組織は構造だけでなく“理念”が要──『鬼滅の刃』に学ぶ組織デザインのヒント

採用ブランディングやクリエイティブ体制の強化に取り組むなかで、組織設計や理念浸透の在り方に関心を持つ方も増えているのではないでしょうか。
このブログでは、人気漫画『鬼滅の刃』を題材にした音声コンテンツをもとに、組織構造と理念設計に関する考察をまとめています。HR領域でチーム運営や体制づくりを担う方々が、現場で活かせる示唆としてご活用いただける内容です。
少年漫画から学ぶ「組織デザイン」
『鬼滅の刃』は一見するとバトル漫画ですが、作中に登場する2つの組織──鬼舞辻無惨率いる「鬼の一派」と、鬼を討伐する「鬼殺隊」──は、組織論の教科書としても比較対象として興味深い構造を持っています。
鬼舞辻無惨率いる組織の課題
カリスマ依存・中央集権・ミクロマネジメントによる統制型組織の限界
鬼舞辻無惨は、組織内すべての判断と統括を自身が担い、部門長から現場オペレーションまで兼任する「ワンマン体制」を敷いています。実力至上主義の評価体制により、上層に行くほど競争が激化し、協働性は損なわれています。
この構造のもとでは下位メンバーに心理的安全性がなく、現場の自律性も育まれません。ビジョンや理念が明示されないまま、統率力のみで統制された組織は、離反や内部崩壊を引き起こすリスクを常に抱えています。
こうした構造はフィクションの中だけの話ではなく、実際の中小企業、特にクリエイティブ業界でも類似の課題が見られるケースがあります。筆者が聞いた事例では、上層部の一方的な判断により数十人規模のリストラが実施され、しかも退職金の支給もなかったとのことでした。組織内での情報共有や納得感の醸成がなければ、文化として根付く前に分断を生み出してしまうリスクがあります。
参考:無惨組織の組織図
鬼殺隊に見る健全な組織構造
ビジョン共有と分権、育成が支える組織文化
一方、鬼殺隊は象徴的存在である産屋敷を中心に、部門長に該当する「柱」、実働部隊の「隊士」、さらに育成枠や支援班などの役割が明確に構成されています。特徴的なのは以下の3点です。
- 統制と現場裁量のバランス トップは現場には出ませんが、現場統括は柱に任されており、それを相互に信頼する構造が機能しています。
- 人材育成と評価の仕組み 過酷な任務を担う中でも、メンバーは成長や努力を正当に評価される環境に置かれており、モチベーションを維持できる構造があります。
- 明確なビジョンの存在 「鬼を根絶し、社会をよりよくする」という明確な理念がチーム全体に共有されており、異なる背景を持つ構成員が同じ方向に進む理由となっています。
HR領域においても、「個人の動機の多様性」を包摂しながら、共通の価値観に基づいた組織文化を築けるかは、チームの機能性に大きく影響します。
考察:強いチームと良いチームの違い
本シリーズの最大の論点は、以下の対比に要約されます。
- 鬼の一派:強者を集めただけの“強いチーム”
- 鬼殺隊:信頼と理念で結ばれた“良いチーム”
組織構造を整えるだけでは、真に機能するチームとはなりません。構成員が「なぜ、ここにいるのか」という目的意識を持ち、ビジョンを共有することでこそ、組織に“魂”が宿ります。
組織図は単なるフレームではなく、それぞれの役割と意義が共有されて初めて、実効性を持つものとなります。
おわりに
『鬼滅の刃』の世界観を通して、組織設計における「構造」と「理念」の重要性を再認識しました。HR領域で採用広報やチームマネジメントに関わる方々にとって、実務に落とし込める視点も多く含まれているのではないでしょうか。
私たちは、採用コンテンツ設計やクリエイティブ体制の構築支援を通じて、組織の在り方や価値観を伝えるお手伝いも行っております。
ビジョンに共感し応募につなげるサイト設計や、理念を可視化するアートディレクションに関心をお持ちでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。実例のご紹介や課題整理からのご支援も可能です。
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