『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「小さく、軽く、長く。ウェアラブルデバイスの寿命にあわせたバッテリーを」日立マクセル株式会社
少しオヤジなジョーシス取材チームにとっては「カセットテープ」でおなじみだった、株式会社日立マクセル。しかし、そのルーツは乾電池の生産から始まり、社名のマクセル、最初の乾電池の商品名でもある「MAXELL(Maximum Capacity Dry Cell=最高の性能を持った乾電池)」に由来していることを初めて知りました。
その原点のフィロソフィーは今でも生きていて、今回のウェアラブルEXPOでも、最高の性能を目指したバッテリーやワイヤレス給電ソリューションを出展されていました。
お話を伺った、渡邊 寛人さん(左)、石本 広幸さん(中央)、長野 満幸さん(右)
まずは一次電池(使いきりタイプの電池)を担当するエナジー事業本部 MD業務部 課長 石本 広幸さんにお話を伺いました。
「ウェアエアブルデバイスに使われる一次電池は、まず交換されることはありません。つまり電池の寿命がデバイスの寿命を決めるわけです。また、その大きさや重さがデバイスの小型化に大きく影響しますから、非常に重要なパーツでもあります。そこで、高出力のコイン型リチウム電池や、設計寿命10年の耐熱コイン型CR電池など、デバイスの特性や寿命にあわせてさまざまなニーズに応えられる製品をラインナップしています」
続いて二次電池(充電型電池)を担当するエナジー事業本部 企画開拓部 副技師長 長野 満幸さんに伺いました。
「今回当社が発表した『ULSiON™』はマイナスの電極に使われるSiO-C(シリコン電極材料)の含有量を増やしたり、電圧の幅を広げることで、従来の倍の容量を実現しました。つまり、同じ大きさの電池でも寿命が長くなったり、電圧を上げることができます。
例えば米Koppin社のスマートグラスでは、バッテリーがつるのところに内蔵できるサイズですが、従来のバッテリーですと1回に3時間ほどの使用時間ですが、このULSiONを使ったバッテリーなら6時間使えるようになりました。つまり容量が上がることで、デバイスの実用性も上がっていきます。これからもより長寿命の電池開発を続けていきたいと思います」
最後にワイヤレス給電ソリューションを担当するライフソリューション事業本部 営業部 課長 渡邊 寛人さんにお話を伺いました。
「当社では電磁誘導を使ったワイヤレス給電のソリューションを提供しています。一般的にはスマホや二次電池をワイヤレスで充電する製品が知られていると思います。
今、開発を進めているのは、ワイヤレス給電とともにデータ通信を行うことができるソリューションです。例えばある携帯型医療用機器では機器の小型化を図るために、従来の一次電池から二次電池に変える必要がありました。しかし、医療現場では充電用の電極が外に出ていると危険性が高く、外に電極がない形にする必要がありました。そこで、クレードル経由でワイヤレス給電を行うことと機器が計測したデータの転送を同時にできるようにして、機器の効率的な運用を実現しています。
当社ではお客さまのさまざまなニーズに合わせて、多様な給電ソリューションを持っていますので、課題があればぜひご相談ください」
ウェアエアブルデバイスにとって、電源の問題は常についてまわります。電源ケーブルを引っ張ってつかうよりはバッテリー内蔵のほうが格段に使い勝手はいいはずです。日立マクセル株式会社の展示を見て、バッテリーの重要さと、ウェアエアブルデバイスの進歩はバッテリーにかかっている部分が大きいことに気付かされました。
日立マクセル株式会社
ウェブサイトURL:https://www.maxell.co.jp/
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