【1,600名へアンケート調査】日本の法人IT利用におけるクラウド市場規模の実態1

  • 2015/11/24
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2015/11/24

MM総研では、本格的な普及期を迎えている法人向けクラウドサービスについて2013年より日本の法人ITにおけるクラウド市場全体を俯瞰する定点観測調査を実施しています。

201510月の最新調査結果を元に、2回に渡り解説していきたいと考えています。

<トピックス>

①クラウドの定義と分類(今回)
②市場規模と予測(今回)

③サービス利用者ランキング、クラウドの用途と課題(次回)
④クラウド導入におけるIT部門の検討ポイント(次回)

国内クラウドサービス需要動向2015年版

日本の法人IT利用におけるクラウド市場規模は拡大基調を続けています。201510月に実施したユーザー調査*に基づく市場規模推計では、2014年度の国内クラウド市場は、前年度比23.8%増の7,749億円となりました。また今後5年間の間、クラウドのコストメリットや信頼性の向上等を背景に、ユーザーの新規ビジネス展開における積極的なクラウド活用や、社内の既存システムのクラウド移行が加速する結果、2019年度までの年平均成長率は21.7%となり、2015年度は9,696億円、2019年度には2014年度比2.7倍の2679億円と2兆円を超える市場に成長すると予測しています。

前述の通り発展を遂げている法人向けのクラウドサービスですが、MM総研では、これらのサービスをおよそ上記「クラウドの定義と分類」のように分類しています。クラウドサービスというとAmazonGoogleのマルチテナントサービスを連想しがちですが、クラウド自体は、おおよそサーバやソフト等のITリソースをコンポーネントサービス化し提供、利用するコトと定義されていますので、これまでと同じようにコンポーネントは自社所有でも、利用するITリソースが上記の要件に当てはまれば、クラウド市場に含まれるということになります。

よく、オンプレミスの単なるサーバ仮想化と混同されることがありますが、サーバを単に仮想化集約するだけでは、クラウド化とはみなしません。仮想化したサーバをユーザー自身(もしくは運用者自身)が、ユーティリティに利用できることをコンポーネントサービスととらえ、クラウドに含めています。仮想化したサーバ群であっても、相変わらず配備、拡張や縮退に数日かかるなど、従来とあまり変わらない運用になっている場合は、クラウドとは呼べないのです。

プライベート領域を巻き込みIT全域にクラウド化の波が押し寄せている

前置きが長くなりましたが、「パブリッククラウドの定義と分類」で分類したクラウド市場をもう少し詳しく見ていきましょう。パブリッククラウド(SaaSおよびIaaS/PaaS)は2014年度2,486億円で前年度比33.0%増となっています。また2019年度まで年平均18.3%で成長し、2014年度比2.3倍の5,767億円に達すると予測しています。

次にプライベートクラウド(ホステッド、オンプレミスおよびコミュニティ)は2014年度5,263億円で前年度比19.9%増となっています。2014年度~2019年度までの年平均成長率は23.2%で推移し、コミュニティクラウドやホステッド・プライベートクラウドの拡大により2017年度に1兆円を超え、2019年度には2014年度比2.8倍の14,912億円になると予測しています。クラウド市場におけるプライベートクラウドの比率は2014年度67.9%を占めるが、2019年度には72.1%と緩やかにシェアを高め、引き続きクラウド市場を牽引するものと考えられます。

クラウド市場自体は、前述したAmazonGoogleの新規サービスだけではなく、オンプレミスやデータセンターで提供されていた従来のITサービスを巻き込み発達しています。

 

むしろ後者の市場規模のほうが大きいことが要点であると考えられます。すなわち、実際に利用する、しないにかかわらずITを利用している法人ユーザー全員が(程度の差こそあれ)把握しておくべきサービスといえます。


*1. 調査対象:国内法人ユーザー※

2. 回答件数:予備調査(10,896人)、本調査(1,609人)

※全業種を対象に情報システムやネットワークの管理・運用担当者または、決裁や選定に関与する立場
※本調査はクラウドサービスの利用・検討者を対象

3. 調査方法:Webアンケート
4. 調査期間:2015817日~824

・市場規模概要

中村 成希
株式会社MM総研 執行役員研究部長。
1998年同社入社後、一貫してパーソナルコンピュータ、サーバの市場調査・研究に携わる。近年は、スマホ、タブレットといった新規デバイスの活用方法、クラウドサービス等、サービス化されたプラットフォームとデバイスの連携にまで研究範囲を広げている。

 

所属:株式会社MM総研

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