるので、勉強して知識を得ていくことが楽しいですね。その部分がやりがいといえます。新しい技術の話も聞けることにもやりがいを感じます。だから、今の仕事でのやりがいは、かなり大きいと思っています。
それから、検査をしていた時は相手方の省庁が取り組む事業などに対して改善点を指摘していましたが、今の情報システムの業務では、システム作りを通して自分の組織の業務改善に役に立てることができます。また、そのようなシステムを作る立場からの改善の視点を持てます。それもやりがいですね。
あとは、チェックするだけの立場だった時には見えなかった、ほかの省庁が作ったシステムに込められた苦労も今はわかるようになりました。システムの利用状況を見て「使ってない」と言うことは比較的簡単に分かります。だけど、自分が作る立場になってみて、システムの必要性をきちんと説明できるのか、ちゃんと利用されるようにするにはどうすればいいのかを考え、ユーザが満足して利用できるシステムを作るのは、本当に大変だということを実感しました。
「変化を楽しむ」ことが好き!
――上床さんにとって情報システム部門の業務とはどんな仕事ですか?
検査や行政の事務的な仕事をしていた時と比べると新しい視野が開けた気がします。組織の流れの中でできる業務とは違い、世の中の流れや知識、技術を知らないといけない分、視点が外に向く、いいきっかけになったと思います。
具体的には、外で行われるセミナーや勉強会に行く機会が増えました。きっかけは「出ていろいろなことを知らないと、システムを作れないよ」と、指導してくれた人のアドバイスです。そしてセミナーなどを通して、外部の人のコミュニティやネットワークを新たに得ることができるようになったのは、情報システム部門に来てからだと思います。
また、組織や行政の中ばかりにいると、利害関係ばかり目につくことがあります。でも外の組織の人と話すと、利害関係なく話ができるので自分たちを客観的に見ることができ、いいきっかけになりました。
コミュニケーションでリフレッシュ
――上床さんの趣味は何ですか。
お酒を飲みに行くことです。ワインもビールも好きですね。ビール検定も受けました(笑)。お仕事が終わった後に飲みに行くこともありますし、土日は友達の家でお料理やお酒を持ち寄って集まることもあります。お酒が好きな理由としては、話をするのが大好きだからだと思います。飲み会の場でのコミュニケーションの中で新しい発見もありますしね。
それから、飲み会でパワーが強い方や意識が高い方に会うと、本当にいい刺激をもらえて、「自分も何かを与えられる人になりたい!」って思うんです。そういうパワーや刺激の交換ができるし、リフレッシュにもなるし、飲み会は元気になれる場になっています。
――コミュニケーションがリフレッシュになっているんですね。ほかにハマっていることはありますか?
ヨガや料理も好きです。そして、セミナーや勉強会に行くのも好きなんです(笑)。私は「仕事」とか「趣味」とか、あまり切り分けてはいないんです。ただ、好きなことに興味を持って行っているだけなんですね。だから勉強会もIT系に限らず、精神的な話、キャリアや研修など、さまざまな分野に参加しています。
――今後の目標はありますか。
検査院の仕事はきちんとやっていきながらも、別の軸で社会的に貢献することをやっていきたいですね。自分ができる範囲は限られるのですが、社会貢献できる土台づくりからやってみたいと考えています。
最後に上床さんにとって情シスはどんな仕事かを書いてもらいました!
<インタビューを終えて>
官庁の情シスでありながら、明るい笑顔でハキハキと話す姿は、街のOLさんと変わりませんでした。インタビューでは「勉強が好き!」ということが随所に感じられ、聡明さや前向きな雰囲気が印象的だった上床さん。やりがいと楽しさを感じながら、日々仕事に取り組んでいることがしっかりと伝わってきました!
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