システム開発の見積りは難しい!
- 2024/9/3
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システム開発のプロジェクトにおいて、「見積り」はプロジェクトの成功を左右する重要な要素です。しかし、多くのプロジェクトで正確な見積りが難しいとされています。見積りが誤ると、プロジェクトが予算を超えたり、納期が遅れたり、クオリティが低下することにつながりかねません。
本ブログでは、システム開発における見積りがなぜ難しいのか、プロジェクト開始前と要件定義後のアプローチについても詳しく解説し、精度を向上させる方法を探ります。
この記事の目次
1. 見積りが難しい理由
システム開発における見積りが難しい理由は、様々な変動要因が存在するためです。以下に、主な要因を挙げます。
A. 要件の曖昧さ
プロジェクト開始時点でクライアントが持っている要件が抽象的である場合が多く、これが見積りを困難にします。要件が不明確なままでは、システムの設計や機能に対する作業量を正確に予測することが難しくなります。また、要件が曖昧な状態では後から変更が生じやすく、その結果、見積りに狂いが生じます。要件定義後に再見積もりのアプローチが出来れば理想的ではありますが、最初に取った予算内で行うしかないのが大半です。
B. 外部依存のリスク
システム開発にはしばしば外部のサードパーティーや他のベンダーが関与しますが、これらの要因も見積りに影響を与えることがあります。外部の要件変更や対応の遅れが発生した場合、プロジェクト全体に遅れが生じ、見積りの精度が崩れるリスクがあります。またリニューアルの場合に既存システムの情報が少なく、詳細を調査しないと見積りが出来ない事態にも発展する可能性があります。
2. プロジェクト開始前のアプローチ
システム開発プロジェクトにおいて、見積りの精度を高めるために、プロジェクト開始前のアプローチが非常に重要です。この段階では、要件が不明確な場合が多いため、以下のような戦略を取り入れることが推奨されます。
A. クライアントとのディスカッションと期待値の調整
プロジェクト開始前の段階で、クライアントと十分なディスカッションを行い、期待値を調整することが重要です。具体的な成果物や開発範囲、優先順位を確認し、現実的な見積りを行うための基礎を築きます。この過程で、クライアントとの合意を得ることが、後々のトラブルを防ぐための重要なステップです。他にも要件定義後の見積り時に予算オーバーした時のために、機能の優先順位を決めておくなども期待値コントロールをする上では重要となってきます。
B. プロトタイピングの導入
クライアントの要件が具体的でない場合、プロトタイピングを導入することが有効です。プロトタイプは、実際に動作するシステムの簡易版を作成し、クライアントと開発者の間で要件に対する認識を共有するためのツールです。これにより、見積りのベースが曖昧なものから、具体的なものへと変わり、精度の高い見積りを行うことが可能になります。要件定義の資料としても使え、後の開発にも活きてくるので、理想はプロトタイミングの予算を先にとってから、アプローチすると見積り精度も高くなります。
C. 予備見積りの作成
初期段階では、全ての要件が確定していないため、「予備見積り」を作成することも有効です。これは、プロジェクト全体の大まかな規模感やリスクを把握するためのものです。予備見積りは、後に詳細な見積りに進むための基盤となり、あらかじめリスクや不確実性をクライアントに共有することができます。実際に発生しない場合は、開発工数からも除外するよう認識を合わせておけば、安心して進められるかと思います。
3. 要件定義後のアプローチ
要件定義が終了した段階では、より具体的で詳細な見積りを行うことが可能になりますが、ここでも慎重なアプローチが求められます。
A. 機能ごとの細分化
要件定義が終わった段階では、システムの機能を細かく分解し、各機能ごとに見積りを行うことが大切です。これにより、大規模な開発プロジェクトでも、個々のタスクの作業量やリソースの見積りを精密に行うことができます。また、各機能ごとの見積り結果を統合することで、全体の見積り精度が向上します。ここでは可能な限り詳細な要件を洗い出すことがコツとなります。
B. 開発者のスキルに基づく見積り
見積りの精度を高めるためには、開発者のスキルや経験も取り入れることが重要です。特定の技術に精通した開発者がいる場合、その分野における作業をその人にイメージさせることで、正確な見積もりと進め方を定義することが出来、見積りの精度に関しても大きく向上します。
C. バッファの設定
見積りには、予測不可能な事態に備えてバッファ(余裕)を設けることが推奨されます。特に、要件定義後でも、追加要件や技術的な問題が発生することは珍しくありません。バッファを設定することで、こうした不確実性にも柔軟に対応し、見積りの正確性を維持することができます。予算をカツカツにしてしまうと、開発中でもそのようなことが起きる可能性を十分認識したうえで進めることが重要になってきます。
4. 改善策:見積り精度を向上させるために
見積りの難しさを理解した上で、その精度を向上させるための具体的な方法を以下に挙げます。
A. 過去のデータの活用
過去の類似プロジェクトのデータを活用することで、見積りの精度を向上させることができます。例えば、過去のプロジェクトで使用された技術や開発期間、リソースの消費量を参考にし、現行プロジェクトに対して予測を行うことが可能です。過去に同様のプロジェクトで開発のノウハウを持ったパートナーが見つかると理想的ではありますが、100%一致することは少ないので、一つの指標として持っておくと良いでしょう。
B. 見積りツールの利用
近年、見積り精度を向上させるためのツールやソフトウェアが数多く登場しています。これらのツールは、過去のプロジェクトデータを元にして自動的に統計的な見積りを行うことができるため、人的なバイアスを排除した客観的な見積りが可能です。相見積もりの一つとして試してみる価値はあります。
6. まとめ
システム開発における見積りは、要件の不明確さや技術的な要因、外部依存など、多くの要因によって難しくなります。しかし、プロジェクト開始前のアプローチとしてクライアントとのディスカッションやプロトタイピングを活用し、要件定義後には細分化された見積りや知見・バッファを取り入れることで、精度を高めることが可能です。
予算確保には重要なステップですが、見積り価格だけでなく、どれだけ精度が高いかが重要となりますので、その辺りも判断軸に取り入れると失敗のリスクを軽減できると思います。
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