500社への調査から見えて来たスマートデバイス導入の現状と今後 -タブレット編-
- 現時点の導入企業予備軍は17.6%。今後もテスト・部分導入が広がる傾向。
- 現在タブレットを導入している企業は、3年後に全従業員の6.2%にまでタブレットを展開する意向。
- タブレットは、社内システム連携用途が6割。本格活用を前提に検討。
- iOS とWindows、Android の3 つが拮抗。OSで明らかに導入理由が異なっており、ニーズの違いが鮮明に。
企業のビジネスシーンで、利活用が進むスマートフォンやタブレット。前回の「スマートフォン・携帯電話編」に続き、今回はタブレットにスポットを当て、利用動向について掘り下げていきます。
MM総研の調べでは、2014年度に国内に出荷されたタブレットは929万台。そのうち約280万台が法人向けに出荷され、2014年度の成長率も24%と市場は拡大基調です。アンケート調査の結果を見ても、導入準備中、検討中とする回答者が全体の17.6%を占め、既導入と答えた回答者(20%)に近い値となっており、好調な出荷台数増を裏付ける結果となっています。
その一方で、タブレットを導入している企業に従業員数に対してどの程度タブレットを配備していくかを「従業員配布率」として尋ねたところ、現状では2.6%、3年後6.2%という結果となりました。現状では、経営層、営業業務、フィールドでの保守点検業務や学校教育などタブレットの特性を活かした職種を中心に導入が進んでおり、パソコンなど既に配備されている機器との使い分けが進んでいくものと考えられます。
また、タブレット導入の特徴は、メール活用やペーパレス化などのコミュニケーション強化だけでなく、オペレーションへの利活用を前提としている点にあるといえます。導入時に検討される、また導入後に実際に利用される用途は幅広く、受発注や見積もりなど社内の業務システムに連携して利用しているとの回答が6割を占めています。
このような利用形態は、端末の選定にも影響を与えています。OS別にみると、Windows端末が社内システムとの連携のしやすさを選定理由とする意見が特に多くなっています。Androidは端末価格の安さを背景に配布数を増やしたい場合に活用されるケースが多く、iOSは操作性が上位に挙がっています。iOSは個人利用も多いことから、端末操作についての教育コストが少ないことも利点といえるでしょう。
情報システム部門へのヒント
今後、タブレットやスマートフォンを企業システムの中に取り込み、生産性や競争力を強化することが、情報システム部門にとって重要な課題のひとつとなると考えられます。そのようななかでは、前回スマートフォン編で指摘したセキュリティに加えて、端末、アプリケーションやクラウドのプラットフォームのライフサイクル全体をどのようにコントロールするかが重要な視点となると考えられます。筆者が聞く最近の海外ユーザー事例でも、端末の多様化やクラウド利用の増加を背景に、企業情報システムのセキュリティやガバナンスが一層重要なテーマになっています。一部のユーザーでは、端末、プラットフォーム、アプリケーションの3軸で導入、運用、拡張、廃棄といったライフタイムサイクルを積極的にコントロールしてコストダウンとガバナンス強化を同時に実現するケースも出てきています。。特にアプリケーションとデータを基点に、システム全体を見直すと、あるべき姿が見え、良い成果をもたらすケースが増えているようです。新技術は、導入ばかりに目がいきがちですが、情報システム部は、運用管理や将来のシステム拡張に備えながら、経営や他部門ともシステムのあるべき姿を共有していくことが重要になるでしょう。
※株式会社MM総研では、キャリア別の購入ルートなどを含めたこの調査に関するすべての回答結果をマルチクライアント・レポートとして提供しています。
従業員数や業種別データも掲載し、すぐに業務に生かせるデータになっています。
法人ユーザーにおける携帯電話/スマートデバイスの導入配布状況・ニーズに関する調査(2014年度版)
https://www.m2ri.jp/report/market/detail.html?id=27
■法人ユーザーにおける携帯電話/スマートデバイスの導入配布状況・ニーズに関する調査(2014 年度版)
1.調査対象:従業員数100人以上の大手・中堅企業及び学校・医療福祉法人の総務部門
2.調査方法 :Webアンケートによる
3.調査期間 :2014年11月7日(金)~11月12日(水)
回答者属性
4.回答件数:500社(500人)
※1社1回答
※この他に、比較用として従業員数10人以上100人未満の中小企業244社(244人)も調査し、合計で744社の結果を分析
5.従業員数属性:5,000人以上17%、3,000人以上5,000人未満5%、1,000人以上3,000人未満17%、500人以上1,000人未満15%、300人以上500人未満12%、100人以上300人未満35%
6.業種別属性:建設7%、製造26%、流通8%、金融6%、通信・IT関連サービス4%、サービス27%、学校・医療福祉18%、その他3%