システム管理者の集い「PCNW」大会(東京・大阪)レポート

  • 2016/7/25
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2016/07/25

年に一度のPCNWの大会が今年も東京・大阪で開催された。

PC・ネットワークの管理・活用を考える会(PCNW)」は、日頃から社内のシステム管理に悩みを抱えている、企業の情報システム管理者の方を対象とした「情報収集・意見交換」の集いの場である。

 

この活動も今年で20年周年を迎えたが、1年間の活動を締めくくる大会が今年も、78日(金)に東京、15日(金)に大阪で開催された。

東京には約180名、大阪には約90名と多くの情報システム管理者の方々が出席し、会場は熱気にあふれていた。東京・大阪とも同様の内容で行われ、冒頭はPCNW発起人であり事務局があるクオリティソフトの浦聖治代表取締役が挨拶し、発足のきっかけから現在に至る変遷を紹介した。

PCNW発起人のクオリティソフト浦社長

基調講演はラック西本CIOによるサイバー攻撃のトレンドや企業がとるべき対策

基調講演にはラックの西本逸郎取締役CTOCISOが登壇し、「我がことサイバーセキュリティ~マジヤバとシャレにならんことを知る~」と題し、サイバー攻撃のトレンドや、企業がとるべき対策について、笑いも交えながらわかりやすく解説を行った。ウイルスは「忍者」であり、「忍者」はPCに入り込むと「鳩」を放ち、放たれた「鳩」はインターネットを通して外部に飛んで行き、情報を集めて戻ってくるのだが、この「鳩」を外部に飛ばさないよう、早い段階でネットワークを遮断することが非常に重要である。日本は何かが起こらないと対策をしない風潮があり、「うまくいってあたり前」という意識が高いが、これを「何かあってあたり前」との認識に切り替え、事前に対策をするよう経営者が判断をしなければならないと力説した。

基調講演を行うラック西本CIO

西本CIOは、ここ1年で発生した大きな情報流出事件を例に、事故の経緯を振り返り下記のようなポイントを検証していった。

 

(1)被害の封じ込めや拡大防止は適切であったか?

 

(2)組織内の風通しはどうだったか?一般的に情報システム部門は経営サイドものを言いにくい雰囲気あるが、それが経営トップ発信の対策の遅れにつながっているのではないのか。

 

(3)リスクや危機に際してどのような行動を取るべきか。組織の事業継続や、ステークホルダー保護の観点を持つべきである。

 

また、不正による漏洩については、

 

(1)再委託先や派遣などの末端技術者にシステムとDBのあらゆる権限が集中しがちである

 

(2)中間管理職は、システム運用とデータ運用の兼務を行っていることが多く、データ運用への意識が低くなることが多い。

 

などがポイントとして挙げた。

 

昨今はランサムウェアがまん延し、特に企業向けの身代金の要求が爆発的に増えているが、基本的には安全はないと考えた方が良く、何かが起こった時の為に限られた予算の中で、最善策を施すことができる体制とルールづくりと、万が一情報が漏洩してしまった際の経営陣への報告と公表と謝罪の対応スピードが求められるとまとめた。

事例講演は、継続できるワークスタイル変革のための3つの方法

サーバーワークス大石社長

続いて、サーバーワークスの大石良代表取締役による事例講演「継続できるワークスタイル変革のための3つの方法」と題し、同社が取り組んでいる全面クラウド化による社員のワークスタイルの変革とそれにより業務効率が実際に向上しているという話が展開された。

 

同社では、クラウド×BYODの組み合わせによりクラウドワークスタイルを実現している。BYODについては、社員が自由にデバイスを選べるよう、社用PCは一部を除き一台もなく、全て自費購入としつつも、社員へ毎月手当てを支給している。また自席を固定しないフリーアドレス制の導入はもちろんだが、一切話かけることを禁止された集中エリアや電話エリアなど様々なエリアを設けており、各社員が状況によって使い分け仕事を効率化している。同社では事前申請式ではあるが出社しない形の勤務も可能で、彼らとコミュニケーションをとる目的で試験的に、リモート飲み会も行っており、全員が自室から参加するという。これらの実現には、セキュリティ対策が徹底していることが前提となり、同社ではファイルは一切端末のローカルには置かず、全てクラウド上に保存している。

 

大石社長は、同社のVISIONは「クラウドで、世界をもっとはたらきやすく」だが、同時に「クラウドで社内ももっと働きやすく」を目指し時間や場所に拘らない働き方を会社を挙げて実践しているという。「ワークスタイル変革はゴールではなく、手段である」という同社は、年率150%で業績を伸長させており、その言葉を証明している。

活動報告&パネルディスカッション

7月いっぱいで幹事長を退任となるオラン木内社長

休憩を挟み、本年7月でPCNW幹事長を退任するオランの木内里美代表取締役がモデレーターとして進行、ラック西本氏、サーバーワークス大石氏に加え、PCNW勉強会の座長を務めるキヤノンITソリューションズ 下原氏、リコーの宮腰氏の二人と、大阪大会は、大阪での座長を務めるPFUクリエイティブサービスの小玉氏がパネラーとして登壇。2015年勉強会報告とパネルディスカッション、2016年勉強会の紹介が行われた。

 

パネルディスカッションでは、偽装メールはもう防ぐことが出来ないという前提で企業は対策をする必要があるが、経営陣の認識が低いと肝心の対策予算が確保できていないと指摘。201512月に経産省とIPA(情報処理推進機構)が策定した「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」(経営者のリーダーシップの下で、サイバーセキュリティ対策を推進することを目的としたもの)を企業の情報システム部門は積極的に活用し、経営層にセキュリティ意識を高めてもらう働きかけをして欲しいと木内氏が熱弁を振るっていた。

PCNW クライアント管理勉強会の座長下原氏

PCNW ITトレンド勉強会の座長宮腰氏

大阪の座長を務める小玉氏

また、新たに木内氏の後任として8月より幹事長に就任する寺嶋一郎TERRANET代表が紹介され、木内氏と固い握手を結び、「システムに関わる人々のハピネスに繋がっていくように励みたい」と述べ、満場の拍手で迎えられた。

新幹事長の寺嶋氏

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