資生堂、在宅ワーク女性に役立つオンライン会議用メークアプリ開発、MSが試験運用

2016/10/07

開発したアプリは「TeleBeauty(テレビューティー)」。アプリを立ち上げ、パソコンなどのカメラで自分の顔をアプリに表示。4種類あるメークのパターンから、好みのものを選ぶと表示された顔に選んだメークが施される。メークの種類は自然な仕上がりの「ナチュラル」、シャープな印象を与える「クール」、かわいらしい雰囲気になる「フェミニン」、2016年の流行を反映した「トレンド」から選択が可能。肌色やソフト、シャープ、ウォームといった印象、目元、口元などの調整もできる。アプリを終了しても選んだメークのデータは保持される。

メーク前(左)と「トレンド」メークを施した場合

メーク前(左)と「トレンド」メークを施した場合

開発のポイントとなったのは「血色感」「美しい肌」「肌色」の3点。血色感は肌色とチークの自然ななじみ感や立体感のあるチークの濃淡、リアルな血色感を再現。美しい肌では毛穴やシミをぼかす、肌色についてはきれいな肌色を再現した。開発にあたっては資生堂のアーティストのメーク技術やメークのシミュレーション技術などを活用した。

アプリは無料通話ソフト「Skype(スカイプ)for Business」に対応する。Skypeとの連携では日本マイクロソフト(MS)が技術支援を行った。アプリを立ち上げメーク設定を行った後にSkypeを立ち上げることで連動して利用できる。また、オンライン会議で写ってしまう自宅の部屋などプライベートな情報に対しても配慮し背景をぼかす機能もアプリに盛り込んだ。

資生堂によるとアプリ開発の背景には「自宅からオンライン会議なった時にメークや映し出される背景どうすればよいか緊張する」「ノーメークの顔が会社の大画面モニターに映っていた失態があった」「早朝や深夜の会議だけのために身なりを整えるのは大変」というオンライン会議に対する悩みや「パソコンのカメラはアングルが下なので首やあごが太く見える」「きれいな肌色に見えない」「肌のあらが目立つ」といったパソコンのカメラ映りの悩みがあるという。

発表会ではMSと資生堂の社員によるデモも行われた

発表会ではMSと資生堂の社員によるデモも行われた

「働き方の多様化が進むなか、業務や出産・育児、介護などの理由でテレワークを活用する女性が増えている。そういった女性に対して資生堂ならではのお役に立てればと考えた。開発したアプリは女性が楽しく美しく働くことができるための取り組み。モニター越しの顔に自信を持ってもらいたい」と、副島三記子・執行役員は発表会で開発の狙いを説明した。

資生堂では技術支援で協力したMSにアプリを提供し共同で試験運用を行う。MSは2016年10月17~21日に行う「働き方改革週間」と、2016年9月から11月の間で女性社員100名を対象に試験運用を実施。アプリを利用してもらい、使い勝手や改良点などを検証し、利用者の声を資生堂に伝える。

資生堂との連携について日本マイクロソフトでテレワーク推進担当役員の織田浩義・執行役員常務パブリックセクタ―担当は「マイクロソフトは最もパッションを持って働き方の改革に取り組んでいる企業。テレワークの導入では、生産性向上や交通費の削減、女性の離職率が40%に減るといった、いろいろな“うまみ”がある。今後もパッションを持って取り組んでいきたい。今回、資生堂が(アプリを開発してくれたことで)それが加速する」と発表会でコメントした。

織田浩義・日本マイクロソフト執行役員常務(左)と副島三記子・資生堂執行役員

織田浩義・日本マイクロソフト執行役員常務(左)と副島三記子・資生堂執行役員

今後はMSでの試験運用の結果を見て事業化を検討する。一方で自動メーク技術によって化粧品が売れなくなるという懸念もある。この点について片岡まり・宣伝・デザイン部クリエーティブ企画室長は「アプリでメークの楽しさや新しい自分を発見することで(そのメークがしたいと思って)実購買に結びつく。今後は実験を重ねてブラッシュアップをして最適な展開を考えていきたい」と説明した。

片岡まり・宣伝・デザイン部クリエーティブ企画室長

片岡まり・宣伝・デザイン部クリエーティブ企画室長

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